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閑話 お風呂

いらっしゃいませ~最近何気に寒いですね。風邪の予防も大事ですね

 とうとう風呂ができた。なにやら感慨深いものがある。

 しかも24時間風呂、さらに、水、浄化機能付きだ…。

 この世界にきて城に湯舟があり、宿にも少ないが存在していたので絶望はしなかったが、自分で持つことなど不可能だと思っていた。そりゃ、勇者様がいるんだ。いずれは大きなお風呂付のお家などと夢は見てたさ。

 だが、早くも我が人生計画に割りこむように立派な家、風呂と。嬉しい誤算…言葉の使いかた変だな…まぁ、良いことだ。良し!だな。


 早速、湯を貯めようと風呂場に。

 大きな湯舟だな。旅館みたいだ…”かたり”蓋をどけてと。…うん?

  「あ!パパ!」

  「パパ?」

 湯舟から、ぴょこん、と顔を出すキキとルル。もちろん湯は未だだ。

 「うん?何やってんのかな…」

  「お家!」

  「ルル達のおうち!」

 …なるほど…猫、狭いところ好きだものなぁ…って、一緒で良いのか?

 「ごめんなぁ。ここ、お風呂なんだわ。」

  「おふろ?」

  「おふろ?」

 「ん?お湯をこの中に入れて、体を洗う場所なんだよ。」

  「水浴び場?」

  「たらい?」

 そか…大きなお風呂…知らないのかもしれないなぁ…湯舟のある所は高級店だし…街の浴場は蒸し風呂が主だ。実際、見せた方が早いな。

 「どれ、見せようか。そこから出なさい。」

  「「うん」」

 

 早速、湯を張ろう…ん…!…蛇口どこだ?あれ?湯は?シャワーもあるが…あれれ。

 「あのぉ~コアさんや?お湯はどうやって出るのでしょう?水も。」

  《…?…?…風呂とは?》

 「へ?」

  「おお!声がする!」

  「パパ!だれ!」

 「ああ、大きな家妖精さんだよ。」

  《…マスターのイメージですと、木の枠に入って…水?何をしているのでしょう?》

 …あかん…ここにも風呂に入ったことのない人が…物か?

 「そ、そうだよな…コアさん、風呂入ったことないもんな…知らなくて当然だわな。前の住人は行水程度だったようだし…どうすりゃいい?図面?イメージを読み込んでもらう?」

  《…できましたら細かい説明と図面を。細部を読み込むように脳の記憶用域にアクセスすると極稀にダメージがあります。》

 おぅ。脳みそポン!はイヤだな。

 「コワ…なら、図面書くわ…図面て言っても、仕様みたいなものだぞ?」

  《…説明と併せて伝わるものでしたら問題ありません。》

 「了解した。ちと書いてくるね」

  「じゃ、ここで遊んでていい?」

 「うん。いいよ…」

 我が家の自慢の風呂も、当分、子供達のままごとの家かぁ。

 

 

 ふむ…いざ書くとなるとめんどいな…設備は整っているようなので注意点だけでいいか…お湯、水は魔道具?温度の維持は何を使うんだ?排水はダンジョン任せ?ありゃ、解らんブラックボックスばかりだぞ。どう説明したものか…

 「おっさん、風呂どうだった?」

 「おう!丁度良い、当分子供達の遊び場だな」

 「はぁ?なんじゃそりゃ!」

 

 …かいつまんで説明。

 

 「なるほど…。じゃ、明日にでもコア連れて風呂に行くか!」

 「はぁ?んなこと…うん?疑似コアか…聞いてみるか…普通の…五右衛門ぶろだったら簡単だったが…」

 「いいじゃん、今のすげー広くて良い風呂だぞ。じいちゃん家くらいだな。」

 …爆ぜろ。インテリめ。

 

 「コアさん。疑似コアって記憶媒体か、外部デバイス…情報収集体みたいなのって、できる?」

  《…是…行ってみましょう。敷地外は初めてです。》

 …何やら嬉しそうな?波動を感じるね。

 「よし、大まかなイメージは掴めるだろう。コア連れて風呂さいくべ。」

 「俺も行くぜ!」

  《…是…それまでに準備しておきます…》


 …翌日。

 

 「雹!風呂行くぞぉ!」

  「…俺は…いいや。留守番してる。」

 「そうか。父ちゃん寂しい。」

  「…なら…」

 「冗談だよ。ホント、風呂嫌いだな…。留守番任せた!」

  「うん。父さんの魔法の方が良い」

 喜んで良いのやら…まぁ、行こう。

 

 「…コアさんや…ちと、大きすぎるのだが?」

 そこに用意された、モバイルコア…バスケットボール位の球体。…キラキラきれいだなぁ~って、こんなもん持って風呂いけるか!置き引きされるわ!

 「もっと小さくならん?」

  《…》

 「例えば、こう…球が連なった腕輪みたいな。」

  《…了…》

 誰が触れるでもなく、球体が子を産むように、小さい玉を吐き出す。それが連なり、腕輪状の物に。

 「おお!すげーな!変形だ!」

 よく見る天然石のブレスレットだな。

 「これならいいか…よし!風呂行こう!昼間っから贅沢だな!」

 


 「ないぞ?おっさん…」

 「…そりゃ、昼間からやってないわな…前世界とは違うわ…」

 張り切って町に出てきたは良いが…目的の湯舟のある銭湯が無い…蒸し風呂は何軒かあるのだが。

 最近まで利用していた宿も風呂、準備中だったわ。う~~~ん。

 「トワ君、いっそのこと、貴族街の方に行ってみるか…」

 「俺ら、小汚い格好だぞ?大丈夫か?」

 「マシューパワーでどうにかなるんじゃね?」

 「…いくか。」

 

 …貴族街。この町を治める、アザレリアだっけか辺境伯に仕える子の家の貴族たちの住む区画だそうな。

 どうしてこう、一等地に…どこの”人間”も考えることは一緒だよなぁ。防衛を考えても、ここは一般の町にした方が、税の入りも良かろうに。わざわざ堀で囲って。何様?…って、お貴族様か…。

 検問所まであるなぁ。面倒くさい…

  

 「次…何だ貴様ら…この先は貴族街になる。冒険者風情が入れる場所じゃない。」

 はぁ?ったく、貴族様がそんなに偉いのか?あああ~ん?

 「おっさん、噛みつくなよ。ぷぷ」

 おっと。…おい、トワ君。目が行け!行け!と語ってるぞ。

  「邪魔だどけ。」はぁ?

 「…姿格好だけでその態度。そんなに大きな権力行使できるんです?」

  「何ぃ!見るからに怪しいな!」

 「だったらどう 「お!旦那!どしたい?」 あ、こんにちは。」

 おお!朝一緒に汗を流す仲間だ。確か、さすまた使いのラルク氏だったか?

 「どう?って事も無いのですが、風呂…じゃなかった、貴族街に興味がわきまして。散策しようかと。」

 「…旦那も変わってるからな。風呂屋はこの先だよ。」

  「ラルク殿、知り合いかもしれませぬが…」

 「貴殿は堅いなぁ、旦那悪い、身分証お願い。まぁ、もうちょい良い服だったら問題なかったと思うぞ。いい機会だから貴族街で服こさえたらどうだい?」

 身分証を渡しながら、

 「ヴァ―トリー商会で相談してみますよ。」

  「B+…し、失礼しました。どうぞお通りください。」

 「いえいえ。」

 「小汚い格好の旦那も悪い、勘弁してくれ。」

 「ええ。問題ないです。今日は風呂屋行って直ぐ帰ります。次来るときは格好つけてきますよ」

 「はっはは、そうしてくれ!」


 …。


 「おっさん。貴族街いってもそう変わらないな…」

 「ああ、治安、警備に力を入れているのだろう?」

 「菓子屋か…売ってくれるかな?」

 「普通はね…行ってみるべ」

 商店は普通に買えたよ。ちょいと割高ではあるが…

 

 「おっさん!シュークリームじゃね!あれ!」

 「…カルメ焼きだな。」

 「カルメ?」

 「焦がし砂糖発泡焼き、中スカスカだぞ。だが…懐かしいなぁ。買おう」

 10枚ほど買い求める。砂糖自体が高価だから日本に比べれば良いお値段だ。

 「素朴で良いな、これ。」

 「ああ、縁日なんかで良く売ってたんだが…最近は見ないなぁ」

 「おっさん作れる?」

 「ん?どうだろう…お!あそこじゃね?風呂屋。」

 

 少々小汚いので”洗浄”を。ってか、風呂入りに来て”洗浄”ってどうなのよ?

 受付で料金を払い、いよいよ入場!問題なく入場できた。

 料金?高いよ…。贅沢ってやつだな。男湯、女湯に分かれており、雰囲気も日本の”銭湯”を彷彿とさせたものだ。たぶん、先人勇者の仕業だろう。

 日本人、風呂は譲れないものな。もう少し頑張って混浴に…いかんいかん。偵察、偵察と。な!

 

 脱衣所に向かう廊下には、タオルやら、桶、石鹸等も売られている。散髪屋?髭剃り屋も併設されているな。健康ランドみたいだな…

 その一角に飲み物屋があり、その店先に瓶に入った褐色の飲料が…

 「と、トワ君!あれ、コーヒー牛乳か!」

 「あ、ああ。そうみたいだな!…色は…」

 「すいません、これ、なに?」

  「コッピ乳だよ。コッピという薬に、魔牛のミルクを加えたものだ。高価だが、美味しいぞ。」

 「どのみち、風呂上がりだな…が、コーヒーがあるなら、朝のお楽しみが増えるな」

 「コッピって。クス」


 ”がらり”

 脱衣所に到着。番台は無いな…まぁ、金は払った後だが。まんま、大型銭湯、健康ランドだなぁ

 昭和名物、籠放置ではなく、ロッカーのような場所に収納。魔力?指紋認証?指でピッ!だ。

 レトロと、最新技術が混在しているようで変な気分だ。

 注意書きを見るにマッパで良いようだ。なになに?”正統勇者式”?なんのこっちゃ。


 マッパになって木の引き戸を”がらり”…

 「おお!おっさん!富士山だ!富士山!」

 立派な富士山のタイル絵だ。由比の浜辺りから見たような、雄大な富士…

 「本当だ…ここまで再現せずとも…」

 風呂は3種類、メインの熱い白湯、ぬるい風呂、薬草湯。こちらの住人はあまり熱いの好まないようだ。メインをぬるくすればいいものを…。

 スタッフ、あかすりさんね。に聞いてみたら、熱い湯は”勇者”の指示による、伝統、様式美だそうな。アホくさ。もちろん、おいらは、メインを頂くが。かけ湯をしてと、

 ”ちゃぷん”

 「ふぃいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーー」

 おお!さすが!勇者正道!いい湯加減だ!

 「じじくさ、あ、あっつ、熱い!」

 ジタバタすんなよ!熱いだろが!

 「気合いだ、気合。動くと余計に熱いぞ。」

 「ぐぅう…う、ふぅぅううーーーーーうぅ」

 …何も、真っ赤な顔して我慢せんで隣行け、隣に。

 「はぁ~~~~良いなぁぁ~やっぱ富士山だわなぁ~銭湯最高!」

 「…うくぅ…もう、出る…」

 「ヘタレめ…」

 「っ!まだでないぞ!…やっぱ無理!」

 ”ざばぁ!”

  勝ったな…

 

 「ふぅはぁあ…っと、こんな感じだが…コア?」

  《…》応答はない…

 「通信機能は無いか…もしや水ダメとかじゃないだろうな?」

 生活防水程度だったり?

 一応、水が出てる様子、湯船の様子、排水の様子、シャワーの様子、蛇口の様子等々。近くに腕輪をかざす。動画を撮ってる感覚で。傍から見れば、まんま、不審者だな…。

 

 撮影?を一通り終わらせ身体を洗う。おお!石鹸があるぞ!しかも、獣脂系じゃない奴だ!流石高級湯場!…匂いはゴムのようで微妙だが、あわあわあわ。気分的にすっきりだ。

 一個買っていってコアに分析させるか…気分的にすっきり。

 さて、もうひとっ風呂。

 

 「おっさん!凄いぞ!このお湯、体が軽いぞぉお!擦り傷、手のマメも治ったぞ!謎ポーションの湯だ!」

 さすが異世界魔法の国。薬草湯のパワーが半端ねぇ。トワ君が言うように、浅い傷なら消えてしまう。凄いな…。

 一通り楽しみ、風呂をあがる。

 

 「おっさん、謎飲み物!」

 「ああ」

 早速飲み物コーナーに行き、例のコッピ乳などというものを購入。

 さて。ここは様式美を追求しようではないか!

 足は肩幅、左手は腰に当て、軽く胸を反らす…”ごきゅごきゅごくり…”フム…コーヒー牛乳だな…だが、ミルクが素晴らしい!コヒーが負けるとはな…ふっ”ごきゅり。ふぅーぅ。うん?コーヒーじゃねぇな…後味が…似て非なる物?恐らく単体じゃ飲めない?

 「おっさん、なんでそのポーズなんだ?良くTVなんかでも見るな。」

 「ふっ、様式美さ」

 「ほんとかよ?しかし、この牛乳美味いな…ほしいな…」

 「牧場出来たら考えよう。さぁ、帰ろうか。」

 

 …記憶に魔牛乳、一応コッピを刻みこむ…まぁ、直ぐに忘却の彼方であろうが…

 買い物はエルザさんとこの商会があるからさっさと帰ろう。

 

 「ただいま~」

  「「「おみやぁ~」」」

 …おふう。かわええ…お、カルメ焼きがあったな。一枚づつ配る。雹とビルックにもね。

 さて…一人、風呂場に立つ。

 

 「コアさん、どうでっしゃろ?」

  《…凡そ理解できました。お湯を使った身体の洗浄及び、リラクゼーション効果。体温の向上、睡眠に良い影響を 「ちょいまち。そんな大げさな…目的はそんな感じだが…とりあえずは湯の確保、循環、浄化、排水。シャワーの設置だな。」 …了…》

  《…仕様説明…湯、水は魔道具を使用、湯は24時間一定の温度を保つ、湯船の中の水量も一定量を維持。排水については排水口より、直にダンジョンに吸収。シャワーについては湯用の魔道具、水用の魔道具を高所に設置。自重圧にて放水とする。…》

 「24時間風呂か…維持するのと毎日時間を決めて入れるのとどっちが楽?」

  《…それは入れ替えた方が魔力消費量は少ないです。》

 「じゃ、そうしよう。追い炊き…後から温める機構もつけてくれ」

  《…是…工事再開します》

 「お願いね」


 …夕食後、工事完了の報告が。

 「おお!上出来、上出来。湯…熱いな…この隣に水が出せるようにしてくれ。子供には熱すぎるからな。」

  《…了…》

 「シャワーも思った以上に圧があるな。上出来だ。これで温度調節?…やるな!完璧だ!」

 うんうん。上出来だ。早速お湯を貯める…。しょぼいぞ…お湯の量が。満杯迄何時間かかるんだ?こりゃ。

 「なぁ、コアさんもう少し、こう、勢いよく出ん?」

  《…良い魔石が…只今余剰魔力にて疑似魔石合成中…》

 「はよ、言ってよそういうことは。トワ君、トワ君!魔石くれー!」

 「なんだよ…騒々しい。」

 「風呂のために魔石が必要なんだ。でかいの2個頼むよ。」

 「ほいよ」

 ”ごろごろりん”

 「じゃ、向こういってるわ」

 …手伝えよ…

 

 「コアさん、これでよい?」

  《…是…もったいないくらいです。》

 壁に吸い込まれる。もう一つは天井際に。シャワー用か?

  《…魔力充填お願いします。》

 「おう。任せてくれ!充填!にっかぁあどうぅ…ぱうわぁ!」…

 

 「ふぅう…さて。これでいいのか?」

  《…是…給湯機構確立…接続……セットアップ完了。》

 「…かっこいいな…どれ」

 先ほどの蛇口をひねる

 ”どどどどど…”

 「お!すげぇ!これならすぐに溜まるな!湯加減もばっちりだ。」

 もうもうと立ち込める蒸気…

 「そうだ、上の方に換気扇…湯気を出せる窓を設置してくれ。蒸気が籠るとカビが生えるからな。」

  《…是…ですが、この壁もダンジョン壁。問題ありません。》

 「なら、任せるよ。はぁ!楽しみだなぁ!」


 …ふふふ。この日をもって完璧お風呂ライフが始まるのだ!入らないのかって?おっさんの入浴シーンなんてつまらないだろう?ふいぅいぃ~で終わりさ。    <完>

本日もお付き合いいただきありがとうございました。前書きに予防などと書いておきながら、只今風邪で…喉やられてます。しかも、舌の先に口内炎が…地味に痛いの。そんなんですが、またのご来店をお待ちしております。

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