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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
3章

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113/117

第113話 人類よ、試練を越えよ


 ≪自衛隊員SIDE≫


『撃てー!』


 隊長の合図で放たれた弾丸が魔物達に直撃し、次々と地面に倒れていくのを見て、ダンジョンマスターからの情報が正しかったのだと確信した。

 ナオト(仮)との最初の交渉の時にもたらされた情報で、ダンジョンの外に出てきた魔物に対してなら、ダンジョンの理が作用しないので銃が有効になるというもの。


 もっとも、今回は銃が効くかは不安だったが。


「ダンジョンの外がダンジョン内とほぼ同じ状態になるって聞いた時にゃあ、銃も使えなくなるかもしれねえと思ったが、問題なく使えるようで一安心だぜ」

「ナオトからの情報通り、魔物に銃が効かないんじゃなくて、法則がダンジョンの内と外で違うってことだな」

「天の声じゃあ、地上とダンジョンの境界が失われるとか言っていたが、銃はいつも通りで良かったよ。

 ジョブがあって、銃も使えるなら悪くねえな」


 他の奴らが言う通り、銃が効かなくなる可能性があったからな。

 その時は剣や槍で戦わなければいけなくなるところだった。


 あの天の声の言う事にはヒヤヒヤさせられたものだ。


 数日前、突然頭の中に声が響いた。

 それは俺だけでなく他のやつらも同様であり、まるで空から声が降ってきたかのようだった。

 そんな感覚だったせいか、誰かが天の声と言い出し、それがあっという間に定着していたが、それはどうでもいい。


 それよりも天の声が言った内容が問題だった。


『人類よ、試練を越えよ。

 ダンジョンより現れる魔物達が地上を本能のままに闊歩することとなる。

 魔物が溢れる時、地上とダンジョンの境界は束の間、失われると心得よ』


 誰かのイタズラを疑ったが、全員が同じ声を聞いている上に、あの声は何だったのかと調べる前に事態が動いたので、天の声を気にしている場合ではなくなったのだ。


「まさかこんなにも酷い状況になるとはな」

「ナオトのダンジョンで出た魔物ですら、死傷者を出してるんだろ」

「あそこはまだマシだけどな。怪我人は多いが、死者はここより遥かにマシだろ」

「確かに。被害が小さいからいいってわけでもないが、ナオトのダンジョンによる死者が30人程度なのに対し、ここじゃ500人以上もの死者が出てることを考えると、どうしても、な」

「あそこだけ被害が小さかったのも、ナオトがどうにか魔物達を抑えてくれたのかねえ?」


 ダンジョン周辺では死傷者が多数出ており、特にお年寄りの被害が多かった。


 しかし他のダンジョンの周辺に比べると、ナオト(仮)のダンジョンや、ナオト(仮)が勧めたダンジョンの被害は遥かに少なく、ダンジョンマスターが何かしてくれたのではないかと憶測されているが、真偽は不明だ。


 だが、いくら被害を抑さえてくれていたとしても――


「うわあああっ! 殺す、殺してやる!!」


 大切な人間が亡くなったものにとっては関係ない。


 この騒動で家族か恋人でも亡くしたのだろう。

 ダンジョンマスターに対する恨みを声高に叫んでいる男がいた。


 魔物殲滅作戦の邪魔になるため、その男はすぐに他の隊員によって安全な場所へと連れて行かれているが、あの様子では今にもダンジョンに向かってダンジョンマスターに復讐しに行きそうだった。


 この近くのダンジョンの魔物は、自衛隊が優先で派遣されなければいけないほど人死にを出していたので、ここのダンジョンマスターは人間にとってかなり害となる存在なのは間違いない。

 だが、人間にとって有益そうな被害が少なかった箇所のダンジョンマスターも、あの男のような人間にとってはきっと同じに見えることだろう。


「これからダンジョン、いや、ダンジョンマスターとどう付き合っていくことになるんだろうな?」


 そんな難しいことは上の人間が考えることで、俺はただ目の前の敵に弾丸を撃ち込んでいくだけだが。



 ◆


 ≪中原茉奈SIDE≫


「自衛隊はやっぱり来ないってことだよね?」


 わたしが夕莉さんと詩織さんにそう尋ねると、2人は揃って頷いていた。


「そのようですわ。他の被害が大きい場所が優先となっていて、死者が少ない(わたくし)達のいる所は低危険度地域に指定されましたから」

「じ、自治体と住民で協力して安全確保してほしいってニュースの緊急速報で言ってたもんね」


 安全確保とは言うけど、結局それって自力で頑張れってことじゃないの?

 全国で魔物が大量に発生していて、高危険度ダンジョンへの対応を優先しているって言われたら、文句も言えないけどさ。


「やっぱりこの時のためにマスターさんはわたし達に色々してくれたのかな?」


 前もってわたし達を戦えるように訓練してくれたのもその一環?


「それは分かりませんわ。でも事前に何か伝えようとしたり、棍を渡してきた時から知っていたとは思いますが」

「マスター様も私達のためになんとか動こうとしてくれたんだね」


 だったら魔物そのものをなんとかしてほしいとは思うけど、それができるなら武器とかそもそも渡さないよね。

 どうにもならないからわたし達を頼ってくれたのだろう。


「よし、休憩終わり! 頑張ってもっと魔物を倒していくよー!」

「ええ、まだまだ殴り足りないですもの」

「ぶ、物騒だな~。今は頼りになるけど……」


 詩織さんが呆れながら夕莉さんと何故かわたしも見てくるけど、それはいつものこと。

 それじゃあ、いっぱい魔物を間引いていきますか!


自衛隊の言うナオトからの情報とは第9話で得た情報のことです。

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― 新着の感想 ―
負の感情がダンジョンのポイントに変換されるなら、復讐したい人がダンジョンに入るとダンマスはボロ儲けになるのでは?大勢殺した人の方が後々、得する可能性も?
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