第17話 口は禍の元
≪ナオト(仮)SIDE≫
マルティアがまるでSFのような空中に浮かぶホログラムのウィンドウとキーボードを使って、何かを調べ始めた。
……なんでダンジョンマスターはスマホなんだ?
「そっちの方がカッコいいな。スマホよりもそっちが良かった」
「……一応できますよ」
なんだその歯に物が挟まったかのような微妙な返答は。
「一応ってなんだよ?」
「ポイントを使えばダンジョンマスターも私と同じことが出来るという意味です」
そう言われて調べた結果――
「15万ポイントってふざけてんのか!?」
高くて交換出来ねえ!?
「本来は5000ポイントで交換出来るんですよ! なのにあなたが変な称号を手に入れてしまったばっかりに、そんな高額ポイントになってしまったんじゃないんですか!」
確かに〈運頼みの支配者〉の称号のせいで本来のポイントの30倍を支払わないと交換できなくなってしまってるが、それでも5000ポイントは高すぎだろうが。
初期ポイントの半分って、こんなの交換するやつよっぽどだぞ。
「ダンジョンの運営が順調になったら、そういう嗜好品に手を出してもいいっていう神からの隠れたメッセージなのかね?」
「スマホで十分事足りますからそうなんでしょうね。サポート妖精にはそういうのを使わせる辺り、ダンジョンマスターにこういったモノもあるから頑張れという意味がありそうです」
交換できるやつを見ていくと結構面白いモノがあるんだが、生憎と全て30倍になってて交換できる気がまるでしない。
こうなったら[ガチャ]で運よく手に入るのを祈るしかないのだが、乱数の女神が微笑んでくれるかどうかだ。
そうしてマルティアが調べている間、暇をつぶしていること数分。
「あ、見つけました。確かこのダンジョンマスターを選んでましたね」
マルティアに見せられた画面には名前と順位が記載してあるだけだったが、その順位がもの凄く気になった。
「9999位って俺の1つ上のやつか。なんで探すのに微妙に時間がかかったんだ?」
俺の1つ上の順位というのなら、すぐに見つけられそうなものだが。
「まさか彼女がサポートしてこの順位とは思ってなくて。上から順に探したのでむしろ早く見つけられた方ですよ」
なるほど。
「ダンジョンマスターの選定でハズレを引いたのか」
「自分で言う!?」
正直、もしも俺がマルティアの立場だったら、間違いなく俺はハズレだと思うだろう。実際最下位だしな。
だが自分で言うのはいいが、人に言われるのはなんかムカつく。
「頬引っ張りの刑な」
「りひゅじんしゅぎる!?」
口は禍の元をご存じでない?
俺はマルティアのほっぺたをムニムニ掴んで伸ばしながら、ダンジョンマスターの情報を確認していく。
といってもこちらで調べられることなんて、名前と順位くらいのものだが。
カグラ(仮)という名前のようだし女性なんだろうか?
「まあ性別とかどうでもいいか。早速DMを送ってみよう」
「上手くいきますかね?」
「いかなくても敵が1人増えるだけだろ」
「それを問題だと思わないのですか!?」
だから今更なんだよ。
さて、それよりもなんて連絡するかな。
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ダンジョンバトルまであと1カ月。
私は今1万位、あなたは9999位――順位が近いからこそ、互いに潰し合うより良い選択肢があるのではと思って声をかけました。
共闘して上を狙うか、相互不可侵で互いの邪魔をしないか。
どちらを選ぶかはあなた次第です。
興味があれば返事をください。
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「とりあえずこんなもんか」
「思ったより普通ですね」
「お前は俺をなんだと思ってるんだ?」
「【挑戦・賭博願望】持ちですから、もっと挑発的で頭のおかしい文面にすると思ってました」
「するわけないだろうが」
「いひゃい、いひゃい!」
再びグニグニとマルティアの頬を引っ張って罰を与えながら、片手でスマホを操作してDMを送信した。
まったく。これでも心理テクニックの二者択一話法を使って、こちらに攻撃の手を向けないようにできないかと少しでも文面を考えたんだぞ。
「文面のことはともかく、他にも協力できそうなやつがいればいいんだがな」
「それは無理だと思いますよ。そもそも今のあなたと協力できそうなダンジョンマスターはメリットの面を考えると順位の近しい人物くらいです。
しかし現在の段階でこんな順位の人物がまともだと思いますか?」
自分でまともじゃないと言うようなものだから認めたくはないが、まあまともじゃないだろうな。
何らかの破滅的な願望を抱えてたり、性格に難があってもおかしくないだろう。
「しかしそうなると、お前の友人のダンジョンマスターに話を持ち掛けたところで、ろくな成果にならない気もするが……」
「あなたの1つ上の順位ですからね……」
一体どんなダンジョンにすればそんな順位になるんだろうか?
俺も人の事を言えないが、部屋数が相当少なくないとこんな順位にならないだろ。
――ピロンッ
そんな事を考えていたら通知音が周囲に響いた。
早速返信をくれたか。




