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またもやひと悶着?

 いい時間になったので町巡りはいったん終了。

 満腹亭に戻り、夕食。ドネリーどんが居るが、ハセルには敵わないらしい…。

 なぜわかるかって?そんなのオヤジさんの顔色を見れば一発でわかるよ。人族多めだしね。

 勿論追加の食費も渡してあるけど。料理余っていたら、買い取らせてもらおうかね。

 そうそう、今日からアーサー君達も”正式”な箸に挑戦中だ。なんでも”嗜み”の一つらしい。そういや、”勇者様式””エルフ式”やらと公の場所でも”マナー”として使われるって言ってたものな。

 その国々によって多少持ち方やら使い方が違うようで、正式な”勇者式”を学びたいと道具屋で購入してきた。

 ま、異世界人、正式?っちゃ、正式なのだろうが…ここは箸使いの奇麗なトワ君に任せたいが、宿が別…ここにはいない。カイエンどんも堂に入って来てはいるが…まだだな…。こら雹!握り箸はいかんぞ!という訳で、おいらが教える羽目に…。ま、今日だけね。多少の矯正で何とかなりそうなのでホッと胸をなでおろす。

  「俺も箸使おうかなぁ。皆さん使ってるし。」

 とスタック君

 「ああ。手先が器用になるから良いぞ。頭の回転も良くなるしな。うちの斥候連中も使ってるだろ?」

  「本当ですか…無影が…?」

  「おれも使おう!斥候だし!ミッツ様、予備ある?」

 食いつきが良いのはカルネラ君だ。

 「…明日からにせい!ちゃんと自分の手に合った箸を購入してな。明日、ヴァートリー商会に行ってみるといい」

  「はい。なるほど…武器と一緒か…」

 …違う…とも言えないな…そういや、ミスリルで作ったおいらの箸…どこやったっけ?

 

 

 朝食を摂り、今日も街中に繰り出す。これしかしてないって?何か問題でも?おいらはこれでも商人さんだ!…。なによ?

 王都と言えど特に目新しい物はない。産出品も上がってこなけりゃ、なおのことだな。ダンジョンの方にはなるべく近づかないようにしている。

 このイベント体質…いや、呪い… <呪い言うな、加護だ!> …ご覧になっていたらしい。プチ降臨も無いようだから良いが…何分、大騒ぎになるからなぁ。

 そんな訳で教会の連中に見つかっても詰まらんし。うちの戦闘狂共に火がついても困る。

 

 広場でトワ君達と合流。もう一泊することを決定。おいらにゃ用事は無いけど、パテンス達の地元だもんな。冒険者連中は情報収集もするという。各自に任せ解散とした。

 ヤンはどうやらパテンス達と行動を共にするらしい。

 

 「で、そっちのお宿はどうだった?」

 アーサー君や、奥様、子ども連中を引き連れ、街を進む。旅に必要な物。日用品購入も兼ねてね。

 「ああ。いい宿だったぞ。飯もまぁまぁ。量は普通だがなぁ。俺でも少し足りないな。」

 トワ君も熊人族と同じくらい食うからなぁ。勇者様の”身体”を維持するには高カロリーが必要のようだ。

 「風呂もまぁまぁ。部屋も清潔だし。おすすめだな。明日、出るとき小旗置いて来るよ。」

 「ふ~ん。それは良かった。そういった宿が増えるといいね。」

  「そんなにひどい物でしょうか。差別…」

 「そうだねぇ。アーサー君の国はまだいい方だよ。が、表に出てないだけで、まだまだあるね。”魚村”とかの田舎にいけばほとんど無いけどね。」

  「それは、獣人族の働き手が必要という事でしょうか?」

 「さて。隷属の歴史、差別の歴史、獣王国との戦だってあったんだろう?アーサー君、君がどう見るかだね。対等に付き合っていくか、シペラや、ディフェンみたいに蔑み、隷属を望むのか。」

  「それは…」

 「ま。うちはほぼ、獣人の村だ。時間はある。よく考えて見なさい。」

  「…はい。」

 

 街をぶらぶら。子供達に小遣いやってお買い物。中々の人数だが、お母さん連中の統率がとれている。駆け出す子も居なけりゃ、母ちゃんから離れる子もいない。

 なるほど。この世界、離れれば攫われたり、絡まれたり。忌々しい貴族の馬車に事故られることも…さすがこの世界の子供達だな。

 前の世界なんかちょこっと目を離せば消えてたものなぁ。姪っ子なんぞは”勝手にかくれんぼ”で展示品のポリタンクなんかの収納箱に隠れてたっけ…しかも2時間…途中で寝たのかは知らんが…警察を巻き込んで大ごとになったわ…閑話休題。

 

 「それにしても。冒険者少ないな。」

 「ダンジョン封鎖も解除されたの最近だろう?戻って来るのにも時間がかかるだろうさ。おいら達みたいに移動は楽じゃないし?ま、絡まれないから良いけどね。」

 「まぁなぁ。でも、この国はダンジョンありきだろ?経済回ってんのか?」

 「さてね。ま、己の怠慢が招いたことだろう。しょうがなかんべ。で、頭領殿の長期予定にこのダンジョンは入ってるの?」

 「う~ん。他にも結構あるようだし…ここよか、”砂漠のダンジョン”の方が面白そうだよなぁ。ドラゴン居るし。文献集めてあの湖を渡る方法捜したり、船の建造もいいな…おっさん”大和”でも造るか?」

 「大鑑巨砲!浪漫だな!46cm砲も造るか?あまりの威力で徹甲弾じゃなくても空母貫通したりすんだぞ!射撃時に近くにいたら衝撃で死んじまうほどだ!」

 「…やっぱり詳しそうだな…オタクが…」

 「常識の範囲だが?全長236m、最大幅 「たんま、たんま!俺が悪かったって…」 …ん?」

 ん?何が?


 昼食を摂り、トワ君と別れて宿に戻る。

  「…旦那。ちょっといいかね。」

 宿に着くなり少々困り顔の満腹亭の女将さん。

 「どうしたんです?女将さん?うちの連中、食い過ぎて赤字?」

  「いや、ちゃんと追加ももらってるから…じゃなくて、お城の方から呼び出しが来てね…。これが書状。」

 「はぁ?放置でいいですよ。放置で。実害在りそう?」

  「その点は大丈夫だろうけど。うちはしがない宿屋だし。」

 かといって、女将さんにぶん投げるわけにもいくまい…なぁ。面倒だが、書状を受け取り検める。

 「…どれどれ…なになに…。はぁ?無礼な奴だな。傲慢具合は貴族の代表みたいなもんか?っと、王…じゃないな…ナーベラ子爵?何様か知らんが…放置でいいな。」

  「良いのかい?旦那?」

 「いいの。いいの。こっちに用事は無いし。明日早朝出るか…雹。トワ君に伝言…と、アルフロラ公爵にこの書状と…そうだな、賄賂で干物持ってけ。」

  「はい。」

  「公爵…さま?賄賂?干物って…」

 お!混乱の呪文だったようだ。

 「そうそう。女将さんにもお分けしましょう。美味いですよ。」

  「…ありがとね…」


 ……。


 …。

 

 「うん?ワシを訪ねて獣人族が参ったと?」

  「はい。いかがいたしましょう?」

 「ふむ。他に…なにか言っておらんか?目的は?」

  「ミッツという者の使いと。」 

 「みっつ…ミッツ様!馬鹿者!すぐにお通ししろ!」

  「は、はいぃ!」

 

 「お忙しいところお時間を頂き感謝します。」

 …ほう…この身のこなし…かなりの手練れだな…

 「よい。して、ミッツ殿の使いとか?彼の御仁はこの国に?」

  「はい。明日には出立予定です。」

 「ふむ…ワシの耳に入っておらぬ…が。明日出立か…面会は叶わぬ…な?」

  「今の関係が良いかと。煩わされることをとことん嫌いますから。」

 「ふむ…そうであるな。お。悪い悪い。して、何の用かな。」

  「この書状を届けるようにと。」

 「ふむ?…ミッツ殿の物と…うん?城からの書状?ワシには…む?…むむむ。」

 

 ミッツ殿の書状には、簡単な挨拶と用事があるから王城には登らない由。そして城からの公式文書、命令書の内容は傲慢。

 この者は文を書いたことが無いのか?出頭命令だと?密輸容疑にダンジョンの地図の供出?こ奴も子爵位、相手の正体も知っておろう。

 そもそもこの国に勇者がいることを王は存じているのか?一級警戒案件ぞ。

 

 「無礼な…警備部のナーベラであれば…で、ミッツ殿はこれから海洋国に?」

  「いえ、ノリナに帰ります。今回は砂漠越えで海洋国に入りましたので。父は会わずに早朝出るつもりです。で、後始末をよろしくと。」

 あの沙漠を越えるか…さすが勇者様…ん?

 「…ん?父…と?」

  「はい。ミッツは養父になります。それと…これを。賄賂だそうです」

 「ふふふ。そうか。一筆書こう。門を出る際、門衛が足止めしようとごねたら出すと良い。ミッツ殿にお伝えくだされ。干物ワイロ分の仕事はすると。」

  「はい。よろしくお願いいたします。」

 …。

 

 ナーベラめが!余計なことを。手柄を独り占めするつもりか?密輸だと?”ギフト”に手を付けるつもりか?

 「夜分、お休みの所、お時間を頂き…」

 「よい。其の方の急ぎ…これ以上の警戒事項ではあるまい。で?」

 「最初に。王はこの地に”勇者”様一行が滞在していることをご存じでしょうか?」

 「”勇者”…だと?我が国にいるのか?」

 「やはり…しからば…」

 …

 「…ぬぅ?ナーベラめ…情報を己の所で止めたな…勇者様相手に何をしようというのだ?それよりも、ミッツ殿たちは?」

 「明日早朝、ノリナに発つそうにございます。」

 「そうか…ブラッシュの件もある。礼の一つも言いたかったが…」

 「して、いかがいたしましょう。」

 「ふむ…」

 …。

 


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