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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
3章

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106/113

第106話 ナオト(仮)、それはダメだろ!?


 ≪ナオト(仮)SIDE≫


 スライム達をいくつかの部隊に分けた後、建物内へと侵入するよう命令する。

 狙いは休日でも人がいる娯楽施設だ。


 そこなら人が大勢いるし、危害を加える程度では1点しかもらえなくても、塵も積もれば山となる理論で大量得点が得られると判断。


 その考えのもと、スライム達に人間を襲わせたわけだが――


「なんか薄い本みたいになってる……」


 人間にとびかかったスライム達が服を中心に溶かすせいで、あられもない姿の人間達が大量に発生してしまったんだ。……老若男女問わず。

 絵面がひでぇ……。


「人間をあまり殺すと手痛い反撃を食らう事になるから、甚振るように痛めつけるだけの方がいいと指示したが、まさかこうなるとはな」


 いたぶるというか(ねぶ)るように辱めてるだけな気がするのは、決して気のせいではないだろう。


 ただ結果的に、服がぼろ切れになって羞恥で動けなくなっているお陰で、スライム達を倒すことができなくなっているから、こちらの被害は少なく済んでいるが。

 スライム達が人間に身体的にダメージを与えていないのも、人間達があまり危険だと認識していないのもあるかもしれないが。


「他の地域でも同様の騒動があって、そこでは人死にが多いとなれば、自衛隊なんかはそっちを優先するだろう。

 この方があまり国から妨害されなくて済むし、何より――」


 俺がスマホを覗くと、そこには明らかに戦い慣れていない一般人が、必死にスライムに対して近くにあった椅子などを武器に戦っている姿があった。


『この野郎!』

『こっち来ないでよ!』

『素敵な光景をありが――じゃなくて、許せねえ!』


 ちょっと顔がにやけているのもいるが、スライムに対して反撃している人間達が大勢いた。悪くないな。


「ジョブを持っていない人間に倒されるなら、貰える得点は大きいからな」


 おそらく命の危険が少ないと判断しているからだろう。

 服ばかりに被害があっても、命を失う者がいないなら恐れることはないと誰もが思っているんだろうな。


「期限が168時間、つまり1週間もあるのだから、得点狙いで高齢者を殺しまくった場合、最初は良くても、最後の方では失速するのがオチか」


 さすがに人間もやられっぱなしにはならないだろうし、自衛隊が来るまでは命を狙うような魔物には近づかないようにするはず。

 バリケードを敷かれるだろうし、それを乗り越えたり破壊しようとも人間の妨害があることを考えると、Fランクの魔物に武器を持たせたところで、突破するのは難しいだろう。


 いずれ自衛隊――しかも俺のダンジョンでジョブ持ちになっている者達が派遣され、駆逐されていくのは間違いない。


 上手く立ち回れば、バリケードを敷かれる前に魔物達に指示して人間をより多く殺せるんだろうが、色々と問題があるしな。

 いや、俺はあまり人を殺さない方針で動くのだから、それは考えるだけ無駄か。


「ただ、やってることがこれってどうなんだろうな?」


 スライムの戦闘力を考えると仕方がないこととはいえ、他に何か良い手はないだろうか?

 さすがに服にダメージを与えるばかりでは、エロダンジョンマスターとか言われそうで嫌なんだが。


 魔物が暴走したせいだ、って言っても、他のダンジョンと違って魔物によって亡くなった人の数が見るからに少なかったら、ダンジョンマスターが指示したんだろ、って言われるだろうし。


「さて、じゃあどうするかな……」


 とりあえずこのまま継続させるしかないのだが、何か思いついたら服を溶かす以外にもさせることにしよう。


「ある程度被害を与えたら他の場所に移動しろ」


 スライムと戦うやつが同じ人間ばかりになって、もう新たにジョブを獲得するやつが出そうにない段階で、その場から撤退するように指示を出す。


 出来る限り人が多く、それでいてダンジョンには潜ってなさそうな人間のいる場所をその日一日は手あたり次第に向かわせていった。


 ◆


「今日はそこそこ得点が貯まった、はず」

「自分達が今どれだけ得点を得たのか分からないのって、地味に嫌ですよね。

 私の方でもゴブリン達には女を攫って来させ、その女性達に武器を渡したり、コボルトやインプ達には人工物を破壊させ続けましたが、その行動がどの程度の得点になってるのか分からなくて、このまま続けていいのか悩みましたよ」


 マルティアはため息を吐きながら魔物達への指示を続けていた。


「少しは休んだらどうだ? このイベントは1週間も続くんだぞ」

「何言ってるんですか。まだ国が動かない内がチャンスなんですよ。

 ここでスタートダッシュを決めないと、どうせ後々動きづらくなって得点が稼ぎづらくなるんですから、初日は出来る限り得点を稼がないといけません」

「それはそうだが、魔物達が指示について来れないだろ」


 ソシャゲなんかはイベント周回が基本かもしれないが、操作するキャラが疲れないから出来る事だ。

 魔物とはいえ生き物である以上、ずっと暴れ続けるということはできるはずもない。


「せめて部隊を分けて適度に休ませてやれよ」

「そういうマスターはどんな指示を出してるんですか? 先程から特に何も指示していないように見えますが?」

「施錠されたオフィスビルの隙間に入り込んで、パソコン中心に中の部品をいじってやれって伝えたな。後は疲れたらその中で休めとも」

「うわっ、そのパソコンを仕事に使ってる人間にとっては大ダメージじゃないですか」

「閉まってる建物内だから人影もなくて、休むのに都合がいいしな」


 休日だから人間に倒される心配がほとんどないので、俺が見張ってなくてもいいというわけだ。


 被害にあった会社の人達は復旧頑張ってくれ。


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― 新着の感想 ―
害は有るけど命の危険は少ないとなれば積極的に戦う人も出てくるか。
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