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第十一話 たくさんの思い出

 和男さんはテーブルを優しく撫でる。


「このちゃぶ台には、思い出がたくさん詰まっている。

 聖くんのじーちゃん、ばーちゃんだけじゃなく、村の人たちも大事にしてきたものだから」


「村のみんなでご飯を食べたとかですか?」


「ハハハッ。そこまでしたことはないだろうけど。

 ちゃぶ台を作るために使った木が特別なんだよ」


「高級な木材を使っているからだろうか?」


「いやいや、高級どころではないものだよ。

 御神木で作ったものだから」


「ごっ、御神木……!?」


 意外にも神聖なもので目を見開いて声を上げてしまう。


 物を置くのでさえ無礼な気がしてきた。


「ただのテーブルかと思っていたけど、特別なものだったんだな……」


 聖さんも私と同じように思っているんだろうか。


 ご飯茶碗の上に箸を置いて両手を膝の上にのせる。



「なぜそんなに貴重なものがうちに……」


「その御神木は、大昔からある幹の太い木でね。村で一番目立っていたんだよ。

 そこで待ち合わせする人も多かったんだ。

 でも、舗装された道路を作るために仕方なく切ったんだよ。

 大事にしてきた人たちにとって悲しい出来事だったけどねぇ」



「確かに、思い出の場所がなくなるのはつらいと思います」


「寂しいから、聖くんのじいちゃんとばあちゃんが頼んで、その御神木を分けてもらったんだ。

 何のかたちにして残したいってね。

 ちゃぶ台なら毎日使うし、お茶を飲みに来た人に見てもらえる。

 それで村の大工さんに頼んで作ってもらったわけ」



 テーブルというかたちになってからも、聖さんの祖父母は御神木を大切にしてきたんだ。


 このちゃぶ台は、値段をつけられないほどの大きな価値がある。……大切に使っていこう。



「聖くんのじいちゃんとばあちゃんは、些細な喧嘩をすることもあったらしいよ。

 でも、このちゃぶ台を挟んでご飯を食べると、心がすっと落ち着いて仲直りできたって言っていたね。

 あと、どれだけ怒ってもちゃぶ台をひっくり返したり、叩いたことがなかったって。

 大切にされてきたものだから、孫に使ってもらって嬉しいと思うよ」


「物置にしまおうと思った時もあったけど、そのままにしていてよかった」



「それに、お嫁さんになる人もできて安心してるんじゃないかな」


 和男さんは、にこっと笑って私の方を見る。


「わっ、私ですか……!?」


「聖くんから蒔菜さんとお付き合いをしてるって聞いていたよ。村の皆も応援してるから」



 いつの間に私と聖さんが付き合っているという話が広まっていたんだろう。


 結婚するとまでは話し合ってないけど……。



「私は余所者ですけど、村の人たちに受け入れてもらえているんでしょうか……?」

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