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第十六話 甘くてしょっぱい朝ごはん

 私を家に送り届けたあと、聖さんはまた人を助けた。


 行く宛がなかった玲司さんを連れてきて、空いている部屋に布団を敷き、しばらく泊まっていいと許可をしていた。


 もちろん、私も同じ意見だった。


 困っている人を放って置くことはできない。


 聖さんは玲司さんに警戒しているのか、私の部屋に布団を持ってきて隣に並べる。


 同じ部屋で眠るのが恥ずかしいのか、座布団一枚分くらいの間を開けているけど。


 私のことを守りながら、玲司さんを救っているようだった。



 次の日。目を覚ましてから、隣を見ると聖さんがいなかった。


 茶の間に向かう途中に食器を用意する音が聞こえてくる。


 いつもの毎朝と変わらない。……ひとり増えたこと以外は。


「おはよう、蒔菜ちゃん」


 玲司さんが明るい口調で挨拶してくる。


 私の代わりに聖さんの作った料理をちゃぶ台に運んでくれていた。


「今、聖が苺ヨーグルトを作ってるんだよ。

 朝から苺を食べられるなんて最高だね」


 和男さんからもらった苺を使っているんだろう。


 朝ご飯が楽しみになってきた。



 顔を洗ってから化粧をして茶の間に向かうと、ご飯の準備が終わっていた。


 普段だと、聖さんが料理を作っている途中だというのに今日は早い。


 きっと、玲司さんがいるから気合が入っているんだろう。



 座布団に腰を下ろしてから、ちゃぶ台に並んでいる料理を見る。


 目玉焼き、千切りキャベツと生姜焼き、小ねぎと鰹節がのっている冷奴、油揚げとネギの味噌汁。


 そして、小さく切った苺がたっぷり入っているヨーグルト。


 三人で両手を合わせて、ほぼ同時に「いただきます」っと言ってから食事を始める。


 温かい味噌汁で乾いた喉を潤してから、生姜焼きを摘む。


 ちょうどいい柔らかさの豚肉と飴色に焼かれた玉ねぎ。


 そして、甘しょっぱいタレに程よい刺激をくれるショウガ。


 美味しさを感じてからすぐにつやつやの白いご飯を口に運ぶ。


 ぴったりな組み合わせで口の中が幸せだ。


 聖さんは料理の味付けを目分量でしている。


 それなのに、こんなに美味しく作れるからすごい。



 生姜焼きの隣にいる千切りキャベツ。


 生のまま食べるのは苦手だけど、生姜焼きのタレをつけると普通に食べれる。箸休めにぴったりだ。


「どれも美味い……。聖って料理が上手なんだね」


「見様見真似で料理ができるようになった。

 この家に住んでいた祖母のおかげでもあるな」


「感謝しないといけないね。聖のばあちゃん、ありがとうございます!」


「大袈裟だな」


「最近、コンビニの弁当とかおにぎりばかり食べていたから手料理が体に染みるよ」


「忙しい生活を送っていたんですか?」


「まあね。……蒔菜ちゃん、オレを見たことがない?」

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