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プロス到着

 「毎度ぉ~伯爵さまは領内に?」

  「お!旦那!いらっしゃい。今日は大人数…それに…可愛い馬だな…」

  「なんだそりゃ?見た事ねぇな。ははは」

 ポ二コーンを見て衛兵さんもほっこりだ。

  「ええ。大人しくしてらっしゃいますよ。先日もアヌヴィアトに行く!と言い出したんですが…家宰のリスト様に大説教されたようですよ。仕舞には隠居するとかどうとかって。」

 「困った伯爵様だなぁ。」

 と、トワ君。全くだ。

  「ははは。まぁ、御不自由だったお嬢様に会いたい気持ちもわかりますけどね。」

  「ええ。親心というものでしょう。”英雄”様と言え」

 …ん?否定はしないが…違うと思うぞ…きっと舞いたいんだと思うぞ…ムキムキ仲間との懇親も…そうそう、プロケル殿も赴任してるのだろうか?

 「そ、そうですね。伯爵さまは愛深き方ですから。他に何か変わったことはありますか?」

  「変わったことと言えば…ポケール神官様が赴任されて神殿の格が上がりましたね。様々な儀式を取り仕切られています。元ゼクス教枢機卿というのもとっつきやすいところですね。なんだかんだ言っても我々も元はゼクス教でしたから。説法も解りやすく、説法会も大人気ですよ。」

 「へ、へぇ~そうなんだ…徳の高いお方…なんですね…」ははは…

  「おまけに、ゼクス教との関係が深かった商会が消えて益々住みよくなりましたし。神の御加護でしょうか。」

 …やったな…プロケル…悪魔の御加護だわ…ん?天使…御使い…まぁ、いいか。


 門から伝令が出される。ほら、一応、伯爵からも命令(我々が来たら知らせること)が下りてるし、牧場の使用許可も取らないといけないからね。普通だったら伯爵との面会にしたって申請、許可が必要だ。

  「この町も美しい…民の感じ…もいいですね。」

 「民度とでもいうのかな。治める人がしっかりしてればね。アーサー君のお父上もそうだろう。」

  「町にいるときは当たり前…そう思っていました。今は父上の苦労もわかります!尊敬しています!」

 「うんうん。基礎勉強はうちでもできるだろう。その後はお父上について良く学び、領民のためにね。」

  「はい!よろしくお願いします!」


 「お待たせしました。トワ様、ミッツ様。」

 門の衛兵の小屋に伯爵自らがいらっしゃった。衛兵の方々もびっくりだわな。

 「おう!おっさん!元気だったか!」

 「こらこら。トワ君。伯爵様、わざわざご出馬恐れ多いことです。」

  「いえ、ミッツ様、ようこそおいで下さった。ささ、わが家へ。」

 「うん?大丈夫だよ?宿は勝手に取るし。なぁ、おっさん?」

  「そうおっしゃらずに。今晩くらいは良いでしょう。」

 「世話になろうか、トワ君。」

 「そうだな…人数多いけど大丈夫?」

  「ええ。お任せあれ。リスト、頼む。」

  「はっ。ようこそプロスに。大変お世話になっております。」

 「リストさんもご苦労様です。先ほど聞いたのですが、伯爵がノリナに行くと?」

  「ええ。困ったものです。ポケール神官様の説得で事なきを得ましたが…」

  「お恥ずかしいですな。はっはっはっは。」

  「笑い事じゃありませんよ!脳筋!」おふぅ


 さすがに『迷宮の光』『海色の手綱』とその家族は【土竜亭】に。そこでゆっくりとしてもらう。領主館じゃ寛げないだろうからね。

 パテンス曰く、こんな高級宿じゃ緊張する…と。反面、カルネラ君はあっさりだ。今なら余裕で泊まれるじゃん!だってさ。ドネリーどんもあんぐりだ。

 ま、真珠拾いで、普通の冒険者が生涯稼ぐであろう金額くらいは余裕で稼いだだろうさ。

 勿論ここは、おいらが出すよ。明日の予約とオミヤも頼んで領主館へ。お師さん、雹もいつの間にやら消えている。ま、自由にするだろうさ。

 馬達を放牧してと、ポ二コーンもいるから結構なものだ。

 伯爵さまの所に挨拶に…おっと、その前に干物なんかをコックに渡しておく。麦も大袋で一つ献上しておいた。麦の出来にコック長も驚いていたっけ。

 

 「ポケール神官の赴任。ありがとうございました。ほかにもトマス様、お弟子さんが二人。教会も大いに賑わっています。」

 とリスト殿。

 「今更だが、ポケール神官の事は?」

 「はい。存じております。ヴォレット、リストも。我らの秘事に。」

 「そう。人族の神官が居ないって訳じゃないんだけど、ここって聖王国のスパイやら、最悪”悪魔”が侵入するだろう?それを見越して彼を任命したんだけど。」

 「ご心配頂きありがとうございます。最初はもちろん驚きもしましたが…彼の人柄と言いましょうか。人族のどの神職よりも神職らしいというか…」

  「はい。絵本の神官様ですし。それも反ゼクスであのような仕打ちを受けたと聞いて、笑ったものです。」

 「そんな話もしてるのか。」

 「ふふふ。一般の信者の前でも。面白おかしく話されていますよ。勿論真相を知らない民にとっては良い笑い話でしかありませんが。」

 「…プロケル殿、らしっちゃ、らしいな。」

  「ええ。弁も立ちますし、ゼクス教も熟知しています。説法も大人気で立ち見もできるくらいですよ」

 「うむ。こちらの神殿にも新たに神像を安置いただき、奉納の舞もこちらで出来るとあって、ワシの毎朝の日課となっております。」

 …舞…か…御神像も?なんか勝手に来そうだな…。

 しかし、門衛さんの希望空しく、話が己の子達の様子ではなく”舞”から入るのも伯爵らしいが。

 子供達の様子等も聞いてみた。文は来るのかと?なにせおいら達、ダンジョンに籠っていて3月は過ぎているからね。ちゃんとマールちゃんから近況報告の手紙は来ているそうだ。

 「その前から全く心配はしておらん!はっはっはっはっは!」

 …だそうだがね。

 

 夜の宴にはこの地の特産の豚…そうだ!少し買っていこう!…の丸焼きが供された。こちらも負けじと?”マッドクラブの勇者焼き”を出す。

 急ごしらえの宴会だったが、地元の商会長や、この町を支える貴族、役所の連中も慰労を兼ねて招待されたらしい。なかなかの盛況ぶりだ。

 うちは頭領、おいら、カイエンどん。アーサー君、チェルシーちゃんも出席する。

 チェルシーちゃんの護衛にグラフィカ姉妹も付けてるが…ま、トワ君についてもらうとするか。

 一応、アーサー君達は商会の丁稚として、身分をかくして入国してるから普段着での出席となる。が…チェルシーちゃんは小さいのに見事に貴族圧を纏っているからなぁ。普段着でも招待されたお貴族さんも思わず一歩下がる。

 商人やら、職員さんは平気なのに…貴族センサーか?ある意味、すげぇなぁ。貴族って。顔色伺いとかって遺伝スキル?あったり。

 

 「さもありなん。ポリシアヌ王国の剣、マランタ公爵家の姫であるか。…とういうことは、マールの学友となるのだな?」

 伯爵には話しておかないとね。目くばせで”護衛”が付いたようだ。アーサー君にも。流石”英雄”殿。

 「さすがにそれはないだろうさ。まだ8つだぞ。基礎からしっかり学ばないとね。」

 「それにしても…女王の”気”であろうか…ふむ。」

 「まぁなぁ。不思議な雰囲気があるわな。」

 おいら達の心配をよそにマッドクラブの足と格闘中のチェルシーちゃん。トワ君も近くにいるから大丈夫だね。伯爵と談笑をしていると、

  

 「ごくろうさまです”使徒”様。ご機嫌麗しく。」

 「ん?プロケル殿?…ここではポケール神官殿か?」

  「ご随意に。まさか、砂漠を突っ切ってきてるとは思いもしませんでしたよ。」

 「おいらもだよ。で、どうだいこっちらの様子は?」

  「はい。充実しておりますよ。聖王国には”離脱”を伝えておりますのに、ちょこちょこと…おかげで、ルカ殿じゃないですが、格がますます上がってしまいますよ。ふふふ…」

 この辺りは悪魔だわな…下等ごときじゃ相手にもなるまいな…悪魔と言えど、聖属性だもんなぁ。元同僚…関係ないか、悪魔だし。天使にしたってその辺りはドライだもんな。

 「神官殿、楽しんでおりますかな。」

  「ええ。伯爵様、ご招待ありがとうございます。そうそう、来週にはドルトン老が来訪予定となっておりますよ。しばらく時間も取れるとか。」

 「おお!義兄殿が!それは楽しみであるな!」

 …ドルトン老…まぁ、好きにすればいいわな…

  「”使徒”様、明日のご予定は?お時間が頂ければ早朝、神殿に。祭事、お清めをお願いしたいのですが。」

 「了解。明日行くよ。朝ね。」

 …ああ?舞を見にゃいかんのか?


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