俺の姉貴、女ドワーフじゃないぞ。たぶん?(トワ氏談)
いらっしゃいませ~
引き返し、北門に行きすがら、途中の店や屋台に寄り、食材などを購入していく。
「そういえば、トワ君、小麦粉とかってまだあるの?」
「ああ、結構あるよ?貰って来たの。ほしいの?」
「いや、最近消費したからさぁ。補充しようかなぁって。ギルド通せば手配してくれるだろ。運賃高いから現地渡しで。」
「ふ~ん。おっさんの収納も進化したんだよなぁ。安いときに仕入れておくのもいいかもね。」
「ああ。」
「よし!今度のディフェンでまた軍事物、資強奪してくるか?」
「こらこら…状況次第だな…戦、準備してたら…かっぱらうか!」
「いいね!楽しみが増えた!」
悪い顔で笑うトワ君をみながら。
「かっぱらう…って父さん?」
おいらか!おいらなのか!雹!父ちゃん涙が…。
などなど物騒な話をしながら木材店へ…
「なるほど、鶏舎に使う木材ね。住宅用で大丈夫だよ。丈夫だし。」
「では、あるだけください。」
「どこに運びましょうか?」
「マジックバッグがあるので持っていきます。」
「まぁ、羨ましいですねぇ」
「ええ、飯の種ですよ。」
と数店を渡り歩き爆買いする。
「ふい~結構買ったな…木材はもういいか…」
「釘とか、道具は?」
「おっちゃんのとこか?あすこ行くと飲み会になるからなぁ…」
「街中帰るなら一応は途中だし?寄っていこう!」
このドワーフバカは…
「雹行っても詰まらんだろ?」
「面白いよ。お酒飲まないけど。腸詰沢山あるし。」
「そか…」
「それに今日はお願いしたいこともあるんだ。」
「へぇ?お願い…雹が?」
「うん」
「…そか。自分でしてみなさい。応援はするよ。」
「うん。」
「じゃぁ、寄っていくか。」
「おう!まってろよ!ドワーフ!」
ケンカしに行くんかい?君は…
”がらんがらんがら”
「おじゃぁまぁ~します~」
「邪魔するなら帰れ!…おう!トワたちか入れ!」
どっちやねん…
「おっちゃんきたぞ!あれ?ミツゥーヤさん?」
店の中には黒執事。ミツーヤさんの姿が。
「今日は。例の件の依頼、打ち合わせで参りました。」
「ああ!なるほど!グローヴィンさん、すいません。ワインの件、口を滑らせまして…ご迷惑を…」
「ぬ?何が悪いんじゃ?特段気にせんぞい。旨い酒を選ぶ。ただそれだけじゃ。」
「…お手数かけるかなと。」
「ふむ。ワシ等くらいの目利きができるのはそう多くはないじゃろが…その都度、多少~ちょいと分けてもらえばええしの。ワシもあっちゃこっちゃ行けて良いのじゃ。」
「ええ!おっちゃんが行くのか!」
「まぁ、どうなるかはお嬢の商会の判断だがの。が!ワシは行くぞい?…飲み放題じゃ!それと造っている場所や、保存方法なども見たいしの。」
「ギルドの方は?」
「わしがおらんでも大丈夫じゃろ。なんならセツナ嬢に代わってもええぐらいじゃ。」
「…何かやだな…ドワーフの親分が姉貴って…」
…うん。
「なんでも、同胞がゴルディアで扱き使われてるとか。視察団を組んで訪問する事がさっき決まったのじゃ。…世話になるの。」
「ゴルディアにはギルドは無いのですか?」
「ある。大きな支店がの。衛星町、村は支部扱いじゃ。本当は定期的に回らんといけないのだが…ワシらはどうも移動はのぉ。遅いし、馬自体が苦手じゃぁ。」
納得。
「その点ならセツナっちが指揮したほうが良いかもね。人族や、他種族つかって熟すだろうし。」
「うむ。最初反対しとった幹部連中も今は皆、賛成じゃと。明日、ギルド主催のお嬢の歓迎の宴やるんじゃがトワ達も来るかの?」
「おお!…あ!用事あったんだ…今回は、パスで…」
”ドン、ドン”。”ござぁ”
「おっちゃん、酒と、キノコ差し入れてく。楽しんでくれ。」
「おお。何時もスマンのトワ。で、今日は飲んでくのかの?」
くいと、口元でデスチャー。黙って帰らせる気はないらしい。
「もちろん。」
”ドン、ドン”
更に、酒樽が出される。今日の分ね。
ま、トワ君も最初からその気だからなぁ。
「あと、エキドレアで買ったぶっといソーセージあるけど?」
「炉で炙るか!おーい!フロイダン達に声かけてこい。トワ達が来たとのぉー!」
『はーいーー!』
”どがどがが…”裏口から行ったようだ。毎度ご苦労様です。
「…ミッツ様、いつもこのような?」
と、ミツーヤさん。よもやいきなり酒宴になるとは思うまい。
「ええ。来ると酒宴です。うちのトワ君がドワーフ族自体に大変好意を持ってまして。エルザさんからの紹介状を出す前から酒盛りしてましたよ。」
「いやはや。」
「グローヴィンさんも子や孫みたいに可愛がってくれますし。そうそう、ミツゥーヤさんも飲んで行かれては?」
「羨ましいですが…」
「じゃ、仕事にしましょう。鍛冶師ギルドとの懇談・情報共有。ワイン選別試験の実施、この後選んでもらって、一樽店に持ち帰るというのは?それに、付き合い無くしてドワーフは動きませんよ?まぁ、今回は”酒”絡みですので、行く気満々ですが…」
「そうですね…交流無くしてドワーフ族は…。いいですな…ご相伴になっても?」
「歓迎しますよ。」…
”どがどがどが…ばん!”
「おお!来たかトワ!」
「呼ばれるぞい、そうだ、ダワーリンの爺様が来てたので連れてきたぞい。」
おお!白髪…どっかと樽型!貫禄の老ドワーフだ!
「わしがダワーリンじゃ。お邪魔するぞい。いつもこやつらが世話になってすまぬのぉ。」
「おお!ドワーフ爺ちゃんだ!俺、トワよろしく!」
「私はミッツ、これは息子の雹、本日参加のヴァ―トリー商会のミツゥーヤさんです。」
「ダワーリン老、お会いできて光栄です。ヴァートリー商会のミツゥーヤと申します。」
「気軽にの。さて、さっそく…」
「その前にいいですか?」
「なんだよおっさん!」
「ワインの選別をお願いしても?」
「おお!良いぞい!みせてみろ。」
「おお!」「やってみようぞ!」
「どれどれ~選ぶぞ~い」…
”どどおん”
中庭にワイン樽を20出す。ダワーリン老も参加するようだ。
「ふむふむ」「ほうほう」”こんこん”
「むぅ」”こんこん”…
樽の周りを椅子取りゲームのように回り、気になった樽を拳で叩くドワーフ達。
「これと、これと、これじゃ。」
3樽を選別。あんなので良くわかるな…。
「で、これが最上じゃな、次点がこれじゃ」
とダワーリン老。
「じゃぁ、ミツゥーヤさん、次点のでいい?折角選んだのを横取りは…」
「心得ておりますよ。グローヴィン様の逆鱗に触れます。」
「次点のは参考に店にもらっていきます。最上と、3位ので楽しみましょう!」
{おおおぅ!}
「な?ミッツ様!あ、開けてしまうので?」
「へ?もちろん。飲むために選んだんですよ?」
「はぁ?…あ、ああ。」…。
「おお!至宝火炎茸か?しかも、もぎたてのようじゃぁ!」
「爺ちゃんも食うのか?歯がふっ飛ぶぞ?」
「ふぉふぉふぉ。飛んでも構わん!」
構えよ…流血とか…イヤだぞ!
「爺様、トワが採ってきてくれるんじゃ。一本いってもよいぞ!」
「ぬ?い、一本食いじゃとぉ!貴様たちわ!」
「ほら、爺ちゃん、食え!」
「と、トワ様?」
うん?ミツーヤさんの対応…この爺様も重鎮なのだろうなぁ。
「おうおう、頂くよ”ごぎゅうぎびきびき…”おふぅ、おおう…うま、うまい…死にそうじゃぁ」
逝くなよ…マジで…洒落に聞こえん…
「ほら、これ」
「おうおう、”くい””ぼくおうぅふ”おお!うぅ…。至福じゃ~」
「はははは!さすが!爺ちゃんでも丈夫だなぁ!」
「み、ミッツ様、今、ば、爆発?」
今も、ダワーリン老の鼻の穴から白煙が噴き出ている…
「ええ、このキノコ、ドワーフたちの好物ですよ…私たちには硬すぎで…しかも蒸留酒をあわせて飲むと爆発します…おすすめはしませんよ。そのうち、”ぼふん”ほら、始まった。」
あちこちで爆発が起こり、白煙が上がる…
「…こんな世界もあるんですね…」
「参加してよかったでしょ?まぁ、一杯」
「う、うまい?…あ!最上でしたね…水のように…」
「価値観の違いですよ。」
「はぁ。そうですね。3位も頂いても?」
「その意気ですよ。ええ。もう開いてるようですよ?」
「いそがねば!失礼!」
そっと雹の方をみる。
「ブロールさん、手甲と蹴甲を注文したいのですが…」
「ふむ。ワシの手じゃぁ。高いぞい?会計はまとめておけばええのかの?」
「いいえ。僕が発注、お金を払いたいんです。僕じゃ信用足りませんか?」
雹の頭を撫でながらブロールさんは、
「…よう言うた!造ってやるぞい。しっかり請求もする。頑張って払うんじゃぞ。」
「はい!ありがとうございます!」
うんうん…。
「ケチくさいジジィじゃのぉ、それくらい造ってやれ!」
「そうじゃ!そうじゃ!」
「しみったれめ!」
お仲間のドワーフ族の方々からはブーイングの嵐だ。ははは。
「アホ言うな、これは漢の第一歩じゃぁ。応えてやって何が悪い!」
わいわい…。
「よかったなぁ雹」
「うん。」
「それにしても…甲か、良い着眼点だ。」
「以前、盗賊の一人がしてたんだ。安物か、トワ兄に両断されてたけど…」
…おぅ。
「…トワ君もたいがい化け物だからなぁ。アダマンタイトやろうか?」
「先ずは打ち合わせしてみる。」
「そか。」
いくらかかっても…と口から出そうだったが堪える…先ずはやらせてみよう。
「ソーセージ焼けましたぁ」
大皿に大量のソーセージ。直火でじっくり炙ったのか?炉で炙るとか言ってたもんな…皮目がヤバすぎる…絶対旨い…雹…いつからそこに?いい場所取りだ!
「今日はトワ達が買うてきた、エキドレア産じゃ、楽しんでくれ。お前らも混ざれ。」
「「はい!」」
お弟子さん達も嬉しそうだな!
「ミッツさん、素晴らしい酒宴ですね。いままで、やれ、王族だ、貴族だと参加してきましたが…ここまで旨い酒、摘み。なにより雰囲気。こう上等な酒を雑談しながら、かパかパと…価値観の違いと分かってますが…グラス半分のワインをくだらない蘊蓄を聞きながら…なんと矮小なことか…」
「まぁ、普通はそうなんでしょうけどね。」
「ええ。判っておりますとも。長年貴族社会に身を置いた某。それが普通。ただ、何の見栄もなく、このような飲み方は今後…」
「ツマミもってここに来ればできますよ?」
「…そうでしたね。」…。
そろそろ落ち着いてきたのか、”ごきごるききぃきききぃ…ごききがき…”いつもの音が響く…
「ミッツ様、この音は?」
「飲んでますか?ええ、大方落ち着いてきたので、燻製齧ってんですよ。」
「は?燻製?あ!あの赤い枝のようなものですか?」
「ええ、火鳥の燻製。ドワーフ、獣人御用達ってね。おすすめはしませんが…齧じれれば、至福と言われてます。」
「あれが…話には聞いてましたが…こうやって食すのですね。」
その時…
”がらんがらん”
「お邪魔しますわ、うちの…」
とエルザさん襲来!
{邪魔するなら帰れ!}
「ひっ!!!」
エルザさん…撤退…
ドワーフの皆さん…条件反射か!商売の時と違って、今は大好きな酒宴の真っ最中。声もでかいし、迫力もすごい。
エルザさん涙目…
「うん?何じゃ、お嬢か何しに来た?」
「な、何しにって、おじさま酷いですわ。そ、それに、すごい酒臭。うちのが…こ、これは、ダワーリン老、ご機嫌麗しく…」
「おうおう、ミゲルんとこの…孫か。久しいの。」
「覚えていただいてて恐縮ですわ。それでこれは?ミッツ様達も?」
「かっかっか。いつもの酒宴じゃぞ?トワがくれば大抵こうじゃ。」
「あ、ミツゥーヤどういう?」
「いえ、エルザさん、たまたまミツゥーヤさんとここで会いまして。お誘いした次第です。情報交換、懇談を兼ねて。ワインの選別も終わってますよ。そこの、貴商会の布の掛かってるものが選別したものです。お持ち帰りください。」
「お嬢様、勝手な 「お仕事してたのでしょう?ご苦労様。怒ってないわよ。ちょっと羨ましいだけよ。」 …はい」
「うんむ。付き合いは大事じゃての」
「うむうむ。」
「時間があればエルザさんも少し参加されては?」
「ええ、でも…。ツマミは持ってきましたのよ?ついでですし。」
「丁度良い。あそこのワインは今日の一等と、三等です。楽しんでください。」
「?一等?三等?」
「お嬢様、選別後、”当たり”の一等、三等です。二等は商会で預かった物です。先に20樽ならべまして3樽"当たり”判定でした。」
「そ、それって…味見しても…」
「ええ。楽しんでいってください。美味しいですよ」…
「はぁ、至福だわ…やっぱりミツゥーヤは罰ね!」「!」
「冗談よ。でも、冗談じゃないかも。もしも黙っていたら…斬首よ!」
怖えぇよ!
「まぁまぁ」
「この一等は昨日頂いたものより上ね。すごいわ…。三等はちょい下。でも美味しい…二等は中間、前のと同等くらいでしょうか?同時に味見なんて…」
「グローヴィン様達の選定の基準が全く分からないので何とも…”当たり”物には違いないかと」
「そんなもの。旨そうな感じじゃわい!」
「おじさま。その”そんなもの”でお金が儲かりますのよ?」
「酒は飲み、楽しむものじゃ。ワシらは金になんぞ変えんぞ。」
「はい、はい。それ相応の対価とお酒を進呈しますので協力してくださいな、おじさま。だれか手の空いてる… 「ワシが行くぞい。」 「わしもじゃ」 「わしも…」 …ええ!」
「作ってるとこもみたいしの」
「貯蔵方法とかもの。」
「大抵飲んじまうが、トワが保存したほうが美味い言うのでの。ちょいと挑戦したいのじゃ」
「…ドワーフ特選貯蔵酒… 「お嬢様。彼らが酒を売ると?」 …ないわね。絶対」
「まぁ、そういうことじゃぁ。同族になら考えるがの。」
「父上が近々此方に来ます。その時にまたお時間いただけますか?」
「ああ、来るとええ、ぬぅ?…来週はおらんじゃったか?」
「おお、セツナ嬢が、ゴルディナにケンカ売りに行く言うとったの。そうすりゃ当分…誰か残るかの?」
「ワシもついていくぞい。」
「爺様もか?主だったもん居らなくなるのぉ。」
「面白そうじゃわい。あのお嬢は。グローヴィンの次は、あのお嬢じゃぁ!逃がすでないぞ!」
「「「おう!」」」
セツナっち包囲網完成。
「…セツナさん?…次期…長?視察?」
「私は関わっていないので何も…トワ君?」
「ほら、先日、絡まれたから。報復?それになんか怪しいし。後ろめたいことしてる確率、大だな。」
「さらりとは、街には入らなかったとは聞いてたけど…大事ね。でも、ギルド長候補?」
「姉貴…俺の姉で人族だぞ?たぶん?」
「そうだったかの?まぁよかろう。」
良いのかよ…トワ君も自信持てよ…。
宴もたけなわですが…って、大工道具を揃えてもらって(お弟子さんすまん)買って帰った。今日もたらふく食って、飲んだ…よ。
本日もお付き合いありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




