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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
3章

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105/113

第105話 2人のダンジョンマスターと【願望】


 ≪カグラ(仮)SIDE≫


「はぁ、また厄介なイベントが来たものね」


 私は外に次々と排出されていく自分の魔物達をスクリーン越しに見ながら思わずため息をついてしまう。

 ナオトさんのお陰で人間がここに来るようになったのに、これでは敵対行動を取ってきたと思われてしまうわ。


「どうするんだいマスター?」


 デフォルメされたハクビシンの姿をしたサポート妖精のナナが、私の【自律・反抗願望】を刺激しないように尋ねてきた。


「やるしかないでしょ。何もしなければまた隷属させられることになるのよ」


 1年ほど前にダンジョンバトルで負けた私は、他のダンジョンマスターに隷属させられ、鬼人武者の桜を好き勝手使われたのだもの。

 そのせいで桜がナオトさんのダンジョンに侵入させられたわ。


 その時に触手に負けて媚薬漬けにされたせいか、桜に与えた個室から毎晩ちょっと人には聞かせられない声が聞こえてくるようになってしまった。

 あれ、聞こえてないフリするの大変なのよ。


「くっ、(それがし)はこの程度の触手責めに屈したりは――」


 とか、何をイメージしてるのかが何となく分かってしまうのも嫌だわ。

 そんな声を出して致してる時点で屈してるじゃないの。


 こうなった責任を取らせたかったけど、そうなると桜の状態を説明しなければいけなくなるから、無理だったわ。

 あんな事を説明するとか嫌すぎるもの。


 その桜も今回のイベントでは何もできない。

 メインはFランクの魔物だけなのだから。


「ナオトさんが人間達に私のダンジョンをおすすめしてくれたお陰で、その対応のために〝Fランクの魔物発生陣〟をいくつも設置してたから、今回のイベントの為の準備は余裕だったのが幸いね」


 今あるポイントの全てを〝Fランクの魔物発生陣〟に交換して追加できたけど、それは他のダンジョンマスターもやっていること。


 でも私は他のダンジョンマスターがあまり〝Fランクの魔物発生陣〟を設置せずにダンジョンを大きくしたりといった他の事にポイントを使っている分、魔物の数が多いはずなので、このイベントでは有利になっているはず。


「問題はどこまでやるか、と言ったところかしら」

「下手に人間に危害を加え過ぎたら、間違いなく敵視されるだろうね」


 ナオトさんとはイベント前に相談しているけれど、その時はFランクの魔物を大量に用意しておくくらいしか結論は出なかったし……。


 そんな事を思ったからなのか。


 ――ピロンッ


 考えていた人物から連絡が来たわ。



 *****************


 今回のイベントでは人間側にも通知が行っていることが分かった。

 得点を得るために派手にやっても、イベントのせいで仕方がなかったと言い訳が利く状態だ。

 あまり人を殺し過ぎない分には、人間からさほど恨まれなくて済むと思うぞ。


 *****************



 物凄くありがたい情報がタイムリーで入ってきたわね。


「決めたわナナ。人間はほどほどに狙いつつ、人工物をひたすら壊していくわよ」

「いいのかい人間を狙っても?」

「ええ。多少であれば問題はなさそうだもの」


 問題はそれで他のダンジョンに得点で差をつけられないかだけが心配だけど、それは数でカバーしていくしかないわね。


「コボルドは私が指示するから、ナナはゴブリンに指示を出しなさい」

「え、いいのかい? カグラが自分で指示しなくて?」


 ナナは明言しなかったけど、【自律・反抗願望】の事を言っているのでしょうね。


「いいのよ。1人でやるよりも、2人でやる方が魔物達にその分指示を与えられて、効率的に動かせるわ。

 その分得点も増えるのだから、そっちの方がいいに決まってるもの」

「なるほど。うん、分かった。任せてよ!」

「頼んだわよ」


 何より、このイベントでまた他のダンジョンマスターに隷属させられるくらいなら、今この一瞬を歯を食いしばって我慢した方が100倍マシ。

 あの時の人に命令される苦痛は二度と味わいたくないわ。


 Fランクの魔物の数と、サポート妖精と協力して魔物に指示を出す分、他のダンジョンマスターよりは有利になるでしょう。

 でも、たとえ数で負けてる上に自分で全てをやろうとするダンジョンマスターがいたとして、そいつが人間を積極的に殺しに動けば、その差はほぼ無くなるどころか不利になるはず。


「人工物の破壊で得点が伸びてくれればいいけど……」

「何か言ったかい?」

「いえ、何でもないわ」


 私は不安を隠して、魔物達へと指示を出していった。



 ◆


 ≪ミカゲ(仮)SIDE≫


「くははははっ。やっとイベントが来たな!」


 前のイベント、ダンジョンバトルでは、ミウとカグラ2人のダンジョンマスターを隷属させたにもかかわらず、ナオトのせいで2人を解放させられてしまった。


 イベント終了後、ダンジョンバトルを他のダンジョンマスターに仕掛けたかったが、ナオトに魔物をやられまくったせいで戦力が足りず、仕掛けたところで返り討ちに遭うのが目に見えていた。

 なんとかこの1年、歯噛みしながら戦力増強に努めていたが、未だ他のダンジョンマスターと決定的な差がつけられていないと懸念があったため、ダンジョンバトルを仕掛けられずにいたが、ここに来てこのイベント!


「このイベントなら得点さえ稼げれば、他のダンジョンマスターを支配下に置ける!」


 オレの【権力願望】を満たすのに、なんてピッタリなイベントなんだ!


「とにかく人間を殺しまくって得点を稼ぐぞ!」


 フハハハハハ。何が何でも上位50位にまで入ってやる!



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