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王都フルミに到着

 ポリシアヌ(海洋国)、トラヴィス国境に到着。それぞれの国で通達が出てるらしく両方の国境検問ともすんなり、無事に通過できた。

 地元のノリナの国境より楽だわ…”悪魔”の一件やら、情報提供等でたっぷり恩も売ってるのだし。今後の、待遇改善に期待だね。

 

 「おっさん、(トラヴィスの)王都寄るか?」

 「ああ。そうしよう。子供達も見たいだろう?何せ外国だ。」

  「私も見たいです!」

  「もう、フィセロ…」

  「ふっ…まだまだ子供ね。」

 とはチェルシーちゃんの言葉だ。貴女も十分…やめておこう。グラフィカ姉妹は一応、チェルシーちゃんの御付、護衛も兼ねている。周辺警護に丁度いいと。

 そうだな、周りは腕は立つが野郎ばっかりだからな…。まだまだ護衛として未熟なので格安で雇ったとか?チェルシーちゃんが言ってたな。しっかりしてら。

 もちろん周りは俺ら、斥候隊が囲っているから安全よ。

  

 「チェルシーお嬢様は楽しみじゃないのです?」

  「…それは楽しみよ。外国、ダンジョンの国ですもの。変わった産出品とか売ってるかもですわ。」

  「だったら…」

  「あんた…一応は成人してるんだから。それにお嬢様は依頼主。言葉にも注意なさい。まぁ、おつむはまだ幼児ね。あんまりはしゃがないようにね。」

  「姉さん…私、子供じゃないわよ!」

 賑やかですこと。良いねぇ。若い娘は。一番若い娘のチェルシーちゃんは達観していて我関せずだが…フタコブラクダの瘤にすっぽり嵌ってかっぽかっぽと歩を進める。なんかシュールだな。

 

 「あ…そういや、ハム村…また行くの忘れてたわ。なぁ、おっさん。」

 「しょうがないだろう。今回は。また今度にしよう。シンケンさん元気かねぇ。」

 「だな。次の楽しみにすっか。」

 うちの村でも大分充実してきたからついつい忘れちまう。商会の方は動いてるから一応は義理は果たしていると思う…。


 …。

 

 国境を抜けてからも至って順調。賊やら魔物との会敵も無くトラヴィス王都フルミに到着した。

 斥候隊も今回は”仕事”が無かったらしい。彼らも到着と同時に王都中に散る。どうも、斥候隊の拠点があるらしい。アルスの管轄する拠点と、お師さんの管轄する拠点はどうも別のようだ。例えるならば、アルスの方は大使館。お師さんの方は…まぁ、ね。

 

 早速、【満腹亭】に宿をとる。流石に大人数。部屋数が足りない。

 「女将さん、こんなこと聞くのは悪いが、もう一軒、お宿、紹介してくれん?」

  「気にすることないわよ。そうねぇ。旦那方の好みに合うのわぁ、ラウラのとこかしらぁ。アンタぁ!ちょっくら、行って来るから店番頼むよぉ!」

  『…おう!』

 アーサー君、もちろんチェルシーちゃんも付いて来るというので連れて行くことに。パテンスとドネリーどんも街の様子を見たいと付いてきた。他のメンバーは各自。宿でゆっくりするもよし。町を見て回るのも良い。メイドさんもしんどそうだから置いていく。

 というわけで、女将さんの懇意にしている、ラウラさん一家が経営する。【迷宮のランプ亭】という小洒落た宿屋に。

 トワ君が俺も試しに泊まると言い出し、俺も付き合うとパテンスが。結局この宿にはトワ君とパテンス、そして『海色の手綱』の関係者が泊まる事に。清潔感もあり、風呂もある。部屋数もこっちの方が多そうだ。

 女将のラウラさんもなかなかの美人さんで好感が持てる。ここも獣人が泊まれるそうだ。

  

 「あなた達が【満腹亭】の”福の神”ねぇ。歓迎しますわ。」

 「福の神?」

 なんぞそれは?

  「この町でも大人気。一番の商売繁盛のお宿ですもの。あなた達が定宿にしてからと聞くわよ。うちもあやかりたいわ。」

 「獣人族が泊まれる宿が増えるのは大いに結構です。我々も応援しますよ。だから普段の様子を。盛らないでくださいね。」

  「ええ。ゆっくり寛いでいってくださいね」

  「大丈夫。ここの料理は美味いし、盛りもなかなか。まぁ、ハセル君には少ないけどねぇ」

 アレを満足させられる宿は…無い…よ。

 「女将さん、お客とられちゃうよ?いいの?」

  「あら。困ったわねぇ。ふふふ。」

 でっかいなぁ。屋号に負けない女将さんだわ。


 「ミッツ様!これがダンジョンからの産出品の魔道具ですか?」

 もう。アーサー君。ウキウキだな!店頭に並ぶ”産出品”の数々。

 「ああ。アーティファクト故か、普通の”鑑定”は通らない。だから使い道がわからない物が多い。」

 ん?パレアセア殿の”品評”ならどれくらいの事がわかるのだ?

 

 …後日確認したところ、”わからない”だった。お玉さんの”看破”クラスじゃないと無理っぽいな。であれば…組合で出している鑑定証は?事故で暴発などもあるから、経験則で推定しているのに過ぎないのかもしれないな…”鑑定書”より”保証書”と言う意味合いが強いのかもしれない。

  

 「それでもこの値段…アーティファクトだからでしょうか。高価ですね…」

 「そうだね。知る事が出来れば。有効に使う事が出来ればとてもいい物なんだろうね。」

  「あああ!あれは!”チェーンソー”金髪勇者様の武器!すごい!本物だぁ!」

 …違うのだがなぁ…。全く…

  「…子供なんだから。お兄様は。」

 ははは…。ということは、向かいはいつものオヤジの店か。

 「オヤジさん、久しぶり!」

  「お?おお!ヴァートリーの旦那かい!ん、ど?ドネリーか!久しぶりだなオイ!」

  「ああ。久しぶりだな。オヤジさん。」

  「そ、その出で立ち…復帰したんだな!こいつはめでたいな!」

 …そりゃそうだな。ドネリーどんの地元みたいなもんだわな。

 「で、その後どう?商売も?ダンジョンも?」

  「ん?あ、ああ。封鎖は解除されてるさ。だが、なかなか人は戻らないねぇ。お国の目もあるもんだからさ。前の下の町、あの再建が検討されてるらしいや、真っ当に行ける奴がすくねぇんだと。

 お国の管轄と言えど、どのみち委託だろう?またぞろ同じような状態になるんじゃねぇかってね。ま、わしら商人からすりゃ、今は入荷も少ねぇ。定期的に入ってくれりゃいいんだけどねぇ。どのみちポンポン売れる品じゃねぇがなぁ。」

 「難しいところだよなぁ。ま、国の方針で決まれば順守してやっていくほかないでしょう?それが”溢れる”きっかけになろうとも。自分らで決めたことだし。」

  「ま、そうなんだがねぇ。伯爵さまは断固反対と言っておられるがどうなる事やら。」

 「伯爵様抜きで防衛は叶わなかったんでしょう?その伯爵の進言を蔑ろにするようならこの先は無いでしょうねぇ。」

 拠点作りは良いが…娼婦やら、一般の人工しろうとはいけないな。

  「…だよなぁ。うん。…そうだ!ワシ等の組合からも一言いれておくかぁ。」

 「良いと思うよ。なにも貴族の”遊興費”のために危険な目に遭うこともないし。」

  「お?おお!?言うねぇ。さすが旦那だわ。はっはっは」…、

 

 「また同じことを繰り返そうという訳ですな。」

 「まぁ、実質問題、今までの行いと言っちゃなんだが、潜れる人材がいない。税収ガタ落ち、どうしよう。ってなわけだろ。曲がりなりにも税やら産出品が上がっていたころの状態が懐かしい…ってね。」

  「喉元過ぎれば…と言う奴ですな。プロスフェルデ伯に救われていることをもう忘れてしまったか。」

 「さぁ、どうなる事やらねぇ。ドネリーどん。またここに潜るのかい?」

  「そうですねぇ。先にシラモンの方をと思っています。パテンスに聞いたところ、拠点はそっちだったそうで。」

 「そうか。なら仕方ないな。うん。」

  「”使徒”様は…潜りませんね…」

 「まぁ、トワ君には極力つき合おうとは思ってるけれどねぇ。おいらの”長男”だからね。」

  「そうでございますな。同郷の。同じ思い出を語れる。」

 「そういう事。彼には、おいらの事を送ってもらいたいからねぇ。」

  「ミッツ様…」

 「おっと、湿っぽい話になっちゃったね。さてと、アーサー君、チェルシーちゃん、面白いものはあったかい?」

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