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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
3章

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103/112

第103話 戦える人間


 イーヴ達やフィギュラスの人形のお陰で人間達に武器を渡すことができた。


 フィギュラスの人形ならダンジョン外でも活動できないかと思ったのだが、さすがにそんな都合よくはいかなかった。

 魔物どころか遠隔操作の人形すらダンジョンの外に出ることはできなかったため、人間達に何とかしてもらうしかない。


 もしも外でも活動できたのなら、人形達に魔物を始末させたり、取り押さえさせて人間達に倒させて得点ゲットできたのに残念だ。


 まあそこまでしなくても、人間命の危機になったら意外と頑張るもので、渡した武器を持って応戦しているから問題はないが。


「うーん、やっぱり剣より槍の方がいいみたいだな。そこそこ距離を保って戦えるから、魔物に対する不安感が薄れて戦いやすいんだろう」


 槍を中心に渡して正解だったか。


「Fランクの魔物相手にそんなビビってたら話になりませんけどね」


 マルティアが中々辛辣なことを言うが、日本人なんて生き物の殺生をろくにしたことがない人間ばかりなのだから、いきなり武器を持って生物を殺せと言われても忌避感が強くて難しいだろう。

 実際、武器を渡された人間の内、魔物と()()()()()のは3割にも満たない。


 戦えている、ではなく戦っているのがだ。

 武器を渡されたにもかかわらず、この場から逃げ出したり、戦っている人を遠巻きに見ているだけで何もしない人間の方が圧倒的に多い。

 ちなみにちゃんと戦えているのは全体の1割程度だ。


 今も次々とダンジョンの入り口付近に魔物が出現しているのだから、処理していかなければ大変なことになるというのに、これで大丈夫なのか?


 こんな人間ばかりではそのまま放置していてもダンジョンに入ってこようとしないし、魔物と戦いもしないか。

 そりゃ神もテコ入れしてこんなイベントを起こしたくもなるわな。


『2人とも行くよ』

『ええ、腕が鳴るわ』

『ま、待ってくださいよ~』


 もっとも、中にはまともに戦える人間もいるが。

 前々からダンジョンで魔物を狩っていた〝オファリング・メイデンズ〟の3人なんかは、嬉々として戦ってるし。

 いや、詩織はアクティブな2人に付き合わされてるだけなのだが。


『この取れ高は逃せない!』

『人を救って知名度UP!』

『みなさん、見てくださいこの魔物の数を!』


 他にも魔物と戦う動画を上げていた配信者連中も、まともに戦えているな。

 やはり前々から魔物と戦っている人間は、ジョブを持っているのもあって余裕そうだな。


『ダンジョン外でもちゃんとジョブが機能してるね』

『よく分かりませんが、天の声の言う通り、しばらくの間はダンジョンの外でもダンジョン内と同じ状態になっているのは間違いないですわ』

『し、試練とか言ってましたよね?』


 どうやら人間側でも通知があったようだ。

 ダンジョン側と違って、いきなりだったようだが。


 もしそうなら、俺がこの2、3日でイベントのための対策として人間側に色々している時に、人間側からイベントについて言及があっただろう。


 お陰でイベント後の後始末が多少は楽になりそうだ。


 ◆


 ≪中原茉奈SIDE≫


 今日はいつも通りマスターさんのダンジョンで魔物と戦う訓練を行う予定だった。


 集団と戦う際に同じパーティーを組んでいる夕莉さんと詩織さんとの連携にまだまだ不安があるからなんだよね。

 Fランクの魔物ってマスターさんが言ってるレベルの魔物相手だったら、何匹集まっても問題ないのだけど、1つランクが上になるだけで知能が上がったり、武器を使ってきたりするから意外と厄介なんだ。


「それがどうしてこうなったんだろう?」


 マスターさんのダンジョンの入り口に魔法陣があり、そこから魔物達が次々と湧いてくるのだ。


「これがさっき突然頭に響いてきた声の言ってた、試練ってやつか」


『人類よ、試練を越えよ。

 ダンジョンより現れる魔物達が地上を本能のままに闊歩することとなる。

 魔物が溢れる時、地上とダンジョンの境界は束の間、失われると心得よ』


 休日の朝に突然響いてきた声。

 あまりにも突然な上に、何が言いたいのかさっぱり分からなくて空耳かと思ったくらいだし。

 ママやパパに聞いても何も聞こえなかったって言うから、やっぱり気のせいだったかと思っていたら、一緒にダンジョンに行くために、マスターさんのダンジョン近くで合流した夕莉さんと詩織さんも同じ声を聞いていた。


「朝聞こえてきた声って、私達以外だとダンジョンに行った事がある人だけ聞こえていたみたいだね」

「ええ、そうね。正確にはダンジョンで魔物を倒した事がある人だけみたいだわ。SNSでそういった投稿が多くあったもの」

「し、試練って何をやらされるんでしょうか……?」


 そんな風に話していると、ふと2日前にマスターさんから何故か大量の棍を渡されたことと、マスターさんが何か伝えようとしたけど、謎の言葉になって伝わってこなかったことを思い出した。


「そう言えば、マスターさんに棍をたくさん渡されてたけど、それと何か関係あると思う?」

「持ち歩ける武器として棍をやるから、知人に配ってしばらく携帯するように言っておけ、と言ってらしたから、先ほどの天の声と関係がないと言うのは無理がありますわ」

「武器が必要になるような何かが起こるってことですか!?」


 わたし達は〝収納の指輪〟を貰ってるから、いつでも武器は出せるけど他の人達はそうはいかない。

 わたし達は急いで自分の家族や友達に、今日1日は渡した棍を常に携帯するよう伝え、出来る限り外出しないようにも伝えた。


 そしてその直後、マスターさんのダンジョンから魔物が次々と現れているのが遠目で分かった。


「行こう、2人とも!」

「分かったわ」

「わ、分かりました!」


 魔物がダンジョンの外に出ているという明らかな異常。

 おそらくこれが試練なんだと思う。


 家族や友達の事は心配だけど、今は目の前の事を何とかしないと!


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