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黒龍の小さき守護者

「あいつら、俺らに気付いているのか、魔力の感知は出来ないはず」

「どういうことですか?」

「さっきから周辺警戒しているのに、こちらには誰も見てこない、ということはこちらに敵意や警戒をする必要がないと考えているんだ、けれど僕らは外で感知できるほどの魔力を抑え隠密をとっているから、並大抵の生き物では気づくことも、気配を感じとることも出来ない、多分僕らが交戦するつもりがないと、理解しているんだ、だからこちらを警戒しない、僕らがここまで来ているから脅威となる魔獣はこちらの方向にはいない」

「なるほど私たちがエンシェントウルフを警戒しているからですね」

「そう、僕らのことをあいつらは弱者と思っている、その弱者がここまで来た、さて、ここからどうしたものか」

「素通りでよいのでは?」

「そうだね、だけど、このまま遠くに行くのを待とう」

「近づいたら、襲われる可能性があるからですね」「うん、無駄な体力を使いたくないのはあちらも同じなのだろう」

僕は隠密を解いて、食事の準備を始めた

「あの、警戒は」

「こちらに気付いているなら必要ないでしょ、それに警戒ばかりでは疲れるでしょ、だったらしなくていいよ、もちろん命の危機とかだったら無理する必要はあるけどね、とりあえず、ご飯できたよ、アハト警戒は解かずに食事にしよう」

『いえ、私は』

「いいよ、こういうのは雰囲気が大事、食事は取らなくてもいいけど、取れないわけじゃないんでしょ」『はい、マスター』

自分の家で取れた野菜と家畜売買で手に入れた鶏肉のスープを小分けし二人にスープを渡した、アハトとヴィクティスは冷ましながら黙々と食べて行く

「とても美味しかったです」

『はい』

「ありがとう、美味しく食べてもらって嬉しいよ、それで動きはなかったようだね」

『はい、こちらへの敵意は感じ取れませんでした』「休憩したいところだけど、日が暮れる前に行きたいね」

そう言いつつ、いつのまにかいないエンシェントウルフなどのことも気にしつつ、周囲を警戒しながら目的に鉱山前までたどり着いた

「ここが鉱山ですか?」

「うん、ここで鉱石を必要なほど取ろう、因みにこの鉱山は僕の私有山だからいくらとっても然程問題にはならないよ」

「この鉱山があなたの、貴族の方だったんですか?」「いや、この鉱山はさっきも言った通り古龍級のドラゴンが数多に生息しているから、大体の人は近づけもしないし、一等冒険者でも、ドラゴンに傷すらつけられないから、買っても使えないんだよ、ここらの魔獣は特殊で普通なら保たない、ギフトを所有していて、そのギフトの一つで物理無効や魔力無効などをもっている魔獣が三分の一以上がここに生息しているから、並大抵の人でも勝てないね」

「はあー、あなたはお強いんですね」

「いや、魔術院で五浪するほどの落ちこぼれだし、毎年の魔術テストは最下位、魔術の基本である強化魔術すらまともに使えない、ただの魔術使いだよ、国内での魔術使用や最高機密文書の閲覧許可が手に入る魔術師の紋章も持っていないからね」

「それほど、難易度が高いんですね」

「魔術を使ってみる?」

「私でも出来るんですか?」

「出来ない人もいるけどね、基本的には出来ると思うよ、家に帰ったら教えるね」

「はい、ありがとうございます、それで奥に潜りますか?」

「うん、奥の方に珍しい鉱物が出来ているからね、いつも結構奥に行くよ、足元気をつけてね、時々骨が転がっているから踏み外すと、トラップみたいになっているやつもあるから」

「・・・何度か、来ているんですよね」

「うん」

「罠を外そうとは思わないんですか?」

「僕一人だったら、引っ掛かることなんてないからね、それにこうして複数人での行動はしてこなかったから、他の人が入る可能性も考慮してないよ、それに人がここを根城にされても困るだけだしね」

「確かにそうですね、ここではどのような鉱石が採取できるんですか?」

「えっと黒曜石、ミスリル、イヴライト、エンチャントトワイライトとかかな、いつもはないけどアダマンタイトとかもほしいかな」

「知らない鉱石ばかりですね」

「ミスリルは硬度に優れていているけど、相場が高くて一般人じゃ身売りしても買えないし、貴族でも全財産を手放して手の平ほどの大きさのミスリルが手に入ると言われる、黒曜石は色鮮やかな黒色で黒でもかなり綺麗な石、一般的に知られる黒曜石の大きさは下位魔獣が低確率で所持している魔核程度、効果としては魔術の効果を倍増させたり、魔術展開を加速させたり、魔力庫とかに使用されるな、イヴライトは一度しか使用できない願いの光という名前でも知られていて、ある物語にも登場している、物語の中ではオラシオンという名称の鉱石として出ており、主人公の騎士が姫の骸にオラシオンの首飾りを掛けて自身の命と引き換えに生き返らせたって使い道だったかな、まあ僕の場合は家を改造したいだけだけど、あるに越したことはないからね」

「・・・」

「ごめん、つまんなかったね」

「いえ、物語の方が気になりまして」

「そうかい?、それほど面白い話ではないけれど、気になるなら僕の家の地下書庫にあるから、見てみるといいよ」

「ありがとうございます、それで話の続きは」

「ああ、えっとエンチャントトワイライトかな、エンチャントトワイライトは見た目がかなり有名な宝石の一つで、一時的に能力を飛躍的に向上することができ、鍛造された剣は聖剣にも匹敵する切れ味や使い手を支援する遊戯能力も備えている宝剣と変化する、宝剣があれば聖剣にも対抗できると、どの国も聖剣を持っていないから疑似聖剣である宝剣の素材のエンチャントトワイライトを探している」

「私も戦闘に参加できるでしょうか?」

「どうだろうね、でもその話は家に帰ってからにしよう、家には色々道具があるからね」

「はい」

そう言い襲ってくる魔獣を倒しながら、奥へ奥へと進んでいった、そして分かれ道についた

「これはどちらでしょう」

「ここだよ」

「確かに大分奥に来たとは思いますが、まだ先がありますけど」

「ああ、そこから先は僕は行けるけど、さすがに人を護りながら戦うのは厳しいかな」

「わかりました」

僕は何かに気付いたかのように顔を向こうに向け

「二歩後ろに下がって」

「えっ」

ヴィクティスは咄嗟に二歩後方に下がると、火球が飛んできた

「危ないから、ね」

「えっ、と」

洞窟の奥には小さな女の子が息を切らして立っていた

「・・・」

少女は無言で前方に陣を組み立てる、僕は笑顔をみせ近寄る

「僕の名前はレクア、君の名前は何かな?」

陣が展開し始めるのを確認した後、ヴィクティスの手をとり、大きく魔術を展開した

「はあ、どうしようか、ねえ、言葉が通じていると思う?」

「そうですね、言語は理解していると思います、それと髪の色が黒色なんですが何か関係ありますか?」「えっ、いや、よく見えるね、って僕も黒だけど」「えっと私の世界では黒髪には天才が多かったですから、あなたもその類かと思いまして」

「いやいや、僕は平均以下の劣等魔術使いだよ、それよりどう思う?」

「如何とは?」

「僕的には警戒した結果がこれだと思うんだよ」

「相手は人が嫌いだと?」

「うん、人変幻や人化は龍や変異種の魔獣が時より極稀に使用できる者がいると聞く」

「変幻の類と」

「変幻や人化は魔術などではなく、ただの技量や才覚で成せる技」

「何かすることはあるでしょうか?」

「ここは先に付与していたあなたの魔術を解く」

「魔術って三歩のやつですか?」

「いえ、あなたは気付いていないようですか、魔の土地にも生き物は寄り付くものであれば、あなたの姿は異様に見えたでしょう、だから保険として人に見えるようにしておいた」

「なるほど、って危ないです」

「やはり複数魔術を使えるか」

驚愕しつつも左手の平の陣を前方に向け、魔術を防いだ、周りに火花が散りながらも、相手はすぐに魔術を放ってくる

「さて、生け捕り、説得、殺しどれをしよう」

「殺しはやめましょう、見た目は幼子のようですから、最大限、話が聞ける状態で連れ帰りましょう、ここでは危ないですから」

「わかった、気絶にするよ、って、あっ」

突如相手がふらつきその場で倒れるところ、寸前で僕が支えて抱えた

「体調不良でしょうか?」

「うん、魔力欠乏症の一種だよ、あれ程魔術を連発してたからね、幼子で思い出したけど、多分未発達だったから、魔力量が少なかったんだ、まあ、普通の大人よりはある方だけど」

「では鉱石を採掘して帰りましょう」

「うん」

僕たちはいくつかの鉱石を採取し、幼子を抱えて、家路を辿った


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