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革細工もドワーフだぞ!すげぇな!(トワ氏談)

いらっしゃいませ~新年号も決まり、一段落。何やら、同名の方がTVに出たりと…お忙しいようで。

 「どうじゃ?」

 「うん、ここんとこがちょい邪魔かな?」

リュックを背負い、ぴょんぴょん跳ねるトワ氏。

  「ふむふむ。ここはどうじゃ?工夫したぞい。」

 太い指であれこれ調整するドワーフ。

 「なるほど!いいな!」

 「ブロールさん、ここんとこ…そう、いいですね。しっかりしてる」

もちろん、おいらも感想を述べる。

 何してるかって。ご覧の通り、リュックサック初号機の検品、考察をしてる。浪漫がたっぷり詰まった。逸品だ!

 

 で、それを見守る、難しい顔のセツナっち。

 「はぁ、駄目、駄目ね!ロマンに走りすぎ!浪漫飛行?どこに飛んでくのよ。」

 約束の地?

  「こ、この嬢ちゃんは?」

 「あ、初号機に浮かれてて紹介わすれてました。」

 「ああ、俺の姉貴だ!」

 「初めましてトワの姉のセツナと申します。いつも愚弟が良くしてもらってます。」ぺこり。

  「姉?とな?」

 「ええ、いろいろあって、あの姿なんですよ」

  「…お主ら…いろいろとありすぎじゃのう。で、嬢ちゃん、何処が問題じゃ?」

 「セツナで…まぁ、いいわ。認めさせてみせるわ。先ずここの金具が…ここも…使用者の…」

 怒涛の攻撃!ダメ出しだ!こういうのは女性に敵わないよな~

 

 「…って具合だけど。これで大分良くなると思うわ。」

  「むぅう。な、なるほど。し、しかし…」

 「ロマンはオプションにすれば良いのよ。別途追加加工って。ほら、この機能美!素晴らしいじゃない」

 くぅ、ロマンが!

 全部ノセノセ、マシマシが却下されてしまった!豪華な天ぷらうどんが、素うどんのようになってしまったではないか!これじゃ、浪漫な飛行できんじゃん!。

  「ふむ?そうだな?ふむ?確かに良いな…ワシは何かに憑りつかれてたようじゃわい。」

 「でしょ。ロマン暴走してたんでしょ?どうせ。男なんてそんなもんよ」

 「「「…」」」

 …ぐぅの根もでん。

 「それに、これなら、小さくすれば、街中用にも女性用にもなるわ。装飾等は後で考えましょう。ばんばん売れるわよ!」

  「し、しかし、ワシの工房では多くは…」

 「お弟子さんや若いのに作らせればいいのよ。部品部品作らせて、熟練工に組み立てさせるの。技術の底上げになるわよ。若い子も食っていけるし。」

 「じゃが、誰が旗振りを 「はぁ。私が話すわよ。手のすいてる革職人集めてくださいな。若手もオッケーよ」 …う、うむ。セツナ嬢にまかせるわい。おーい。だれか、グローヴィン呼んで来い!」

 おぅう。おいらの浪漫。セツナっちが乗って飛んで行っちゃったよ。

 

 

 …それからは早かった。とんとん拍子で話が進む。ある意味、技術革新だ。

 後日、街中のドワーフ、獣人、人族の革職人が招集され、職人たちを前にセツナっちがプレゼン。

 発注様式。熟練ランク分け、そのランクに合わせた部品発注方法などを説明。

 職人ランクを設定し、高い方が高い技術の作業と、それに伴い良い金を得る。全体の技術の向上になるだろう。

 金具のチェック、組み上げは技術のしっかりした工房が先ずは受け持つこととなった。追々任せられるところを増やし、生産量アップを目指す。

 古い考えの親方たちは”分業”に納得できなかったようで途中で席を立つ者も多かった。

 また個人の名を売りたい者、セツナっちの容姿をみて、なめた態度をとる者もプロジェクトから外れてもらった。

 ドワーフ族は一枚板のようで脱落する者はいない。隠れて酒飲んでるし…。

 

 残った理解のある親方と、工房を開いたばかりの若い職人、職人見習いの連合商会ができた。

 製品は、取りあえず背負い袋。大、小のラインナップとし、オプションで機能や、表面の革の変更を受けることにした。追々、種類も増えるだろう。すでにスケッチが出されている。

 図面を基に分業、同一規格の製品が短期間で大量につくられる事になる。

 メンバーの職人にはランクに応じたマイスターカードが配られるようで、向上心の発破になりそうだ。

 これが、後々、ノリナ発、一般向けから超高級品のオーダーメイドまで。装飾、造りの良さで、大陸全土に轟く「かばんやさん 刹那」の誕生である。

 

 グローヴィンさんとの打ち合わせを終え、そのまま決起集会という、飲み会に突入!

 早速明日から動くことになったと。

 セツナっちはいつの間にか、連合商店代表と鍛冶ギルドの革部門の理事の一人に収まっていた。鍛冶ギルド幹部就任は人族初だそうな。


 「全く、男ってのは!」

 プリプリおこなセツナっち。

 「でも、姉貴、できるのか?結構大変そうだぞ?」

 「”姉さん”まぁ、良いわ…図面があるから毎日行かなくてもいいでしょ。鍛冶ギルドから、補佐の人材だしてもらいましょう。そうすれば、商業ギルドと交互にいけるっしょ!」

 …元気だね。

 「そうそう。販売はどうするつもり?一般向けがメインだろ?直売ができれば利益もでかいが…」

 「マシューさんに聞く?」

 「いえ、できれば直販でいきたいな。しがらみはもう結構。」

 「なら、エルザさんとこに話持ってく?あれから行ってないし?」

 「そうだな、店に置いてもらえればいいな。バッグコーナーみたいな感じで?。」

 「エルザさん?」

 「ええ、一応町の雑貨屋さん」

 「ふ~ん。町のお店におけるくらいの値段にできればいいなぁ。」

 「貴族向けの商品で補填すれば可能じゃない?”良いもの”を造れば、たぶん何にもしなくてもエルザさんが勝手に動くよ。」

 「なにそれ。そんなに力がある方なの?町の雑貨屋で…コワ、何者なのよ」

 「ええ、エルザさんはとっても怖くて有名な大店のお嬢様なんですよ。紹介しますよ。」

 「なるほど。大店だったら貴族や王族の顧客もいるわね。」

 「そうそう、なので良い物ができれば自動的に販路が広がる。かも?」

 「なぁ、おっさん。おいら達のリュックはどうなるんだ?」

 「ここは、皮持ってってブロールさんに直に作ってもらおう!ロマンマシマシで」

 「おう!そうだな!明日行くか!」

 今日は帰ってバタンキューかな?結構飲んだな…風呂はできたようだが…明日だな、明日。


 …。


 「おっちゃ~~~ん!いる?」

 「おうおう、トワかぁ。いるぞぉー?どうしたんじゃぁ!」

昨日、リュックの注文がうやむやになってしまったので、今日、改めでブロールさんの工場を訪ねる。

 「おっちゃん、リュックの表面これでいける?」

 「ん?リュックはセツナのお嬢がやるんじゃなかったかの?」

 はて?といった表情だ。

 「ふん!姉貴には…ロマンが解らん!だろ?おっちゃん!」

 「むほっむほっむほ。ロマン…じゃの!漢たるものは!」

 「だろ?おっちゃん!ロマンてんこ盛りで!」

 「おうおう。解っておる!ふむぅ、ブラックバイパーか!いいのぉ、いいのぉ。鞣すとこの感じが…」

 なにやら盛り上がってるな!

 「で、俺のと、おっさんのと、雹のとで。3つ。あと半分くらいの大きさでもう1個。小さいのは?家にもう一人いるんだ。料理用具が入れられるような感じで。」

 「ふむ。細かく区切ればいいかの?」

 ビルックのか?

 「ブロールさん、すいません。」

 「いや、いや、いいんじゃよ。いいんじゃよ。この皮は預かるぞい。鞣しにだして革にせんとの。強度がいるところに使えるの。ふむ。」

 「よろしくお願いいたします。」

 「他にも素材があれば、置き換えるが?」

 「…大したものないなぁ。ちょい待ってね」

 ごそごそ…。収納にも大したもん入ってねぇな…

 「猪の牙位しかないぞ?」

 「フム。ボタンにするかの。」

 「任せた!出しとくね。あ、ぼろい皮もあった、適当にだしとくわ」

 「おうおう。使えるようなら、鞣しておくぞい。」

 なんか色々…穴だらけの革、猪の牙。トワ君の収納から出て来た。それを、査定してるブロールさん。

 「ちょっと空けますので、帰ってきたら顔だしますね」

 「ん?依頼かのぉ。」

 「そうだぜ!おっちゃん!ワインの運搬だ。」

 「なにぃ!ワインじゃとぉ!」

 ん、もう。酒への反応がすごいのだから…ドワーフ連中は。

 「わかってるって!おっちゃん!土産楽しみにしてて!」

 「おうおう。そうだのぉワインならエキドレアじゃな?あすこの火鳥の燻製は絶品じゃぞ。」

 火鳥…と。メモメモ。って!

 「ひ、火鳥?火の鳥ですか?火焔の鳥…」

 おお!ファンタジーキター

 「いや、足がようけ発達してての。蹴られると目から火花が出るくらい痛いだけじゃ。」

 がっくり…ヒクイドリみたいな?感じ?

 「そうですか…」

 「まぁ、適当にみてくるよ!おっちゃん、手紙とかあったらついでに持ってくぞ?」

 「フム…ちと待っとれ。」

 さらさら。

 「これをギルドにもってけ。ギルド直営宿に泊まれるぞい。何かと、優遇してくれよう。」

 「…獣人大丈夫でしょうか?」

 「わしらはドワーフじゃぞい。問題ない。革職人も獣人がおおいのだぞ。」

 そうだった、ドワーフも下に見られるんだったな…鍛冶がなければ…くそ教会め。

 「お世話になります。」

 「おうおう。楽しんでくるとええ。安全第一じゃぞ?」

 「「「はい」」」

 「そういえば、マジックバッグって作れる物なんでしょうか?」

 「ふむ。我らでは手が出ぬの。外側のカバンの作成までじゃな。もちろん、ぴっしり、最高の物でなくてはならんぞ。あとは空間魔法に精通したエルフや魔族が魔石などの呪物に呪を刻むのじゃ。こいつも、良い呪物、刻む腕前、充填する魔力が重要じゃ。これにカバンの出来を加えて収納力が決まるのじゃ。」

 「ふ~ん。大変だな。」

 「その…容量はどれくらいでしょうか?」

 「そうさの。今までの最高の物で荷馬車2台分というものがあったの…」

 「もっと入るのもあると聞きましたが…」

 「ああ、そりゃ、ダンジョン産のものじゃ。極稀に深層で得られるようじゃな。まぁ、高名な冒険者や、大店、王侯貴族の家宝になっとるの。」

 「なるほど…ダンジョンか…」

 「おっさん、行ってみっか!これこそロマンだぞ!」

 「…え、ええぇ~行かないよ?わざわざ死地に行くことないじゃん…戦い反対!ノーバトル!」

 「…まぁ、そうだな…まだ手はあるな…」

 そう、トワ君も思い至っただろう。コアに頼むのもアリだわな。同じ、ダンジョンだ。素材集めて…

 「でも、やっぱ、ダンジョンはロマンだ!いくぞ!おっさん!そのうち!」

 おふぅ…話、戻るのかい!トワ君!

 「むほっむほっふほっ。ミッツ殿の言う通りじゃ。無理は禁物じゃの。一攫千金もよいが、死んじまっちゃお終いじゃからのぉ。」

 「でも、武器の金属獲りにいかんと。」

 「その前に修行しようよ…おいら、まだまだ死にたくないよ」

 「…ヘタレだな!」

 「ヘタレ結構!石にかじりついても長生きしちゃる!」

 「むふむふっふ。トワや、ミッツ殿の方が良い生き方じゃぞ。生きとれば楽しいぞい。美味い酒も飲めるぞぃ」

 「解ったよ、無理は言わないよ。」

 「うむ。それがよいの。」

 …そういえば雹は…

 「ん?どした?おっさん?」

 「雹は?」

 「あっちにおるぞい?」

 ジッと真っ黒なロングコートに見入っている…おいおい…それ着たら…まんま、殺し屋じゃん…沢山武器仕込んで…

 「ん?雹、そのコート気に入ったのか?」

 「うん。かっこいい。」

 「買って 「いや、父さん、自分で買うよ。お金貯めて。ブロールさんにオーダーするんだ!」 …そうか。頑張って稼がないとな!ブロールさんの作…高いぞぉ」

 「むほっむほっむほっ。注文まっとるぞぃ」

 「うん!こことここにナイフ入れられるように…」

 はふぅん…まじで、殺し屋になってまうがな。おいらの雹が…」

 「ん?ならないよ?」

 「へ?」

 「おっさん…心の叫びが漏れてたぞ…殺し屋って…」

 「あら。」

 「むふむふ、困った父ちゃんじゃのぉ。」

 ははは…おもらししちゃったのね…成長も感じられたし、良しとしとこう。



本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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