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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
3章

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116/124

第116話 どうせなら上を目指したいだろ?


 [ガチャ]を回した事で多少目が覚めたが、茉奈達のような民間人しか魔物の討伐をしていないこの状況では、俺が起きていなければいけないような、慌てる事態はもうない。


 マルティアと相談したが、後は適当に人工物の破壊でもして無難に得点を稼いでいくしかないか、という話になっていった。


「もうこのイベントも消化試合みたいなもんだな」

「そうですね。ランキング上位を目指していないなら、残ってる魔物達があまり殺されないようにして、地道にポイントを稼ぐのがいいでしょう」


 ……ん~?


 マルティアにそう言われて、何か違うというか、そうじゃない感が頭をよぎった。


「どうしたんですか?」

「いや、なんか嫌だなーって」

「このマスター、不穏な事を言い始めましたよ」


 不穏な事ってなんだよ。


 俺が思った事が口に出ていたようで、マルティアはキッと目を細めて俺を見てきた。


「今までどれだけやらかしてきてると思ってるんですか! マスターがそうやって唐突に何か言い出した時、私がロクな目に遭わなかったことも多いんですよ!」

「そうか? まあ確かに[ガチャ]をしたりする時はマルティアにとっては唐突な事を言い始めると思う場合が多いだろうが、今回は[ガチャ]は関係ないぞ」

「[ガチャ]以外でもとんでもない事しでかす事が多いでしょうが。1部屋だけでダンジョンを解放したり、ダンジョンバトルで申請を全部受けたり」


 それを言われると何も言えなくなるな。


「で、今回は何を企んだんですか?」

「人聞きが悪いな。強いて言うなら、どうせなら人工物をちまちま破壊するんじゃなくて、思い切って残ってる魔物を総動員してやろうかと思っただけだ」

「ほらろくでもない事考えてるーー!!」


 失礼な。ただ、このまま()()()()()()()()()()()()()に終わるのもどうかと思っただけだ。


「どうせなら、上を目指したいだろ……」

「ここで【挑戦・賭博願望】が顔を出すんですか!? イベント直後の、人間達と敵対するわけにはいかないと慎重になっていたマスターはどこに行ったんですか!?」

「欲望に呑まれたんじゃねえかな?」

「自分で言ってんじゃねえですよ!」


 だが、そこまで変なことは考えていない。

 なにせ俺がしようとしているのは、避難所でも襲って人間を混乱させ、まだジョブを持っていない人間に魔物を倒させようと思ってるくらいなのだから。


「人工物の破壊にどれだけ得点が得られるのかは分からないが、それよりもジョブ無しにやられて得られる50点や、判定外行動ボーナスとかで一気に稼いだ方が、上位に食い込める可能性がワンチャンあるだろ」

「ええっ……。中間発表で下から数えた方が圧倒的に早かったのに、今更最後の3日で追い上げられると思えないんですけど?

 というか、そんな事したら1日で残ってる魔物が全部やられて、残り2日は何もできずに終わるかもしれませんよ。

 しかも、すでにジョブを持ってる人間に殲滅されたり、判定外行動ボーナスが得られなかったら下位のままになる可能性もあります。

 その結果、ワースト50位に入ったらどうするつもりなんですか!」

「はは。ひりつくねぇ~」

「もう嫌、このダンジョンマスター!?」


 さすがにワースト50位まではいかないと思うがな。


「冗談はともかく」

「あ、冗談だったんですね」


 ホッとした様子を見せるマルティアに俺は頷く。


「ああ。ワースト50位()冗談だ」

「『は』、ってなんですか。『は』って。まさか本当に魔物を総動員して何かやらかす気ですか!?」

「別に勝算がないわけじゃないぞ」

「そう……なんですか?」


 懐疑的な目で俺を見てくるマルティアに対し、俺は懇切丁寧に説明し始めた。


 このイベントの序盤だと、俺の所では元々ジョブを持ってる戦い慣れてる奴らが筆頭になって魔物が倒されているのに対し、他の所では初めて魔物と戦う奴らがなんとか魔物に抵抗してジョブ持ちになったケースが多いと思う。

 俺のダンジョンとは違い、他のダンジョンの周辺では俺の所ほど人が入っていないとカグラだったり茉奈達から聞いてるから、他のダンジョン周辺に住む人間がジョブを持っている奴はそこまで多くなかっただろうからな。


 その結果、俺が1Pしか手に入っていないのに対し、他の所では50P手に入るという落差が生まれ、順位も下位になってしまったのだろう。

 他にも人間を率先して狩るダンジョンマスターもいて、中間発表では余計に順位が下の方になったと思われる。


 だが、今順位が上の連中はあまり得点を稼げなくなっているはずだ。

 死者の多いダンジョンの周辺に自衛隊が優先して派遣されているから、そちらは言わずもがなだし、人の出入りが少ないダンジョンの周辺では、戦える人間はある程度ジョブ持ちになってしまっている。


 ところが、俺の所では元々ジョブを持っていて戦い慣れてる奴が率先して戦っていたため、そういう人達に戦いを任せて逃げてしまっていたりしている人間がそこそこいるのだ。


「だから、避難所にいるそういう人間の前に武器を放り投げて強制的に戦わせようぜ」

「……………まあ、悪くないんじゃないですか?」

「何故にそんな絞り出すような声で言うんだ?」

「だって、マスターの説明には推測の部分が多く、本当にそれで上位の順位が目指せるのかと思いまして。

 下手すれば得点が稼げず、ワースト50位に入るんじゃないかと……」

「その時はその時だ」

「もっと堅実に動こうって気はないんですか!?」


 あったら[ガチャ]に全振りしてるわけないだろ。こちとら【挑戦・賭博願望】ぞ?


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