魔術と来訪者
「この子の種族は?」
「多分黒龍の幼子だよ」
「龍のですか?」
「うん、5年前くらいに龍の幼子が大量虐殺されて裏市場みたいな場所でオークションにかけられたらしい、それから龍族の長が生まれた赤子が歩けるようになった時に人化の術を教わるという方針になったんだ」
「詳しいんですね」
「ありがとう、って言っても本から得た知識だよ」
「どうしてこの子が黒龍だと分かるんですか?」
「この子がいた場所だよ」
「鉱山ですか?」
「うん、鉱山は龍が住処にしているから、この子があの場所にいたのは、龍の繁殖期だからだね、龍の幼子は攻撃魔術を使える龍が見張りか、使えないなら付き添いをするんだよ」
「確かに魔術を使っていましたね、火系統の」
「うん、そうだよ、龍の大半は種族によって得意系統の魔術というのが概ね決まっていて、黒龍は火系統、水系統、雷系統などを得意としている」
「という事は洞窟ではリスクのある火系統を使っていたのは」
「龍種は魔術とは切っても切れない縁があって、そのため他の種族より適正系統が多い、そういえばこの間黒龍狩りが隣国で行われたと聞いた」
「龍種は魔獣じゃないのでは?」
「うん、龍は違うね、各地に神聖な祠があるんだけど、その祠を守護する龍がいるし、龍神も存在するくらいだからね」
僕は気絶し寝ている幼子の額に手の平を置くと、仄かに白い光が浮き出る
「何をしているんですか?」
「魔力を分け与えているんだ」
「寝ているだけでは回復しないんですか?」「・・・」
「あの」
「わかった」
「えっ?」
「この子、親から魔力切れが如何いう意味か聞かされているのに、それを厭わなかった」
「魔力切れの意味ですか」
「そういえば説明していなかったね、では軽く魔力のことから学んでいこうか」
「はい」
「まず魔力というのは初期意識の投影であり、血液と同様に体を循環し体を支える大事な器官の一つ、正確に言えば多少の誤差はあるけれどある程度同じ意味を持つ、魔術の陣の構成には体内の魔力を使用して構成する、そこで魔術の陣を構成するのに足りない場合は構成が切れて、魔力は元に戻る、だけど、構成中の陣は脆く意図的の壊されたら、人的被害や今後の魔術展開に影響がある、魔力を消費すれば当然補給が必要、血液の場合は栄養の一部で補っている、魔力は空気中に酸素と共に漂う魔素を取り込み酸素と魔素の濃い部分を魔力に変換する、魔力は体内を縦横無尽に駆け巡り、魔術師の基本である強化魔術は魔力の流れを感じて、操作することが重要になる、魔力は縦横無尽に動くが魔術を使用する場合は魔術回路という名称になる、魔術回路は使用する系統により異なり、火系統であれば、火の魔術回路、水系統であれば、水の魔術回路という感じだね、魔力は魔術として放つ質量に個人差があり、陣を構成するために必要な魔力量を調整すれば多少威力などが変わる、使用する魔術によっては必要な魔力量も変化して、魔術陣の発動過程では、原理を順序よく実行する逐次展開、基本的な魔術は逐次展開だが、工程を踏まずに発動する魔術を略式展開という、日常的に魔術を活用したり、牽制などをするなら覚えていた方がいいけど、難易度が上級魔術程高いから、略式を使える人はそれほどいないね、それでさっき魔力は魔素を取り込むと言ったが、百の魔力量に対して、回復する魔力量は一の十分の一しか回復しないため、一つの例外を除いて魔素を取り込む回復法はそれほど現実的ではない、魔力を回復するには売買されている下位の魔力ポーションを飲み必要がある、魔力は必ずゼロになる事はなく、十程度は残るようになっているが、その十を無理に引き出した時、ゼロにになり魔力欠乏症という状態に陥る、魔力欠乏症の状態では脳へ出力されていた安全装置みたいな物が外れているから、その場で倒れて一週間ほどで動ける程度に自然回復するという感じだよ」
「な、なるほど魔力量が少ないというのは」
「それは普段から魔力が消費されているから魔力量の上限が縮小するということが一つの例だよ」
「魔力量を多くする方法は、魔力のポーションを飲む事ですか?」
「いや、一気に魔力を取り込むという状態に生物は慣れていないから、実行すると魔力酔いという状態になる、上限をあげるなら、体力や筋力、知識などを多く備える事とか、異質な能力によって上限を超えた例もある、ある国の副団長も異質能力を持っているしね」
「なるほど体力作りをすれば、自然と魔力も多くなる」
「欠乏症を指すのは魔力切れではなく陣を展開できないほどまで、魔力が少なくなった状態のことだね」「うーん」
幼子が寝返りをうつ
「この子、鉱山まで送りますか?」
「いや、少し様子を見るよ、この子が守っていた場所」
「龍の住処ですね」
「うん、いや、確かにそう言ったけど、それは大分前の話、多分今は違う」
「?」
「そうだね、この子が守っていたのは黒龍の墓地なんだよ」
「墓地ですか、あの子の大事な方でも亡くなったんですか?」
「それも違うよ、いや、惜しいの方が合っているかな」
「!、いや、そんなことは」
「そうだよ、心は読めないけど、君の考えている事は合っていると思うよ」
僕は器に茶を淹れて、二つ持ってきた、軽く会釈をして、茶を飲むと目を輝かせて一気に飲み干し、ホッと一息ついた
「美味しいですね、私の国にも茶はありましたが、これほど美味しい茶は一番高い紅茶などに匹敵します」
「茶の意味は心を鎮静するということだよ、落ち着き、状況を理解する」
「・・・彼女に家族や信頼し合える方はいるんでしょうか」
僕はヴィクティスの空の器に茶を足しているとき、器を持っているヴィクティスは黒龍の幼子の眠っている姿を見て、ふとそう口遊む
「いえば一人きりで亡くなっていった友の眠る場所を守っていたのだろう、その状況を見て、如何思うかは個人差があるけどね」
「個人差、ですか、私は石化していましたので、寂しさはあまり、溶けた後もあなたがいましたから」
「そうだね、あっ」
「どうしましたか?」
「いや、この魔力は、ヴィクティス、その子を連れて地下に行ってくれ、アハトはそこで待っていろ、相手は敵ではない、敵意を感じても抵抗するな、攻撃しても何もするな」
『はい、マスター』
ヴィクティスは黒龍の幼子を抱えて地下一階に身を隠し、確認した僕は、戸を開ける
「こ、今日は」
「はい、どのような用向きですか?リィンさん」「だ、だんちょ」
僕は反射的に彼女の口を塞ぐ、呆れた表情を僕は浮かべて、家に招き入れた
「ここが、だんちょ、あなたの家ですか、いい家ですね」
「はあ、ありがとうございます、それでなぜそのような装備でこちらに用向きなんですか?」
「はい、昨年より龍が激減しているため、姫様の命の元調査しにきた次第です」
「姫様ですか、国王ではなく」
「国王様は忙しいようで、代理として姫様が」
「あの王様は相変わらず妃を取らないのですね」
「はい、本来は国王妃様の仕事なのですか、第一王妃は暗殺でお亡くなりになりましたから、本気で愛してらっしゃったのでしょう」
「どうして僕の家に?」
「それは龍の住処である鉱山にある家に警告と避難の知らせをと、思ったのですか、必要ありませんでしたね」
「買い被りすぎですよ、リィンさん、僕は平凡なただの魔術使いです」
「ご謙遜なさらないで下さい、ところであの女性は」
「ああ、リィンさんは知りませんでしたね、この人はアハト、同居人ですよ」
「あの」
「はい?」
「どうしてそんなに他人行儀な話し方なんですか?」
「何を仰っているのですか、初対面ではないですか、初対面で敬語を使うのは合っていると思いますが、さらにあなたはラスレスト王国宮廷魔導聖騎士団副団長でも在らせられる方とお聞きしております、その偉大なお方に敬語を使用しないなど不敬に値しますよ」「あのその副団長の上の位であるアレクシア・トゥデイ様に比べればそれほどの無礼は、気にするに値しませんが」
「・・・僕は一応平民で魔術院でも平均値をギリギリ入り、成績も最下位であった僕など、天才とも名高い聖騎士様には足元にも及びませんよ」
「では命令すれば、敬語をやめますか?」
「副団長殿の命令が聞くのであればこのような態度は取りませんが?」
「いえ、私ではありません、もうよいですよ」
その言葉に家の扉が開くと、光り輝く銀色の髪が特徴的な少女が入ってきた
「で、では命令します、アレクシア・トゥデイ、普段通りにしてください」
僕は彼女を見た瞬間、片膝と手をついた
「はっ、姫様の赴くままに」
そういうと姫は僕を強く抱きしめる
「心配したのですよ」
「僕はただの平民だよ」
「はい」
「どうしてここにいるの?」
「先程言いましたよ?」
「本当のことだったんだね」
「ええ、お父様は最近多忙でして、代理として私が」
「何故二人だけ」
「それは」
「戦争か、お前は出なくていいのか?リィン」
そう聞くとリィンは怯えた表情をする
「アストライア様は副団長として私を守るように」「確かに王国最強のお前であれば問題ないだろうが、力を過信していないか?」
「そ、そんな事はお師匠様のご命令通り鍛錬は欠かさず」
「歩行する時右半身に傾いていたな?、おい、お前」
「な、なんでしょうか、お師匠様」
「何か隠しているな、そうだな、お前、命令を守っていないな」
「そんなことは」
「お前、魔獣以外を殺したのか?」
「い、いえ」
「あれほど、教えてやったというのに」
僕は右手を右に伸ばして手のひらに陣を展開した
「そ、その色は」
「ああ、お前をお仕置きした時に教えていたな、封魔の陣さ、魔術回路が動作をやめ、魔術の陣を構成することすらできない、元々物理戦専門だったお前にはお仕置きとはいえないか?」
「あの」
「はい、何か」
「私が命令したんです」
「嘘ですね、僕の魔術がそう言っている、それに龍は自分からは襲わない、鬼は人を襲えない、竜は害を成さない、魔族は力に溺れない、これ以上論を並べても意味ないな、お前命を受けているのに、何をしている」
「えっ」
「黒龍は生き残りを残し、一柱の例外もなく殺された、そんな中何をしている」
「わ、私は」
「はあ」
僕は溜息をついた
「上がってきていいよ、ヴィクティス」
地下のとびらがゆっくりと開き幼子と手を繋いでヴィクティスは上がってきた
「この子は」
「黒龍ガイアの忘れ形見であるアレイスだ」
幼子改めアレイスは名前を言われたことに驚いていた
「わ、私の名前」
「うん、知っているよ、黒龍ガイアの娘、アレイス=フォン=ディスティリス・トリテディス=アクト・エンドストレイス、あのガイアの娘なんだよ、リィン」
「そうでしたか、ガイア様、さぞお喜びでしょう」「どうだろうね、ガイアだったら、大馬鹿者と言いそうなのだが」
「知ってるの?」
「はい、ガイア様が自慢げにアレイス様の事をいつも話していたから」
「あの黒龍ガイア様というのは」
「暗黒龍王ガイアス=フォン=ディスティリス・トリテディス=アクトは神の一柱龍神の眷属であり、龍族の王として収めていた」
「龍王」
「うん、姫は知らなくていいことだけどね、ガイアは龍を殺すためだけに特化した集団に殺されていた」「龍神をよく思わない反宗教団体ですね」
「そうだよ、ヴィクティスの場所でも反宗教団体などがあったの?」
「そうですね、父の意向に反対する方は沢山いましたね」
「あの、お師匠様に頼みたいことが」
「・・・ふぅ、何かな?」
「はい、私と決闘を」
「理由は?」
「私の力量がどれ程上達しているのかを、それと」「良いが、ふむ、そうだな、戦わなくともお前の実力が上達している事は見ればわかるが、戦略や攻略があると言うのであれば良かろう、けれどお前は賭け事がないと燃えないだろう?」
「えっ、いや、別にただの腕試しなんですが」
「そうだな、お前が勝てば僕に叶えられる願いであれば叶えてやろう、僕が勝てばお前にはもう一度一から弟子として鍛え直すことにするよ」
「む、確かに私に利益の多いですが、お師匠様の元でもう一度ですか」
「いや、お前に拒否権などない、何故ならお前が僕に決闘を申し込み、僕が了承した時点でお前は拒否できない」
「うぅ、分かりました、全身全霊で勝ちにいきましょう」
「無論だ、僕も真剣にやらせて頂くよ、会場は鉱山から東側の高原、日程は明日、もう遅い泊まって行け」
「いいんですか、トゥデイさん」
「良いですよ、姫、姫に取っては平民の民家ですが、一般的平民の家よりは安全ですよ、アハト、晩御飯にしよう、用意してくれるかな?」
『はい、マスター』
「さて、明日の支度でもするか、ヴィクティスとアレイスは何かやるかい?」
「料理」
「アレイスは料理を覚えたいのか、何がいい?龍族名物の黒トカゲの蜂蜜揚げ?、それとも厳格な赤龍の長が口から火を吹くほど辛い氷菓子?」
「人間の」
「人が食べる料理か、いいけど味見を先にして見てね、そうしたら完成した時に味比べが出来るからね」
「うん」
「私は魔術の練習をしたいのですが、教えていただけますか?」
「教える約束をしていたね、いいよ」
そういいながら、アレイスと料理の支度をヴィクティスと魔術の練習準備を同時進行で行った、ヴィクティスには最初の基礎として知識を入れることにしたが、それでは勉強に荷が入らないと思い、知った知識を僕が聞き、実践に移すという形にした、そのため地下三階にある書庫の鍵をヴィクティスに渡した、目を輝かせて書庫の方へ向かった、リィンと姫は2階で何かをしているようだった
「うん、とても美味しいよ、飲み込みが早くて、教えがいがあるね」
「ありがと」
「マスターさん、フレイムトーチを覚えました」
「どのような構成をしている?」
「第二部基礎陣外部術式、第四部妨害術式、第一部時限式魔術陣、第五部攻撃系魔術補助術式で、構成されていました」
「うん、ただ第五部の術式は抜いても問題ないよね?」
「そうなんですか?」
「あっ、もう裏返したら」
「いや、もうちょっと待つ」
「見ててね、フレイムトーチ、これが第五部攻撃系魔術補助術式を含めた方なんだけど、これだと攻撃魔術としての効果も含まれているから、普通の火より長時間の燃え続ける物でしかないんだ」
「だんちょ、お師匠さまー、うちに戻る気はないんですかあ」
「ない、お前のところはアレクとガラン、シグがいるだろ、それに新人が入るのに、僕がいると直ぐに終わって勉強に為らんだろう、それなのに入れようとするとは、阿呆め、もう少し考えて発言しろ」
「えー、ガランさんが飲み仲間を欲しがっていましたよ」
「確かにガランの酒についていける奴は僕しかいなかったが、あいつもそろそろ酒をやめればいいだろ、あっ、塩をもう少し足した方がいいよ」
「じゃあ、シグさんが鍛えて欲しいと嘆いていましたよ」
「シグは諜報だろ、僕が教えられることなど高が知れているだろ」
「では、アレクが」
「あいつは特に何も思ってないだろ、あの脳筋なぞ、負け戦にでも放りこんでおけ」
「ではお師匠様、魔術を」
「お前、エンリアに勝ったというのに、まだ足りんのか」
「まだ、お師匠様には勝ってませんよ」
「それは僕がお前の弱点を知っているからな」
「うっ、アレクと模擬試合した時負けそうになったのって」
「弱点を知っていたからだろうな、うん、美味しいね」
「リアとも戦ったんだけど」
「まあ、あいつのことだ、弱点にも気付いていないだろうな、お前は弱点に気づかれなければ勝てるからな」
「弱点ですかー」
「お前、寛ぎすぎではないか?」
「実は新人が何十人も入ってきたんですが、その中でも一風変わった人が入ってきまして、エレイン・オルターというんですが、その子何故が運良く紙一重で攻撃を躱しつつ、被害を大きくするんですよ、私としては良いものと思っているんですが、よく苦情が私のところに来るんですよ、どうしましょう」
「知らんな、それは僕の知るところでは」
「お師匠様はあの団のだんちょ」
「それ以上言ってみろ、口が聞けないように、お前の体を魔力爆破するぞ」
「す、すみません、では何か助言でも」
「その子の欠陥はどこだ?」
「けっ、言い方はどうかと思いますけど、そうですね、辺り周辺の物を壊すところでしょうか?」
「違うな、それは欠陥を用いて起きた出来事だ、そうだな、例えばアレクサンダーの欠点は魔術が不得手なことだ、それ故に魔力を注がれると、この上なく魔力酔いを起こし、誰彼構わず攻撃する、この場合の解決方法は知識を増やして魔力への理解が深まる事で解決する、という感じだ、もう一度聞くエレイン・オルターの欠陥はなんだ?」
「・・・運の良さが人間離れしている事ですか?」「そうだ、基本的運の倍率は周囲の人数や出来事による、エレイン・オルターの運を基準として考えると、周囲が運の悪い者して見え、エレイン・オルターが破壊している、ように見えているというわけだ」
「なるほど・・・それで解決方法は」
「それはお前が考える事だ」
「御無体な、何か便利な魔道具か呪具でも貸してくださいよ」
「お前はいつも僕に解決方法を求めるな、副団長にまでなったというのに、少しは自身で考え動く事を覚えろ」
「お師匠様だって何もしていませんよね?」
「しているさ、それをお前が見ていないだけのことだ」
「マスターさん、ライトヒールの魔術を覚えました」
「やっぱりヴィクティスは系統外属性魔術聖の適性があるみたいだね」
「系統外ですか」
「うん、聖、闇、空などが系統外属性魔術といって火は水に、水は雷に、雷は氷に、氷は火にという循環の枠内には当てはまらず、個として強力な魔術の事をいうんだ、僕の場合は使う魔術の大半が系統外属性魔術の部類に入るね、ただ聖、闇、空、無の四種類を一つでも得意と言える魔術師はこの世界にはあまりいない、なぜなら、それほどの汎用性を持ち合わせていないと、知られているからだ、最も系統外属性魔術は覚えれば確かに画期的であり、使用方面においては汎用性の高い日常魔術で多大な貢献を誇る水系統の魔術よりも使用用途の高い魔術ではある、まあ、人気がないのも確かだけどな、闇系統は相手の体力などを奪う術が豊富ではあるが、その分魔力の消費が上位魔術並で、魔術陣の構成が複雑なせいで戦闘には不向きとされ、聖系統は癒す術はあるが、部位欠損が癒えるほどではなく、灯りを灯せるが火系統がそれをなせる、空系統には空を飛ぶという乖離性があるものの、その空でさえ、他の系統の補填できるって知られている、無系統に関しては実用性が攻撃に関しても、防御に関しても、回復に関しても、妨害に関しても向いていないことで知られているからね」
「そう悲観しなくても良いのでは、闇系統には体力や魔力に関して秀でています、聖系統には浄化という効果もあります、それに傷が癒えるという術は聖系統にのみ可能とするものです、空系統は使い手を自由にさせてくれます、転移魔術や飛翔魔術などもそうです、無系統はそれらの系統属性では成しえない、領域補完や、千里眼など生活補助もできます、それだけでいいと思いませんか?」
「お師匠様が同衾の女性に慰められています、ガランへの土産にしましょう」
「どうき」
「お前は死にたいようだな?」
「い、いえ」
「はあ、もういい早く寝ろ、姫もゆっくり寝て」
「わかりました」
「リィンのことは気にしないでいいよ、元々は正義倫理の元で宮廷魔導士になるようなやつだ、とはいえ実力が部下に劣るようじゃまだまだだがな」
「よく知っているのですね」
「そういうことじゃないよ、ただその場の会話への反応、歩き方、魔力の流れとかを見て、今ラスレストがどんな状況かはなんとなく聞けたかな」
「どういうことでしょう?」
「そうだね、じゃあ、少しずつ言っていこうか」
僕は台所から下げた器とは別の器に温められた飲み物を注ぎ持っていった、その器からは仄かに甘い匂いが漂う
「夜ですから、温かい物で」
「これは苦味が仄かにありますが、それよりも甘く口の中で暖かさと一緒に感じられて美味しいですね、東北の甘菓子でしょうか?」
「うん、少し甘味料をうまく混ぜてみたけど、口にあってよかったよ、ラスレストにはこういう甘い飲み物はなかったね」
「そうなんですね、私のところでは甘い物はケーキくらいですね、ケーキに紅茶がとても甘い食べ物でしたね」
「確かによく合うね、この飲み物にも合う食べ物があるかも知れないね、僕はあまり食に詳しくないから何も言えないけどね」
「これはマスターさんが作ったんですか?」
「うん、そうだよ、これほど甘い飲み物はラスレストにも帝国にもないからね少し工夫して見たんだよ、こっちの方が受けがいいからね」
「うけ?ですか」
「うん、例えば君みたいな感じかな」
「高評価だったみたいなことですか?」
「まあ、その方が分かりやすいかな、そこに飲みやすいって意味も追加するともっと良いかな、こうして客が来るようになったと考えると、そこのみで頂ける飲み物とかあった方が印象に残りやすいけどね」
「あの、聞き忘れていたんですが、マスターさんは魔術より剣の方が得意なんですか?、戦闘の最中マスターさんは戦闘を補助する魔術は少し使用しますが、剣を主戦に戦っているように見えましたが」
「いや、得意なのは魔術で間違いないけど、発動に時間がかかったり、魔力を消費するからね、回復には時間がかかるから、基本的には慣れている剣で戦うよ、槍や斧も使えるけど、剣は使いやすいからね、それに魔術と違って細かな操作は必要ないから、非常事態でもない限り極力魔術は使わないかな、確かに魔術は便利だけどね」
「外気の魔素を使用するというのは考えないんですか?」
「いや、多分出来ると思うけど、その分倍構成の時間がかかったり、属性魔術を使うことが困難になるね、簡単に言えば元々難易度の高い魔術が更に難しくなるという感じ」
「なるほど」
「話しが長くなったね、明日は早い、もう寝ようか、ヴィクティスは向こうの扉にベッドが一つあるからそこで寝るといいよ」
「マスターさんはどこで寝るんですか?」
「ここだよ」
「一緒に寝てもらって構いませんよ?」
「いや、それはやめておくよ、さあ、寝なさい」
僕はヴィクティスを寝室に入れて、大広間の灯を消して椅子に目を閉じて横たわる




