第119話 ボーナス
イベントが始まる直前に説明のあった得点の内訳にはアワードボーナスなんかなかったが、とりあえず気になるところを見ていくか。
まず魔物討伐関連や人への危害、人工物の破壊の得点は順当だと言える。
魔物未討伐者の得点が1万7300点もあるが、50で割れば346なので、346人がジョブ持ちになったということ。
今回の規模では少ない数のように思えるが、俺のダンジョンだけでならこんなものだろう。むしろ多いくらいだ。
さて、それよりも問題の2つ。
判定外行動ボーナスとアワードボーナスだ。
「判定外行動ボーナスがアホみたいに得点が高いんだが、これはなんでだ?」
「多少意識して行動しましたけど、ここまで得点が高い理由ってなんなんでしょうかね? さらに詳しく内訳は見れませんか?」
「ん~? おっ、見れるな。どれどれ」
・判定外行動ボーナス
→ダンジョンに入った事がない者をダンジョンに連れ込む。1人につき10点
→人間の働く場所の完全破壊。1箇所につき100点
→ダンジョン特有アイテムを人類に供給する。1個につき1点
・
・
・
「……絶対これだろ」
「ですね」
細々とした行動が得点となっているが、明らかに原因となるものが目に付いた。
人類にアイテムを供給すると1点となるが、俺が中盤でポーションだけでも13万6068本送っている。
その数がそのままポイントとなっているのだから、この得点にも納得だ。
「これ、知ってたらアイテム放出合戦に変わってたんじゃないか?」
「いえ、それはないと思いますよ。〝ポーション(弱)〟とはいえ、こんな量を普通のダンジョンマスターが用意するのは、並大抵のポイントではできませんし」
ダンジョン特有アイテムに限定されている以上、安いポイントで大量に手に入る雑貨を配っても得点にはならず、最低でも〝ポーション(弱)〟程度のアイテムでないといけないと考えると、そんなに大量には用意できないか。
中間発表の後にカグラに相談された時、自分は〝ポーション(弱)〟を配ろうと思っていることを伝えたから、おそらくカグラもそれをやっているはず。
あの時は順位があまりよくなかったが、俺と同じように〝ポーション(弱)〟を配っているなら、それなりのポイントは手に入ってるだろう。
1000本用意するだけでも1000点になるからな。
だが万が一はあるし、またどこぞのダンジョンマスターに隷属していないかは心配だから、後で連絡してみるか。
「判定外行動ボーナス狙いもあったが、人間とあまり敵対関係にならないようにするという目的もあったから、そのついでに得点が稼げてラッキーだったな」
「マスターが〝エリクサー〟を溶かしたと聞いた時には、完全に宇宙猫状態でしたが、結果オーライでしたね。
それはさておきアワードですか」
「何なんだろうなこれ?」
最初の説明ではなかった得点項目だ。
しかも無駄に得点が高く、10万点なのだからやべぇ。
俺が人間に渡したポーションの数並の得点とか相当だろ。
古のクイズ番組でよくある、「最後の問題は10万点です!」とか言って、今までの問題は何だったのかというヤツみたいなアワードについて調べることにする。
詳しく調べるとアワードは6つ存在した。
【虐殺者アワード】(人類キル数最多だった)
【誘引者アワード】(人間の来訪欲を最も刺激した)
【破壊者アワード】(建造物破壊が最も大きかった)
【混乱者アワード】(人間社会に最も混乱を与えた)
【侵略者アワード】(最も広い範囲を制圧した)
【恐怖者アワード】(人間に最も恐怖を与えた)
その中で俺は【誘引者アワード】という賞を取っており、それによって10万点のボーナスを獲得したようだ。
なるほど。これなら納得だ。
自分で言うのもなんだが、俺ほど人間達にポーションを配りまくったダンジョンマスターもいないだろう。
そして人間達がそのポーションの効果を体験したことで、ダンジョンにこれほどの物があると知り、それを欲しいと思わせたのではないかと思われる。
「他にも5人このアワードの中のどれかを得ているのですから、正当な得点と言えますね。
マスターの順位が跳ね上がったのも、たった6人しか得られないボーナスですから、他のダンジョンマスターとは大きく差が出たのでしょう」
「複数アワードを手に入れてる奴がいるかもしれないから、その場合はアワードボーナスを得ている人数が少なくなるから余計にだな」
特に【虐殺者アワード】と【混乱者アワード】、【恐怖者アワード】は1人で賞を獲得しやすそうだ。
ただ、これらの賞を取るほどの事をしたのなら大変なことになりそうだが。
〖ダンジョンマスターよ。本当の試練はここから始まるであろう。備えるのを努々忘れぬことだ〗
神が出したこのメッセージの意味。
もしも神が何かするというのなら俺が今思ってることは全くの見当違いになるが、そうじゃないなら……きっと、そういう事なんだろうな。
俺はこの考えがあってるにしろ間違ってるにしろ、どの道ダンジョンの強化は必須なのだから変わりはしないと思い直した。
「順位が正当なものだと分かったし、あとは最後に確認しないといけないことが1つあるな」
「隷属ですか」
このイベントの特典として、下位50位が上位50位に隷属することになるわけだが、一体どんな奴が配下になるんだ?




