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第三十三話 優しくて甘いマドレーヌ

 一緒に食事をしてから、私と牡丹さんの関係は大きく変わった。


 前は敵視されていたけど、今は親切にしてくれる。


 嫌味を言わない牡丹さんは優しくて、頼れるお姉さんだ。


 友達という関係になったけど、心の中でそう思っている。



「マドレーヌを作ったんだけど、分量を間違えて多く作っちゃったのよね。

 よかったら食べて」


 休日に牡丹さんがうちに遊びに来て、マドレーヌがたくさん入った袋を渡してくる。


 ぱっと見た感じ、十個以上入っていると思う。


 それを受け取った瞬間に美味しそうな匂いがふわっと漂った。



「こんなにたくさんありがとうございます。

 甘くていい匂い……。

 卵の香りもしっかりしてますね」


「そうでしょ。和男さんのところの卵を使ったからよ。

 濃厚な黄身で美味しいから、ボタンファームの売り場でも販売できらたらいいのに」


「この前、和男さんが卵が余ってるからどこかで売れないかなって言っていました。

 ボタンファームでも数量限定で販売するとかどうでしょう?」


 ニッと笑った牡丹さんは、ちゃぶ台の上で指を組む。


「いい案ね。その意見、採用させてもらうわ」


「それじゃあ、近いうちに和男さんの家に行く予定があるので私から話しておきます」


「助かるわ。蒔菜さん、うちの会社で働かない?

 細かいところに手が回らないのよね」


「あはは。副業の候補として考えておきます」



 牡丹さんは、ボタンファームの経営が始まってから忙しい日々を送っている。


 今日はその息抜きといったところだろうか。


 ちなみに、聖さんの土地を買い取るという話はなくなった。


 初めて一緒に食事をした日に、私と聖さんのことを応援すると言って諦めてくれたから。



「牡丹さんってお菓子作りが上手なんですね」


「パパとママが喜ぶから、たまに作っているのよ」


「……親孝行をしていてすごいですね。

 たくさんあるので、三人で食べようと思います」


「れっ、玲司にも食べてもらえるの!?

 あたしの作ったお菓子をあの玲司が……!?」


 牡丹さんは真っ赤になった頬を隠すように両手で触れる。


 玲司さんの話をするといつもこうだ。


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