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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
3章

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102/110

第102話 イベント開始


 イベントはすぐに開始された。


 神託のあった時間が9時50分だったため、イベント開始まで10分しかなかったのだから当然だろう。

 俺のダンジョンの中にいたFランクの魔物が全て消え、ダンジョンの入口前で5体ずつ一定間隔で次々と召喚されていった。


「分かっていたとはいえ、自分のダンジョンからあれだけの魔物が出ていくのは、色々と複雑な気分になるな」

「味方ムーブしていたのに、いきなり敵に回っているんですから、そりゃそうですよ」


 いつもであればダンジョン外はダンジョンの入口付近までしか見られないが、このイベント時には自身の魔物がいる範囲までは外の様子を確認する事ができた。


「って、何している!?」

『え、魔物が何でこんなに外に出てきて――うわああっ!?』


 ダンジョン外にいたインプ達が、近くにいた人間達をいきなり襲い始めたのだ。

 俺が何の命令もしていないのに、だ。


「おい、止めろ!」

『ギャギャッ!』


 しかしインプ達はこちらの命令がまるで聞こえていないかのように、攻撃を止めない。


「はっ!? そう言えばイベントの詳細に『()()()()魔物達に命令することが可能』とか書いてあったが、完全には言う事を聞かせられないのか」


 イベントの詳細を読んでいた時は得点の内容や隷属の方に意識がいっていてあまり気にしていなかったが、まさかこういうことになるとは思いもしなかった。


「ちょっ、こんないきなり人死にを出したら、人類敵対ルートはまぬがれませんよ!」

「分かってる。おい、インプ共。人間達をそんなすぐに殺そうとしないで、いたぶるようにイジメてやれ!」

「は!? なんでそんな命令を出すんですか?!」


 マルティアが信じられないような目でこちらを見てくるが、それを気にしている余裕はない。

 俺の考えが正しければ、この命令ならそこまで酷い惨状にならないはず。


 その考えが正しい事はすぐに証明された。


『『『ギャギャギャ!』』』


 インプ達は先ほどまでは飛び回りながら鋭い爪で眼球を貫こうとしたりと、かなり危ない攻撃をしていたのが一転して、服を切り裂いたり、髪の毛を引っ張って引き抜いたりと、少なくとも命に関わるような攻撃はしなくなった。


「え、何故なんですか? 先ほどはマスターの命令を聞こうともしなかったのに」

「人間を襲うということを起点にした命令なら聞くんだろ。もしくは魔物の本能に反しない命令とかならな」


 ただ人間に危害を加えるな、という命令であればダメなんだろうが、まず足を攻撃して機動力を奪えとか、そういった攻撃系統の命令なら問題ない、ということなんだろう。


 中々厄介だが、これで少なくともそう簡単に人が死ぬことはなくなっただろう。

 問題は人を殺さないことで得点を得られる機会が少なくなることだろうが。


 とはいえ、あまり残酷な事になるのは後々マズイ事になるのは明白だ。

 なんとかして得点を稼ぐには……。


「よし、閃いた!」

「今度は何をするんですか?」

「ゴブリン達、人間を俺のダンジョンに攫ってこい!」

「いや、無理ですよ!? イベント中はダンジョン内に戻って来れないんですよ」

「放り込むだけならいけるだろ」


 ゴブリンは繁殖のために他の雌を攫う習性があるし、本能に沿った行動であるのなら、自分の住処に人間を攫ってくるのは拒否しないはずだ。


『『『グギャー!』』』

『『『きゃああああっ!!?』』』


 思った通りゴブリン達は次々に人間を捕まえて、ダンジョン内に放り込んでいく。女性だけを。


「さすがに男は無理か」

「男相手に繁殖はできませんから。雌のゴブリンは他の雄と繁殖はできますが、同族との繁殖で十分なのか、男を攫うような習性はありませんし」


 だがそれでも十分だ。


「これでFランクの魔物からある程度被害は少なくなるな」

「なるほど。ダンジョンを避難所扱いにしたわけですか」

「それだけじゃないがな。入ってきた人間に説明して武器を渡してやってくれ」


 俺の指示に従い、イーヴを筆頭に人間と対話ができる魔物が、連れ込まれた女性達に槍などの武器を渡していく。


 アホみたいに[ガチャ]を回してるから、〝希釈の錬金窯〟を使わなくても渡せる武器はたくさんあるので、急いで〝希釈の錬金窯〟で増やす必要はない。


 それよりも問題なのが、会話が通じるかどうか。

 正確にはイベントに関わる情報を伝えられるかだ。


『この武器を使ってください。現在、神によって強制的にダンジョンの外に魔物が出ている状態です』

『え、なに? 武器をくれるのは分かったけど、その後に何て言ったの?』


 スマホ越しに様子を見ると、イーヴが武器を渡したり現状の状況を説明するも、女性は困惑するだけだった。

 あの様子を見るに、イベント関連の情報はイベント中でも伝えられないのか。


「ちっ、イベント後の後始末が面倒なことになりそうだな」

「ですね。最悪人間に敵視されても仕方ないでしょう」


 イベントの事を話せれば、人間への弁明が少しは楽になったんだが、さすがにそうはいかないか。

 もっとも、『お前が嘘をついてて、負の感情を集めるために人間を襲ったんだ』って言われたら、嘘じゃないと証明するのは難しいから、結局どうにもならないだろうが。


『伝わらない以上、今は気にしないでください。外にいる人に武器を渡していただけると助かります』

『わ、分かったわ!』


 何人かはそんな事できないと喚いてダンジョンから出ようとしないのもいたが、ダンジョンに連れ込まれた女性のうち、半分近くがすぐに動いて武器を外にいる者達に武器を渡してくれた。

 ダンジョンから出ない人間はこのまま保護だな。


 さて、これで多少マシになればいいが。



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