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王都、出立。

 朝食を、…おいら以外は鱈腹食い…食い過ぎだぞ…。女将さんとオヤジさんに礼を言い宿を出る。横目で市を覗きながら…新鮮な野菜には敵わんなぁ。購入!っと。集合場所へと向かう。

 

 「おはよう、旦那。聞いたよ。やっぱり絡んでくるねぇ。」

 …この。楽しそうに言うな!パテンスよ!

 「ああ。この国なら大丈夫と思ったのになぁ。ちょっくら残念だ。」

  「そうか?旦那の知識は何処もが求めるものなんだろう?」

 「今回はダンジョン絡み。余程地図が欲しいらしい。」

  「おい。パテンス。お前アホか。 「おい!」 …お前が朝、指導してるブラッシュ…様」

  「様ぁ?うん?なかなか奇麗な型の?で?ぶらっしゅ?あれ?どこかで…」

  「…抜けてるな。そう。この国の第二王子様だぞ。」

  「はぁ?まじか?」

  「知らなかったの?パテンス?」

  「…。しらなかったの?って、知ってたのか?カルネラ?」

  「うん。だって従弟のヨシュア様も居たじゃん。”蒼の隊”入るって言ってたぞ。」

  「マジ?初耳だわ…」

  「ふん。何時まで経っても詰めが甘い。…抜けてるな。普通気づくぞ」

  「うっせぇ!」

 やれやれ。またじゃれ始めたか。本当に仲が良いのぉ。

 「ま、そんな訳だから。大丈夫でしょう。で、準備は良いのかい?エレン、パレアセア」

 準備の完了を両チームの頭に確認。良いようなので出立するか。次は伯爵領プロスだな。


 

 「待たれよ。ヴァートリーの”蒼”隊、貴殿らには出頭命令が出ていたと思うが?」

 予想通り、門で止められる。ご丁寧にいつもより増員しているようだ。

 「そうですか?”そのようなことは無い”と聞いていますが?」

  「なにぃ?そんなことは無かろう!子爵、国から通達が出ておる!我らの国法を蔑ろにするおつもりか?」

 ”法”…といったな?ほう。面白い…”ほう”だけに…ぷぷぷ。昭和生まれだ。勘弁な!

 「では、どうぞこれを。」

 雹が貰って来たアルフロラ公爵の書きつけ。公式な文章であり、でかでかと公爵の紋章とサインがある。衛兵隊長は書類の紋章に驚き、読み進めるほどに顔色が青くなる。

 そりゃ、中身は、警備担当の伯爵だか、子爵の”反逆罪”が謳ってある。勇者が”侵入”したのだ。その事実を国に上げずに隠匿。他所の軍を引き込んだような扱いとなるだろう。

 まさに”法”、国防に反する行為だ。しかも、最強(凶)の戦力、ゴルディアの話も伝わっているだろう。動く火薬庫並みの危うさだ。…おいらは違うよ?

 で、それに協力した者達も同罪の可能性があると。門衛の隊長格の名が容疑者として並んでいたな。白くなったところを見ると自分の名を見つけたか?。追って取り調べを受けることになる。

  

 「あぐ…うぐぅ…こ、これは…本物…?」

 「もちろん。公爵様のサインですよ。そんなもの勝手に作ったら死刑ですよ。誰とは言いませんが、王の…国の名を騙った出頭命令…。公爵様の紋章を偽造する以上の悪行。さてどうなるでしょうねぇ。それに関与した者達も。」

  「…。」

  「お、おい…。」「た、隊長?」

 「さて、通らせていただきますよ?」

  「…。」

  「隊長?」

  「な、ま、待たれよ、ナーベラ様に?」

 まだごねる?

  

 「無用!少々遅れまして…お久しぶりです。ミッツ様。」

 「これはイヴェルタ殿。お久しぶりです。ジーギス殿も。」

  「お手を煩わせてしまい申し訳ありません。ここに王の親書と、国内通行の御免状があります故、お使いください。」

 「わざわざ…有難く使わせていただきます。で、通っても?」

  「勿論でございます。この後は?」

 「伯爵の所にでも顔を出して帰りますよ。流石に素通りはねぇ。」

  「そうでございますか。どうぞお気をつけて。」

  「し、しかし、イヴェルタ殿!子爵には」

  「無用と言った!すでに子爵は任を解かれ、王の御前に引き出されている!もう、戻ってはこれまい。貴公らもこれから一人ずつ取り調べとなる!隠し事をすれば…解るな?」

 がっくりとうなだれ、膝をつく隊長…ズブズブだったのだろうか?どのみち、おいらの知ったこっちゃないがね。お国の一大事だ。

 「では、またお会いしましょうイヴェルタ殿。」

  「………はい。お気をつけて。」

 …なによその間は!嫌な顔すんなよぉ!まぁ、今までの事件の後片付けのすべてをイヴェルタ殿にぶん投げてるからなぁ。仕方なしか!…今度ワインでも送ってやろう。


 

 

 ・とある日のイヴェルタ邸


 「ふぅ。今戻った。」

  「あなた。お帰りなさい。今日もご苦労様です。」

 「ああ…今日も先日起きたシラモン近郊の…おっと。家に仕事は持ち込まない約束だったな。地位も給料も上がったが…仕事の難易度も格段に上がったわ。」

  「ふふふ。ご苦労様です。」

 

 そもそもが”勇者”様の”お手伝い”…なにせ、ミッツ様は何かあるとすぐに私を呼び出してくれる…により、上役や、公爵、伯爵の覚え目出度く、とんとんと出世が叶った。

 ”勇者様入国”の知らせがあれば、待機命令が出るほどだ。名誉なことではある。

 …しがない衛兵隊長の俺が出世できたのも”勇者様”のおかげではある。が、仕事が多いし、貴族絡みの案件が多い…平民出の俺にはいささか荷が重い。

 アルフロラ公爵からは”御免状”を預かってはいるが…『これで、貴族をバンバン取り締まってくれい!』と激励されたが…ははは…はぁ。そういう事じゃないんですって!公爵様!

  

 「どうしたの?あなた?お仕事の事?」

 「い、いや、そろそろワインの時期だろう?ミッツ様は参加されるのだろうか…とね。」

 ワインと一緒にミッツ様が来る。そして仕事も来る…ふぅ。

  「今年は参加されないようですよ。」

 「うん?なぜそれを…ああ…」

  玄関わきには極上ワインの中樽と書状が…この時期になるとミッツ様から届く”賄賂”と称する贈り物だ。毎年、本当にマメな方だ。

 「今年も来たんだなぁ。」

  「はい。今朝方。”蒼”の隊の方が。」

 「なになに…今年もよろしく…と。こちらこそだね。さ、折角だ。極上ワイン、頂くとしようか。」    <完>


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