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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
1章

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18/51

第18話 カグラ(仮)


 カグラ(仮)から早速返信が返ってきたので、すぐさまスマホを操作して確認した。


 *****************


 面白い提案ね。

 でも詳しくはDMじゃなくて、通話でやり取りしたいのだけど可能かしら?


 *****************


「一応話し合いはできそうな相手か」

「気を付けてくださいね。相手が何を企んでいるか分かりませんから」

「企むもなにもこっちからDMを送ってるんだけどな」


 マルティアの気持ちも分からなくもないが、何か企んでいるかはこちらが疑われてもおかしくないだろうに。

 ただ向こうが少しでもこちらの情報を抜き取ろうと考えている可能性はあるだろうが。


「さて、鬼が出るか蛇が出るかだな」


 俺はスマホを操作すると、交流プラットフォームの通話機能でカグラ(仮)を選択した。DMでやり取りした相手とはこの機能が使えるようだ。

 しばらく呼び出し音が数回鳴った後、カグラ(仮)と思わしき人物がスマホに表示された。


『もしもし、聞こえるかしら』

「ああ、聞こえてる」


 通話機能はビデオ通話だったようだ。

 おそらく高校生くらいの女の子で、姫カットの黒髪を低めの位置で束ねてポニーテールにしていた。


「初めまして。俺――いや、私はナオト(仮)というものです」

『ええ、初めまして。私はカグラ(仮)、です。すいません、敬語とか慣れないので互いに話しやすいように話してもいいですか?』

「そう言ってくれると助かる」


 明らかに年下の少女を相手に畏まって喋るのは少々やりづらい。

 生前は覚えてる限りじゃ男ばかりの職場だったのは間違いないし、会社内の人としか関わらなかった記憶があるから、敬語とか適当だったんだよな。

 そう思うと、交渉専門官中村との会話って、おかしな敬語を使ってたのかもしれない。いや、今更だし、今それを気にすることじゃないか。


『それならお互い様ね。それじゃあ早速ダンジョンバトルについてなんだけど――』

『ちょっといいかな?』


 そう言ってカグラ(仮)の肩に乗ってきたのは、……ハクビシン、か?

 おそらくハクビシンがデフォルメされた何かであり、カグラ(仮)のサポート妖精だろう。


『何よナナ。今大事な話をしているところよ』

『それは重々承知してるし申し訳ないんだけど、話をする前に向こうのサポート妖精、マルティアと話ができないかな?

 彼女とは友達なんだ。もしも話が決裂してしまったら、この機会を逃せば二度と話すことができなくなってしまうだろうからお願いできないかな?』


 ナナと呼ばれたサポート妖精が、拝み倒すようにカグラ(仮)にお願いしていた。


「驚きですね。ナナがサポート妖精の分を超えた行動を取るだなんて」


 真面目な性格だって言ってたもんな。

 なのにダンジョンマスター同士の会話を遮って、こっちのサポート妖精と会話したいだなんて言い出すとは思いもしなかったんだろう。


『まあいいわ。ナオト(仮)――ナオトさんもそれでいいかしら』

「ああ、構わないが」

『あと、2人だけで話させてほしいのだけど……』

『……まあ、いいでしょう』


 カグラ(仮)――カグラが画面から離れたので、俺もそれにならってスマホをマルティアに預けると、離れた場所でそのやり取りを見守った。


『実は――』

「えっ、そんな――」


 ナナとマルティアがボソボソとこちらに聞こえない程度の声で話し合っているが、一体何を話してるんだ?


 しばらくボソボソと話し合うこと数分、話し終わったのかマルティアが急いで俺に向かって駆けてきて、肩に飛び乗ってきた。


「あのダンジョンマスターヤバいです。【自律・反抗願望】持ちで、他者の意見を聞き入れたくないという望みを抱えているようです」

「そんな話をしたのか? サポート妖精の分はどうしたよ」


 俺は思わず眉をひそめてしまう。


 他のサポート妖精に自身のダンジョンマスターの情報を渡すとか、サポート妖精の分を超えるどころか、もはや背信じゃねえか。


「そんな事言ってる場合じゃないレベルなんですよ。

 あのダンジョンマスターはその願望のせいで、ナナがダンジョンを大きくして魔物を複数配置するのが定石だと言ったら、真逆の事をし始めて、2部屋だけのダンジョンを創ってしまったようなのです」

「俺と似たような現状ってことか」

「そんなんじゃありませんよ。あなたはダンジョンを大きくする気が()()ありますが――」

「なんで一応を強調した?」

「あ・り・ま・す・が! 彼女はポイントを全て1体の魔物を強化することに費やすばかりで、頑なにダンジョンを大きくしようとはしません。

 このままでは彼女もナナも、いずれ負の感情エネルギーの吸収がろくにできず、他のダンジョンマスターか人間にやられてしまいます」


 ダンジョンを大きくすればするほど負の感情エネルギーの回収範囲が広くなるのだから、ダンジョンを大きくしないのは悪手だろう。

 ましてや今の段階で手も足も出ないような魔物がいきなり現れるなら、人間はそのダンジョンに近寄ろうともしないはず。


「なので、ナナは私達になんとか彼女を上手く誘導してダンジョンを大きくするようにさせてほしいそうです。

 もちろんその見返りとして、私達と協力関係を結べるようにダンジョンマスターの願望を刺激しない範囲で説得すると言っています」

「それは見返りにならないだろうが……」


 協力関係を結ぶかはダンジョンマスター次第だし、説得するって言っても上手くいかなくてこっちに頼ってきてるんだろうが。

 とはいえ、こちらとしてもこのままじゃマズイから協力関係を結びたいとは思ってるが、果たして上手くいくか?


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