ふっ、また息子が増えたぜ!
いらっしゃいませ~
「ただい…ま…」
扉を開けた先にちんまい、女の子が腕を組んで待っていた…言わずもがなセツナっちだ。
「いい御身分ねぇ…ビルックに任せっきりで…お、じ、さ、ま。」
鬼が出た…。仕方なし!真昼間から酒の匂いプンプンさせてるのだから…
「いや、まぁ、お付き合い的な?」
「おっちゃんのとこに用があって?」
「ごめんなさい」
「雹はいいわ。どうせ飲まないし。」
「「ごめんなさい」」
ただ、ただ、謝るのみ。
「…まぁいいわ、食事は?今、戦場だけど。」
まだお怒りでらっしゃる…
「おっさん!あれ!あれ!」
?うん?トワ君なにを?脇腹、小突かれて痛いのですが!あ!そうだ!
「…!。セツナっち、お土産が。ビルックにも。」
「買収?いいわ、見せてごら…か、カレー?本当に?」
”収納”から鍋を出せば、ほら!蠱惑的な香りが場を支配する!
ふっふっふ…買収成功のようだ。
「ああ、なかなか本格的だよ。ナンと一緒にどうぞ。子供たちはちょっと刺激が強すぎるから無しね。雹もそのほうがいいって。」
「わかったわ。ビルック、ビルック!珍しいものが入ったわ。」
鍋を抱えてダッシュ!…チリ足ししようと思ったけど…また行けばいいか。
「チリあるよ~!」
「ちょうだぁ~い」
厨房の方から返事が返ってきた…ほっ。
転移門から、診療所に行く…
「今晩は。」
「はい!おじちゃん!こんにちは!」
うさ耳っ子だ。受付かな?
「こんにちは。先生はいる?ご飯は食べてる?」
「うん!沢山たべた!果物も沢山!リンゴがすきなの」
「あらあら、この子ったら、お待たせしちゃって。」
「先生、夜分すいません。あの子たちの様子は?」
「ニコ君はまだ…ハセル君は」
…。
「トワ兄?さっきはありがとう。あなたが…親父…になってくれる…のか?」
「あ?ああ。ミッツだ。まずはニコ君のようすを診よう。」
なに?この迫力?子供だぞ?
「うん?ハセル、飯は食ったのか?」
「肉食った。トワ兄。」
…獅子故の迫力?
ハセル君もついてきた。で、ニコ君のベッドに。
「どうよ?」
「っ分かんねぇって。俺、医者じゃねぇし。」
「だわな。取りあえず魔力、流してみっか?」
「…そこは魔法にしよう。おっさん、魔力くれ!帰ってこい!」
…
「よし、ニコ君はこのまま様子見だな。先に飯に”ガバリ”」
「飯?飯!?あれ、おいら…トワさん?夢じゃない?ここは?」
あらら。飯で起きたわ。
「…おかえり。良く戻ってきたね。ここは、おいらん家だ安心してくれ。」
「…」
「ああ、俺たち人族だが、この世界とは違うとこの人族だ。君が悪人じゃなければなにもしないよ。」
”ぐぅうううきゅりゅぅう”
「あらら。まずはご飯だね。優しい物の方がいいかな?トワ君うどん残ってない?」
「食っちまった」
「…そう、じゃぁあ、麦粥にでもするか。先生キッチン借りるよ」
ぽかんとニコ君を見つめる先生。驚いて顎が落ちそうだ。ふふふ。これで二人とも復活だ!
「え、ああ…ニコ君。痛いとこない?」
先生が触診。再び、
”ぐくきゅきゅるるる。”
「先生?ああ…腹すきすぎて…腹が痛い…」
「…もう、大丈夫だね。」
…。
がっつくニコ君を諫めながら観察。窒息するぞ。
「ほら、腹がびっくりするからゆっくり。ジュースもあるぞ。」
なかなかに曲者臭がある。狐の類なのだろうが…フェネット?大きなお耳がキュートだ。
「ぷっはぁ~食った~食った。おっちゃん!ありがとぉ~じゃぁあ、帰えっかぁ~先生も世話になったね。お金ないから今度ねぇ~貧乏人は辛いぜ!じゃあ!」
ふふふ。しゅたっ!と手を上げるニコ君。
「おーっとまちなぁ!」
「おっちゃん、なに?おいら、金ならねーぞ!1鉄貨も!」
「帰るとこあんのか?」
「…んなもの、路地さぁ~」
「ここにいても良いぞ…」
「…でも、おいらは鼻つまみ者さぁ。」
「なにお子ちゃまが気取ってんだ?」
「ガキじゃねぇし!自力で…生きて…」
「まぁ、邪魔はせんさ。ここで修業するといいさ。勉強もできるし、飯だって食わせてやるさ。大人になったら自分で稼げよ?」
「…いいの?」
「ガキが遠慮すんな。」
「…うん。」
撫でり。いいな。撫で心地。
「が、ガキじゃねぇし!」
次は…何故か貫禄のある獅子?のハセル君…
「「…」」
「「……」」
「親父?」「ああ」
「「…」」
…。
「おっさんどうした?」
「なにやら謎威圧が…」
「まだ、ちっこい子供だぞ?」
「ふむ。」
「親父?」
”ぷぷぷくす”
笑ってんじゃぁねぇ!
「ハセルは家の子になるのかい?」
「うん、トワ兄と強くなる!どんな力にも、権力にも負けない!」
おぅう。なんという覇気?ハセルかぁ。力強いな!
「あ!じゃぁ!おいらも!おいらも!」
ぴょんぴょん跳ねながら手を挙げて猛然アピール。ニコ…軽いのぉ。そなた…。
「まぁ、いいか。ニコもか?お主、軽いぞ?」
「家族って言ってもピンとこないんだよなぁ、実際。おっちゃんについていけば、何となく勉強になるかなぁ、って。」
「勉強?ああ、本やら何やらは準備してるぞ?」
「いやいや、おいら、こう見えて”口”で生きてきたんだ。おっちゃんからは同じ匂いがする!同類だと!」
「お子ちゃまのわりに良くしゃべると思ってたが…確かに曲者臭もする。よし!ニコ!お前は口で力を制する!ただし、単細胞の短慮が多いから、武術訓練も忘れるな!刺されたら洒落にならん!交渉事の時はおいらの隣で学べ!」
「おう!父ちゃん!おいらに万事まかせろ!」
「ぶっはははは。良く似てるよあんたたち。二人とも口は達者だし、”おいら”だしねぇ。」
「ほんとだ、妙にしっくりくるな…おっさん2号か?」
「「そう?」か?」
「ぶはっ、シンクロか!」
「親父、俺もおいらのがいいか?」
「ハセルは…そうだなぁ?”某”だな。うんうん。」
「変なこと教えんなよ。おっさん!ハセルはハセル。普通でいいぞ。今まで通りで”俺”でいいぞ。」
「…某?なんか…かっこいいな。」
「おっさん!」
ま、いいべ。
ハセルとニコを抱きしめる。
「ようこそ第二の人生だ!好きに生きろ!我が子よ!」
「うん」
「おう!」
二人増えた…もう心も腹も一杯だ!…酒も入ってるし、拡張がまだかかるようなので…
ニコがついてきたので一緒に寝る。女房候補はいないのかい…もういいけどね…
…。
えっほ、えっほ。
今朝は屯所にGO!ニコもハセルも病み上がりだが、合流してる。本当にタフだわ…
「ハセルは何使う?刀にするか?とりあえずの基本は長剣で学んで、トワ君かセツナっちに習うのがベターだな」
「親父殿の指示に。」
「親父殿?…誰だ?変な言葉教えたのは!」
「セツナ姉上です。」
「セツナっち?…あれ?紹介したっけ?」
「おっさん、昨日見つかっちゃったみたい。拉致られたようだ…」
「全く…普通で良いぞ?」
「某、気に入っているから」
「…なんか、いろいろ混ざってるよ…まぁ。修練だ」
「おいらはレイピアね!」
「ニコ?レイピアなんか使えるのか?」
「ふふん!ぜんぜん。これから極めるのさぁ!」軽いのぉ?
「…がんばれ!」
「おう!」
このお調子者め!でも、可愛いな。今までいないタイプだ。
「おはよう、旦那。ん?ハセル?…か…」
「はい。事故の時はお世話になりました」
「あ、ああ、もう大丈夫…なんだな。…て、ことは…旦那?」
その何とも言えない表情…うぁ!面倒ごとが!ってね。
思い至ったようですなぁ!隊長!その通り!
「ええ。我が子になりました。私、自分の子を半殺しにされて黙ってるほど間抜けじゃないので…」
「旦那ぁ…」
「お貴族様にお伝えくださいそのうち伺います。って。そうそう。ついでにこの子も息子にしました。」
「うん?」
後ろから抱き、隊長殿の前に披露!
「あの”ニコ”君ですよ~」
「…ま、まさか。」
「ええ、今日は冒険者ギルドの進捗具合もお聞きしたいですね。なぁ。」
「あの”ニコ”です。ついでに息子になりました!以後お見知りおきを。スルガ隊長。いろいろお世話になりまして。」
「ニコもこの通り、完全復活ですし?落とし前の一つや二つ、先生への慰謝料も私の施した高度治療費も…ギルドから頂きませんと。」
「おいらも斬られ損の殺され損。復活してよかったね!でおしまいじゃ笑い話にもなりませんて。先方によろしくお伝えください。」
「…おいおい旦那が増えたぞ…トワ?」
「「そうですか?」」”げらげらげらっ”
「でしょ!よく似た親子。笑える。」
「笑えねーよ!ただでさえ厄介なのに…」
「え、そうでしたか?」
「…まぁいいさ…ギルドはまだ認めてない。ニコ君の証言が得られれば落ちるだろうさ。『癒しの手』だっけか?あれも出街禁止となってる。行くときはいっしょに行くぞ?」
「フム…早い方がいいな。午後からではいかがでしょう?」
「…ああ、大丈夫だ。準備してまってるよ。はぁ。」
「頼みますよぉ!隊長!」
「…おう。でも良かったなぁ。ニコ君。」
「おう!」ふふふ。
そのあとは組手をしたり、素振り。ファムが”武器!武器!”とごねて、衛兵さんを困らせたり…いつも通りの訓練風景だな。
よし。飯食いに帰ろう!午後は忙しいぞ!
午前中に鶏舎の図面でも…サクッて書いたけど…日曜大工で最大はウッドデッキくらいのおいらじゃ…建築関係いっても数字オンリーだったしなぁ。どうすりゃいいんだ?
「というわけで、ブラウンさん知恵貸して。」
「…旦那どういう訳かは不明だが…鶏舎か?…俺が知ってるとでも?」
ですよね~
「いやぁ~さっぱりで。私の知識にもあるんですが…何分、鶏がデカくて…素人の構造物だと潰れちゃうかなと。」
「どんな感じなんだ?」適当に説明する。
「…ここに人を入れないことが前提にあるんだよなぁ。この場所知ったら…」
「そうなんだよね~それがネック。外で平屋位の家造ってもらっても…マジックバッグって入るものか?」
「きついだろうなぁ…どっかの、ギルドや、大店のなら…」
「うん?ヴァ―トリーさんとこのなら借りられるぞ。容量小さいけど。はったりになるか?」
「ああ、で、トワ君の収納にいれればよかろう。」
「ふむふむ。」
「移動可能な平屋、とでも発注すればいいかもな。」
「移動可能?」
「ああ、大きな馬車サイズの。貴族の道楽にそういうのがあると聞いたことがある…旅で使うと。」
「キャンピングカーみたいなものか?収納で運ぶから、車輪はいらんな。数台並べる?移動も楽だ…石屋で台石を…敷き藁もいるな…当分は乾燥飼い葉でしのぐとして…農業も進めたいな…」
「旦那…ここに村でも造るんで?」
「あ、すまない。邪魔したな。いい知恵ありがと!行ってみるよ!」
よし!目途がついたぞ!
…鶏舎用の大量の材木…どうすっかな。まぁ、村が出来れば使い道もあろう…
本日もお付き合いありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




