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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
1章

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16/51

第16話 ボッチか……


「えっ、他のサポート妖精ですか……」


 マルティアのその反応で全てを察した。


「そうか、ボッチか……」

「誰がボッチですか!?」


 だって紹介できるサポート妖精がいないからその反応だったんだろ?


「私はボッチなんかじゃありませんよ! ちゃんと仲のいい子はいました!」

「そう強がるな。言い渋ったってことは、つまりそういう事だろ?」

「違います! そんな今までで一番優しい笑顔をこっちに向けないでください!!」


 大変心外だと言わんばかりにマルティアは怒って俺の頭に乗ってくると、ペシペシと叩いてきた。


「じゃあ紹介できるサポート妖精は何匹いるんだ?」

「私達を動物みたいに数えないでください」


 いや、デフォルメされてるけどカワウソじゃないかお前。


「で、何人?」

「……………1人」

「ほぼボッチと変わらんな」

「うるさいですよ! 0と1は違うんですからね!」


 確かに一切紹介できないって言われるよりはマシなんだが、もっとこう、社交性を身につけててほしかった。


「仕方ないじゃないですか!

 サポート妖精はダンジョンマスターと一蓮托生。そしてダンジョンマスター同士は争うことがあると教えられたんですよ。

 他のサポート妖精は後々敵対することになる相手と分かってて、気軽に誰とでも仲良くはなれませんよ」


 確かにそんな状況じゃ他のサポート妖精とはギスギスした関係には十分なり得るか。


「逆によくそんな状況で仲がいいと言える相手が1人できたな」

「彼女は真面目な人ですから、優等生の私とはそりが合ったんです」

「……優等生?」

「首を傾げないでください! あなたじゃなければちゃんとダンジョンマスターを導ける存在になれたはずなんですよ!」

「選んだのお前って言ってなかったか?」

「それが私の過去の最大の過ち!!」


 そこまで言う?


「まあお前の過ちはともかく、そいつとは連絡取れないのか?」

「……取ることは出来ると思いますが、おそらく協力は難しいですよ」

「なんでだ?」

「先ほども言いましたが彼女は真面目な性格です。ですからあくまでダンジョンマスターを導く存在であるサポート妖精の分を超えて、ダンジョンマスターを利用しようとする行動を認めるはずがありません」

「お堅い性格ってことか」


 上手くそのサポート妖精のダンジョンマスターと協力関係、最悪相互不可侵程度だけでもいいから取りつけられればと思ったんだが難しいか?


「まあいい。ここでなにもしないよりはマシなはずだ。そいつに連絡を取ってくれ」

「分かりましたがサポート妖精同士が連絡を取り合うことはできませんから、私がどのダンジョンマスターか調べた後は、あなたがそのダンジョンマスターに連絡をとってもらうことになりますよ。

 一応向こうのサポート妖精にダンジョンマスターを説得してもらうようにお願いしますが、あまり期待しないでくださいね」

「めっちゃお前の人望に期待しとくわ」

「それは暗に失敗したら人望のないやつだとこき下ろす前振りですか!?」


 よく分かってるじゃないか。

 というか、一応ダンジョンとして最低限の体裁は整えたけど、こんなの他のダンジョンマスターならもっとマシなもん創ってるだろうから、ダンジョンバトルまでに少しでも味方を増やしておきたいんだよ。

 それこそどんな手を使ってでもだ。


 マルティアの友人のダンジョンマスターがどんな人物か分からない以上賭けにはなるが、どうせこのままじゃ他のダンジョンマスターにやられることになるのなら、今更敵が1人増えるリスクよりも、味方が増えるかもしれないメリットの方が圧倒的に上回る。


「できれば話が通じるやつだといいんだがな」


 ◆


 ≪???SIDE≫


 ボクは焦っていた。


 本来サポート妖精の役割は、ダンジョンを創る知識などないダンジョンマスターがスムーズにダンジョンを創造できるように導く事。

 決してサポート妖精がダンジョンを創るのではなく、ダンジョンマスター自身が己の感性でダンジョンを創り上げなければいけない。


「カ、カグラ? えっと……ダンジョンランキングが始まるみたいだけど準備は大丈夫かな?」

「私に指示しないで。私はこれでいくと決めてるから何の問題も無いわ」


 だけどボクはその矜持を捨ててでも、なんとかして己のダンジョンマスターにダンジョンの改築をさせたかった。


「いや、指示とかじゃなくて、その、2()()()だけのままでいいのかの確認で……」

「何度も言わせないで。あなたの意見は必要ないの。私はもう誰の指示にも従いたくないわ」


 しかしそのダンジョンマスターである彼女はこちらの意見など欠片も聞こうとはせず、下手に何かを言えば意固地になってしまうのだから、完全に詰んでいた。

 サポート妖精としての役割を果たすために言葉を尽くしても、彼女の心には届かない。むしろ逆効果で、頑なさを増すだけなのだ。


「……でも、このままじゃ危ないんだよ」


 ボクは小さく呟いた。

 声に出せば反発されると分かっていたから、彼女には聞こえないように。


 なにせ彼女に聞かれてしまえば、なにがあっても彼女はこのダンジョンを改築しようとはしないだろう。

 何故なら彼女は【自律・反抗願望】持ちであり、他者の意見を聞き入れたくないという望みを抱えているのだから。


 でもだからといってこのままじゃ、まともにダンジョンバトルも出来ずにコアを壊されてしまうだろうし、どうすればいいんだ……。


 ――ピロンッ


「何かしら?」


 この通知が、もはや刻一刻と迫る破滅への道の中で現れた一筋の希望だとは、絶望で目の前が真っ暗になりかけていたこの時のボクは思いもしなかった。


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反抗願望というより、破滅願望かな?
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