ユニコーン?
少々、門で時間を取られたが、あとは任せて先へ進もうか。
「ん?そういや、カルネラは国に帰らんでいいのか?」
「え?ええ。帰るまでが任務。シラモン方面のダンジョンの調査もあるでしょう?その時でも。もっとも、今もあるか分かんねぇし?」
「ふ~ん…って調査?なんの?」
「はい。トワ様が、トラヴィス国中の”全て”のダンジョンの調査をと。次に潜るところの選定じゃないんですか?」
「…そうか…まぁ、”ダンジョン部”だしなぁ。頑張ってね。」
「ミッツ様は潜らないので?」
「極力遠慮したいところだが…ま、その時の情勢次第。極力付き合うさ。」
「さすがぁ~ミッツ様!」
他にヒーラーがいれば…”絶対”行かないけどな!…なに?スラミちゃんは行きたいの?”びゅるんびゅるん”…スラミちゃんは海のが良くない?”びゅるんびゅるん”どっちでも良いのね…。
途中の泉のほとりで休憩。湧水があるな。本当に清浄な水だ。敷物を敷いてお茶にする。
「こんな綺麗なところもあるんですね」
「そうだろう。自然というのは美しいものさ。身近な物にも感じられるといいね。アーサー君の所は極端だからねぇ。砂漠だし。よりこういった水に惹かれるのだろうさ。ま、それでもよその国から来た者にとっては”凄いな~””奇麗だな~”って思うところもあるさ。砂漠の夜なんかなんとも言えない絶景だよ。夜でも明るく感じてね。砂の山々、抜けるような空…」
「ミッツ様…普通じゃ凍えて死んでしまいます…」
「そりゃ、そこまでの準備をしていくんだよ。ま、砂漠は極端だけど、あちこちに美しい場所はあるよ。海だって、山だってね。」
「はい。ミッツ様。海の大きさには驚きました。それに多くの種類の生物。海にも”世界”があるんですね」
「そうだね。知的な生物だっているかもしれないぞ。」
「はい。メロウ族や、海王族という種族がいると伝わっています。交流はありませんけど。」
「だね…」
そうだった…人族の子と話してるとつい忘れてしまう。ここ、マジカル・ミラクル・ファンタジーワールドだったわ…。チョイと視線をずらせば、角生やした人(カイエンどん)もいるし。ちょいとおっかない熊耳さん(ドネリーどん)もいる。お?ピコピコ動いてるな…キュート…。
そもそもおいらが美形の金髪のお坊ちゃん、金髪縦ロールのお嬢ちゃんと普通に会話してる時点でおかしいわな…一般中流階級?の普通の中年日本人サラリーマンじゃあり得んわなぁ。
「…そういった種族ともうまくやっていけるといいね。」
「はい!」
…ちょっと複雑…は、ははは。
”がささ””ざっ!”
「ミッツ様!お下がりください!」
「うん?トワ君じゃないの?キノコ狩りから帰って…お!お?おお?」
そこには純白の白馬…ユニコーン…流れるような鬣、額に美しい銀細工のような角を持ち…?…が…小さくね?小さくて丸まっちい。ポニーのユニコーンバージョン?めっちゃ可愛いのだが…それが6…いや、8頭。藪をかき分けて現れた。
ぎゅっと服の袖を握られる。…チェルシーちゃんだ。可愛いもんなぁ。
「…か、可愛い…み、ミッツ様!」
「うん。そうだね。でも捕まえたりしないよ。聖獣様だろう?皆も警戒を解いて。手出し無用だ。」
皆が見つめる中、彼らは我々が危害を加えないと理解したのか、そのまま泉の水を飲み、草を食みだした。
「だ、旦那?」
「美しいな…おいらの所の伝説じゃ、もうちょっと勇壮だが…これはこれでありだわな。」
「し、しかし…うん…可愛いな。」
「初めて見るな…図鑑にも載っていまい…」
「どうした、おっさん。おお!…可愛いな…おい!」
勇者様、大きな麻袋を担いで登場。中身はもちろんキノコだろう。
「へ~こんなのもいるんだなぁ。ん?お?お?おお?」
一頭のポ二コーン(ポニー型ユニコーン略してポ二コーン)がトワ君の持つ麻袋を”ふんふんふん”と嗅ぐ。興味津々のようだ。滝のようによだれ?を垂らして。
「ん?食うか?キノコ。」
そういって中身をぶちまける勇者様。キノコが好きなのか、他のポニコーンも寄っていき食べ始める。
「…変な奴だな。キノコ好きとは…ああ。なるほど…ここらのキノコは木の上に出る奴だもんな。欲しくても取れないな。ちっこいから。」
”ぶふるるるるぅ”
返事をするように嘶くポ二コーン。トワ君もメロメロだ。トワ君がポンポンと首筋をなでても逃げる様子もない。
「み、ミッツ様…」
「ん?チェルシーちゃん?ああ。トワ君の所に行ってみな。」
「は、はい!」
周りも動き出し普通に休憩をとる。他の子供達も興味津々、トワ君のところに。
「しかし、不思議な生き物ですな。よくも今まで無事に。」
「それなりの”力”を持っているのかもしれないね。特に隠ぺいとか?斥候隊の隙縫ってここまで来たんだろう?大したもんだわ。で、どんな塩梅?この世界の認識じゃ。」
「大型なものは魔馬として…ですが…これは、珍獣?でしょうか…」
とカイエンどん。珍獣…確かに。
「おふぅ。パテンス達の間じゃどうだ?」
「どうだ?と言われてもなぁ。俺ら地元だが初めて見たし…なぁ。ドネリーどうよ?」
「うむ…可愛いな…」
…ドネリーどん…似合わん…ぞ。ぷくす。
「ちげぇよ。おい!ぷぷぷ…」
「!、はっ!…か、カイエン様の言う通り、大型のものはモノホーン、バイホーンなどと謂れ重宝されています。”使徒”様の所にも何頭かいますが…。笑うなパテンス!…使徒様まで…」ぷくくく。
「くくく。なるほど。純白のユニコーンは聖獣で、処女の乙女しか乗せない…てな伝説は?」
「はぁ?どこの変態貴族のオヤジだよ。」
…おぅ…確かにパテンスの言う通りだわな…
「馬でしょ?ミッツ様?」
と不思議顔のカルネラ君。
「面白い。この純白…穢れない様から来ているのでしょうか?」
と気障野郎
「…ま、まぁな。そういった言い伝えはない…と。」…。
暫し、子供達もポ二コーンたちと戯れ、出発の段となる。
「よし。俺たちは行く。また会えるといいな。じゃあな。んじゃ、出立!」
{応!}
「馬さんばいばい~」「またねぇ~」
…。
「…トワ様…ついて来ますね…」
「ん?マジか…しょうがねぇな…停止!」
そう。ポ二コーンたちが付いて来るのだ。チビの短足のくせに結構速い。
「おい。お前ら。付いてくる気か?」
”ぶるるるぅぅ”
「…なら、ちゃんと言うこと聞けよ」
”ぶるるぅん”
…あれで会話になってるのか?まさか、キノコで餌付けが出来た?は、ははは。
「よし。こいつ等も仲間だ。一緒に帰還するぞ。」
{やったー!}
子供たちは大喜びだ。
「…旦那、えらいことになりましたね…」
「ああ…面倒ごとの匂いが…」
「トラヴィスは大丈夫だろう…王の御免状もあるし…ノリナ国も国境辺りは混乱してるだろうから大丈夫だろう。角も飾りだっていえばいいし?」
「まぁ、小さいですし…軍人も見向きはしないでしょうが…」
「大丈夫でしょ?未確認生物なんでしょ?ま、可愛いけど。」
「そうだな…カルネラの言う通り…知れていないタイプの魔馬だな…その点は安心か。」
「だな。貴族のお嬢様にでも見られなきゃ大丈夫だろう?」
「餌のキノコはトワ君が何とかするだろうさ。なにせキノコ勇者だ。」
「はぁ。」
ちょっと移動に飽きてきていた子供らには良いおもちゃ…じゃないな。仲間が出来たわ。
休憩になると、皆でブラシでこすったり、飼葉や、水を上げたり進んで世話をする。勉強が終わらないとポ二コーンと遊べないことになっており、勉強にも異様な熱がこもる。正にぶら下げたニンジンだな。馬だけに?
そうそう、ニンジンも好んで食べるよ。カロテンでピンクにならないか心配なほどに。うちのニンジンは美味いからねぇ。
チェルシーちゃんも夢中だ。が、しっかりフタコブラクダの世話もするから、えらい、えらい。砂漠の町の姫だし、フタコブ君は彼女に進呈しようか。彼も満更でもないだろう。
…要らない言うなよ。




