第115話 唐突に[ガチャ]
21万4490ポイント。
今回のイベントで一気に貯まったポイントだ。
かつてないポイントであり、[ガチャ]を2144連できるという過去最高回数である。
それを唐突に[ガチャ]で消費してしまうのは、眠気で頭が回っていないせいか、イベントが長くてダレてきたせいか。
「今回はマルティアが自発的にいたぶられてたから、何もしなくていいな」
「私がイベントを必死にこなしていたというのに、その物言いには酷くありません?」
「恒例行事がスキップされたから不満なのか?」
「なんでそっちを不満に思ったと思うんですか!? [ガチャ]前の、謎に私に対する酷い扱いの方じゃなくて、今回のイベントでの私の頑張りに対する扱いに決まってるじゃないですか!」
「お疲れ」
「ホント扱いが軽い!」
毎度毎度マルティアをどういじるか悩んでいたので、今回はそんな面倒なことしなくていいから楽だな。
「じゃあ一気に回してくどー」
「もう、好きにしてください……」
叫び疲れたのか、三徹の疲れが残っているのか、ぐったりした様子のマルティアを横目に[ガチャ]を回す。
――カァッ
――カァッ
――カァッ
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〈N 1112個〉 省略
〈R 686個〉 下記抜粋
Eランクの魔物発生陣
〈SR 343個〉
・魔物:29体 省略
・宝箱用アイテム類:117個 下記抜粋
ポーション(強)×6 ミスリルソード 重撃グローブ 賢者の杖
・ダンジョン施設:93個 下記抜粋
Cランクの魔物発生陣 極夜 朽ちた聖堂跡 火山
・日用品、動物、その他:104個 省略
〈UR 3個〉
・ダンジョン施設:2個
ギルド創設 SFデバイスセット
・日用品、動物、その他:1個
おつまみガチャ
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「URが3つも出るとかやべえな」
「出た時は驚いてしまいましたけど、[称号]と回した回数を考えれば、そこまで驚く事でもない気もしますけどね」
[ガチャ]関連のこの4つの[称号]な。
〈浪費こそ甘美なる幸福〉:ポイントが99以下になるまで消費する行動をする際、幸運値が大幅に上昇する
〈欲望の召喚士〉:[ガチャ]を回すたびにゲージが増え、MAXになるとSR以上が確定で入手できる
〈妖精泣かせ〉:妖精の感情変動で運の振れ幅を大きくする ※ただしこの[称号]は妖精には感知できず、それを伝えた段階で消失する
〈運頼みの支配者〉:ポイントを使ってアイテムやダンジョン施設を入手する際の消費ポイントが30倍になるが、[ガチャ]によるレア度の高いモノの出現率が上昇する
2000連以上で一気にポイントを消費したお陰か、最後の1回転でURが出たことを考えると、〈浪費こそ甘美なる幸福〉の[称号]が確実に働いたと言える。
しかし、20万近くポイントを消費してようやくUR確定になるのなら、これからは[ガチャ]を出来るだけ我慢しないといけないわけだが……出来る気がしねえな。
今回みたいに一気に貯まらない限りは、気が向いたらホイホイ使うのは目に見えてる。
まあいい。
そんな分かり切った未来よりも、今は[ガチャ]の結果だ。
「ただ今回もURで魔物が出なかったな。魔物の排出率厳しすぎないか?」
「それを考えると、フィギュラスが30連程度でポンっと出てくれたのは奇跡だったんですねぇ」
SRの段階で他の〝宝箱用アイテム類〟とかに比べて排出率が悪いあたり、かなり絞ってるな。
さて――
「それはそれとして、なんだこのUR?」
目をそらしていた内容について見ていくとするか。
「〝おつまみガチャ〟をURにしてるとかふざけてんのか!?」
「……一応これ、何の対価もなく、つまみを回すだけで〝抹茶パフェ食べ放題チケット〟のような食べ物が書かれたチケットが何枚でも出てきますよ。
使用するとチケットは消えるので、出てきた紙1枚に対して1人前といったところですか」
「出てくるのが明太ポテサラ、唐揚げ、角煮、スモークナッツと、多種多様なのがランダムで出るが、だからどうしたって感じのアイテムだな」
「完全にネタアイテムですね」
対価なしでいくらでも出せるあたりURではあるが、SRの〝抹茶パフェ食べ放題チケット〟も対価なしでいくらでも出せるんだよなぁ。
色々な種類の物が出るという点では上位互換ではあるが。
使い道を無理やり考えるなら、〝おつまみガチャ〟で出したチケットを〝酒場〟で販売して、人間から魔石や現金を徴収するくらいか。
魔石はともかく、徴収した現金は宝箱にでも入れておけば人寄せにはなるが、やっぱ微妙なアイテムだな。
「はぁ、まあいい。〝おつまみガチャ〟はともかく、他の2つだな」
〝ギルド創設〟と〝SFデバイスセット〟か。
「〝ギルド創設〟は……他のダンジョンマスターと提携することができるシステムを追加できるのか」
「具体的にどういうことができるんですか?」
「ポイントの一部共有化、魔物の貸し出し、ダンジョンコア連結とかか。他にも細々したのが色々あるな」
俺が調べた詳細を読み上げると、マルティアは首を傾げてこちらを見てきた。
「ダンジョンコア連結とは? 聞いたことないですよ、そんなの」
「サポート妖精のお前が知らないのか。えっと……仮に自分のコアが破壊されてしまっても、連結している他のダンジョンコアに逃げることができるみたいだな」
「それ、何の意味があるんですか? 肉体を捨てて意思だけ残るようなものですよ」
俺達ダンジョンマスターにとって、ダンジョンは己の肉体と同義だからな。
「提携している他のダンジョンマスターが残機を持っていれば、それを使って一からやり直したりできるみたいだぞ。もっとも、その残機を提供したダンジョンマスターには絶対服従になるらしいが」
「生き残れるって意味では悪くないかもしれませんけど、そんな状況に追いつめられたらもうお終いですよね」
「確かにな。残機を提供したダンジョンマスターには一生頭が上がらなくなる」
とはいえ、死ぬよりはマシかもしれないが。
「しかし、このURもいまいちだな。信頼できるダンジョンマスターとしか提携できないことを考えると、使い道がほぼない」
「現状だと、ナナのとこのダンジョンマスターとくらいしか出来そうにないですね」
「ああ、カグラとな」
より密に他のダンジョンマスターと協力し合えるシステムだし、このイベントが終わったら相談してみるかね。
「さて、あとは〝SFデバイスセット〟だが」
「私の使ってる端末の上位互換ですね。今までスマホで操作していたのが、ホログラムのウィンドウとキーボードを出現させて操作できるようになります。
他にも慣れは必要ですが思考のみで操作したり、AIによる補助など、様々な機能がついた高性能の端末、といったところでしょうか」
「便利と言えば便利だが、正直ダンジョンの強化には繋がらないな」
「ですね。URの割にはそこまで大したモノじゃありませんでした」
こういうのもある意味[ガチャ]の醍醐味だが、もっと興奮するくらいすごいモノが出てきてほしいものだな。
おつまみガチャは地味にほしいと思う。




