第110話 情報交換
≪カグラ(仮)SIDE≫
突然来た中間結果に、祈るような気持ちでその結果を確認したところ――
5011位中、4809位だった。
「マズいわね」
下から202番目ともなると、さすがに焦るわ。
幸いワースト50位までが隷属になるとはいえ、油断すればすぐにその順位まで落ちてしまうことになる。
やっぱり、人間をあまり狙わずに人工物の破壊をメインにしていたせいかしら。
でもあまりやりすぎると、人間側に私のダンジョンを資源としてではなく危険物とみなされてしまうから、匙加減が難しいわ。
「ナオトさんの方はどうだったのかしら?」
おそらく私と似た方針で動いているであろうナオトさんと、相談してみた方が良さそうね。
もしも私よりも順位が遥かに上ならアドバイスをもらいたいわ。
◆
≪ナオト(仮)SIDE≫
マルティアが寝ている間、事細かく魔物達に指示をするのは大変だ。
なにせ、〝魔物発生陣〟から出た魔物だけでなく、[ガチャ]で出た魔物もいるのだ。
[ガチャ]である以上ランダムなせいで、多種多様な魔物達がおり、一括で指示をすることはできない。
ゴブリンの様な人型の魔物とウルフ系の動物型の魔物と同じ指示をしても、どちらかができない指示になってしまう場合もあるからだ。
例えば、打撃系の武器でガラスを割って回れと指示した場合、人型なら手に武器を持って割れるが、動物型では口に咥えて無理やり割らせることになってしまう。スライムだったら重い物はそもそも持てないし。
だから種類ごとに指示をきちんと出さないと、そのうち勝手な事をしだして、無駄に魔物達が被害を受ける事になるので、ちゃんとしないといけないのだ。
「マルティアはよくもまあこんな面倒なことを、3日もやり続けたものだ」
思った以上に面倒でため息が出そうになる。
スライムだけ任されていた時はかなり楽させてもらったのだと思うと、イベント後にはマルティアを労ってやらないとな。
そんな事を考えていた時だった。
――ピロンッ
「ん、なんだ?」
誰かから連絡が来たようだが、俺にこうして連絡を寄こしてくる奴は今のところ1人しかいない。
「カグラか」
一体何の用事だ?
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イベントで忙しいところ悪いけど、情報交換できないかしら?
正直言って、私の順位があまり良くなかったの。
できればアドバイスが欲しいから、通話で詳しく話したいわ。
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カグラの奴、焦っているようだな。
下手すればまた隷属させられることになるのだから、焦る気持ちはよく分かるが。
ただ、俺としてもこの情報交換は悪くない。
なにせ得点の内訳が見えない状態なのだから、お互いの行動にどんな差があったかで得点を稼ぎやすい行動が見えてくるのだから。
俺はすぐさまカグラへと連絡を入れると、カグラも待っていたと言わんばかりに、すぐに通話に応じてくれた。
『もしもし』
「もしもし、俺だ。ナオトだ」
『連絡してくれてありがとう。早速で悪いんだけど、ナオトさんの順位を教えてほしいわ。
ちなみに私の順位は4809位よ。……こんな順位だからできればアドバイスが欲しいのよ』
すぐに要件を言う辺り余裕がないな。
ワースト50位に近い順位で俺よりもかなり厳しいし、そりゃ焦るか。
「俺の順位は4437位だな。
やったこととしては人間をあまり殺したりせずに、人工物の破壊をメインに動いて――」
そう言って俺は詳しく話始めたが、カグラはどこか納得いかない様子を見せていた。
『そう……。私も似たような事をしたわ。でも順位には思ったよりも差があるみたいだし、一体何の違いがあったというの?』
カグラから聞いた話じゃ、カグラのダンジョンの周囲も市街地であるためそこそこ人がいるようだ。
なので場所による違いだったとしても、ここまで順位に違いが出るとは思えない。
殺してしまった人間の数もそこまで違いはなく、しかも同じように高齢者が対象だったため、人間の年齢差でもそれほど差が出るほどではないはずだしな。
「もっと細かく比べてみるか」
大雑把に何をしていたかを教えても埒が明かなかったので、一つ一つの行動を挙げていき、それをカグラが魔物達にやらせたかを確認するしかなかった。
覚えている限りの行動を確認していった結果、カグラがしていない行動はこれらだった。
・人間をダンジョンに拉致する
・人間に武器を渡す
・人間の建物に侵入してパソコンの破壊
他にも色々あったが、有り得そうなのがこれらだった。
このイベントが冒険者の数を増やし、人間側に率先してダンジョンに挑ませるために行われることは明言されていて、これが判定外行動ボーナスに関わるのは分かっている。
なら、それにまつわる行動が得点となるのは当然だろう。
ダンジョンに拉致する事で、その家族や友人が取り返そうとダンジョンに挑むようになるかもしれない。(俺の場合は即解放したから当てはまらないかもしれないので、これは微妙だが)
武器を渡して魔物と戦うことに慣れさせれば、ダンジョンに挑みやすくなるかもしれない。
パソコンの破壊、と言うより仕事道具の破壊は、職を失わせることでダンジョンで稼ぎを得るために挑ませられるようになるかもしれない。
何が得点となるかは分からないから何とも言えないが、こういった類の行動がおそらく判定外行動ボーナスになったのではないかと俺達は考えた。
「だから一応俺の次の方針としては、こんな事を考えているんだが」
俺は自分が次に何をしていくかを話したところ、カグラは嘘でしょ、とでも言いたげな声で俺に聞き返してきた。
『え、それをやるの? 意味あるのかしら……』
「分からない。ただ、カグラと俺の差を考えると、得点に繋がらないということはないとは思うがな。
最悪、イベント後に影響があるから、やったところでマイナスにはならないし」
『……それもそうね。ありがとう。私も試してみようと思うわ』
これで得点が稼げればいいが……。




