第3話 訓練と国の話
2026/06/01 改稿済 キャラクターデザイン載せようとおもったけど。。。できなかった。。。
「(つ、つかれた……じ、地獄……)」
ステータス補正があるとはいえ、バテバテになるまで走りこんだ。
その後、いよいよ武器の訓練が始まろうとした。
各々、クラスメイトの皆は職業に合った武器を取りに行く。
俺の場合、武器は基本的に何を使っても同じらしい。
村人だから特別な補正がないのだ。
「(じゃあ、軽い武器がいいな)」
短いけど、素早く振れる短刀が良いか。
村人の唯一の利点を挙げるなら、職業補正に縛られないことだ。
どの武器を使ってもそこそこ使えるが、秀でているわけではない。
つまり、剣士みたいな剣に特化した奴には正面から斬り合っても勝負にならない。
だったら重い武器は論外だ。
一撃の威力で競っても勝ち目はない。
なら、生き残るための機動力を優先した方がいい。
そう考えると、自然と選択肢は短刀になる。
他には石投げのスキルがあるから、ズボンのポケットに石を三、四個入れておこう。
石投げは威力こそ低いが、牽制や不意打ちには使える。
当たらなくても相手の意識を逸らせるだけで十分だ。
「なぜ俺だけが……」
どうやら石投げスキルは石以外の物を投げると威力が下がってしまうらしい。
つまり、このスキルは"投げる技術"ではなく"石を投げる技術"ということだ。
なんとも不便な能力である。
本来なら、その上位互換に【投擲】という"初期"スキルが存在するらしい。
ナイフでも槍でも何でも投げられる便利なスキルだが、村人である自分には無縁なスキルだ。
石投げがあるのに投擲は覚えられない。
正直、意味が分からない。
「ああああ!!!もう!!本当にこの下位互換のスキルでどうしろというんだよ!!」
短刀を手に取った後、俺は念のため他の武器にも目を向けた。
長剣、戦斧、槍、木製の盾。
訓練用とはいえ、一通り揃っている。
試しに長剣を持ち上げてみる。
「……重い」
振れないわけじゃない。
だが明らかに扱いづらい。
剣士の板野が軽々と振っていたから勘違いしていたが、実際に持つとかなり重量がある。
二、三回振っただけで腕が疲れてきた。
「これで何十分も戦うのかよ……」
俺は長剣を元の場所へ戻した。
続いて槍を手に取る。
こちらは剣より軽い。
リーチも長いし、一見すると悪くない。
だが突いてみると、今度は距離感が分からなかった。
前に出し過ぎれば隙が生まれる。
引けば威力が乗らない。
扱いが難しい。
「なるほど……」
強い武器だから強いわけじゃない。
使える人間が使うから強いのだ。
そう思い知らされた。
最後に戦斧を持ち上げようとして――諦めた。
「無理や……」
重すぎる。
持ち上げるだけで腰をやりそうだ。
あれを振り回しているアルバートさんは何なんだろう。
うん、あれは化け物だ。
結局、俺は最初に選んだ短刀へ視線を戻した。
軽い、取り回しが良い、そして何より逃げやすい疲れにくい。
今の俺に必要なのは強さじゃない。生き残ることだもんな。
正面から殴り合えば絶対負ける。
だったら殴り合わなければいいし、勝てないなら逃げる。
隙があれば刺すし、石を投げる。
情けないかもしれない。
だが、勝てない相手に正々堂々挑んで負ける方がもっと馬鹿だ。
『卑怯上等』だ。
少なくとも俺は英雄ではなく、ただの村人だ。
村人なら村人なりの戦い方を探すしかない。
「ハハハ……はぁ……。」
思わず落ち込む。
各自武器を選び終えた後、兵士長が訓練相手を振り分けた。
そして――。
俺の相手は職業"剣士"の板野だった。
職業のことも含め考えた矢先に最悪だ。
日頃から何かと絡んでくるアイツだ。
しかも、既に顔が怖い。
絶対にろくでもないことを考えている。
「よお! 楊一くんじゃないかぁ! まさか君と手合わせできるなんてなぁ。いやぁ、光栄だよ光栄!」
板野は煽りまじりに剣を抜き、嬉しそうに構えた。
……こっちは気分は最悪だ。絶対完全に格下だと思っているだろコイツ。
一方的な展開。
相手が村人なら勝負にならないことくらい分かっているはずなのに、意気揚々と戦おうとしている。
どこまでも性根が腐っていやがる。
「訓練始め!!」
アルバートの合図と同時に板野が突進してくる。
そのまま剣を大きく振りかぶり、縦に振り下ろした。
「っく……!」
速い!!
いくらステータス差があるとはいえ、これはないだろ!?
キィンと軽い音が鳴り、辛うじて震える腕で短刀で受け止める。
板野の眼が怖い。訓練とは言え本気で殺すつもりなんじゃないかと思うほどに。
板野の重い一撃をそのまま右へ受け流し、身体をふらつかせる。
刀身が折れるんじゃないかと思うほどの、威力に戸惑う。
こんな攻撃を何度も受け止めたら、短刀なんて鉄くずになりかねない。
俺は咄嗟に距離を取った。
「(悔しいけど、板野に勝てそうにない……)」
これが職業の差か。
改めて、この理不尽な状況を思い知らされる。
「くっくっく……楊一くんよぉ! 避けてばっかりだと俺には勝てないぜぇ!?」
「クソッ……」
板野は上から目線で笑う。
その顔がまた腹立つ。
職業差で有利に立っているだけなのに、まるで自分が強者になったかのような顔をしていた。
(すっげぇうぜぇ!! なんだコイツ!? 相手は村人だぞ!? なんでそんな得意げなんだよ!勝って当たり前の相手に何をそんなに喜んでるんだよ!)
そう思っていると、板野は二度目の攻撃を仕掛けてきた。
剣を構え、スキル名を叫ぶ。
「スラッシュ!」
剣の刃が赤く光る。
そのまま横薙ぎに振り抜いた。
鋭く襲う一閃を、今にも寿命が尽きかけている短刀で受け止めた。
だが――。
ピシッ。
割れるような嫌な音が響いた。
短刀を見ると、刃にヒビが入っている。
あと一撃食らえば壊れる。
目に見えて分かる危険な状況を一瞬で理解した。
思考を巡らせている一瞬の隙に、板野が腹へヤクザキックを叩き込んできた。
「カハッ!?」
三、四メートルほど吹き飛んだ。
思い切りめり込んだ感覚がある。
朝食が逆流しそうになるが、何とか耐えた。
もし吐いていたら、絶対に板野の奴に「ゲロ杉くん」とか馬鹿にされる。
それだけは避けたい。
(板野の奴……容赦なく蹴りやがったな……)
意識が朦朧とする中、板野に見えないようポケットから石を取り出す。
そして……。
(近づいてこい……!)
圧倒的な力に、油断をしているだろう。
ましては、こんなにも苦しそうにしてる人がすぐに動けるわけがないと普通は思う。
だが、蹴られる前に、咄嗟に片腕を差し込んだ。。そうガードを出来なかった振りをして、衝撃を和らがせた。
案の定、弱った自分を見て笑いながら近づいてきた。
行動原理が分かりやすい奴だ。
弱った人を容赦なく蹴落とし追撃するのが、"板野"なんだ。
「ふんっ!」
これは完全な不意打ちで投げる。
普通の人なら、反応はできない。
一泡を吹かそうとした。
しかし――。
カンッ!
板野はあっさり剣で弾き飛ばした。
「なっ……!?」
「なんだい今の攻撃は? 不意打ちのつもりだったのか? ククッ、残念だったな」
板野はニヤニヤしながら説明する。
「剣士使いの効果だよ」
何て理不尽な能力なんだ……。
パッシブ能力「剣士使い」
ただ剣が上手くなるだけじゃない。
精神を極限まで研ぎ澄ませることで、相手の癖や視線、筋肉の動きから次の行動を予測できるらしい。
未来を見るわけじゃないが、それに近しいものがある。
石を取り出し、投げると判断した瞬間。
板野は既に反応していた。
まるで何手も先を読まれているような感覚だった。
ステータスで負けている上に、行動まで見透かされる。
そんなの勝負になるわけがない。
板野は獲物を追い詰めるようにゆっくりと俺へ近付く。
一歩、また一歩と逃げ場を塞ぐように距離を詰める。
そして――。
剣を振り上げた。
終わった、俺は思わず目を閉じる。
そう思った時、攻撃が一向に来なかった。
ギィィィィンッ!!
耳をつんざくような金属音が訓練場に響き渡る。
ガリガリと金属同士がぶつかる音が聞こえ、恐る恐る目を開ける。
そこには――。
一樹が立っていた。
「おい、板野。テメェ!!楊一を殺す気か!!!!」
板野の剣と鉄腕甲が激しくぶつかり合い、火花が散る。
普通なら腕ごと斬り裂かれていてもおかしくない一撃だ。
だが、一樹の身体は微動だにしない、
鉄腕甲には薄い傷一つ付いておらず、まるで巨大な鉄壁に剣を叩きつけたかのようだった。
そのまま、押しのけた後、板野は軽く飛び跳ねるように後退した。
「あ"ぁ"? 山崎なんだおめぇ? こちとら、楊一くんと楽しい訓練してんだよ。邪魔すんじゃねえよ!!」
「何が訓練だよ。ざけんな!!お前がやってることは、ただの一方的な暴力だ!!」
一樹の目付きが鋭くなる。
……こえぇ。
板野も剣を向ける。
一触即発だった。
「陽一、大丈夫か? 少し下がってろ」
「あ、あぁ。 ありがとう……。」
俺は言われた通り後ろへ下がる。
すると騒ぎを聞き付けた生徒たちが集まっていた。
「楊一!」
「楊一くん! 大丈夫!?」
その中から佐野と美空が駆け寄ってくる。
「"回光!"」
佐野は慌ててすぐに回復魔法を発動した。
温かい光が腹を包み込む。
「ありがとう……」
「いいの! それより安静にして!」
そう言われて無理やり横にされる。
その間もヒールは続いていた。
一方その頃。
一樹と板野は激しい攻防を繰り広げていた――。
「くたばりやがれぇええ!!!」
「うるせぇ!!ハァッ!」
板野と激しい攻防を繰り広げていた。
板野は剣で連撃を仕掛ける。
しかし一樹は、それを全て受け流している。
凄まじい反応速度だった。
そして一樹は攻撃を捌き切ると、腰を低く落として構える。
「フゥ……ッハ!」
「っく……この野郎!」
次の瞬間。
一樹の拳が消えた。
いや、速すぎて見えないだけだ。
無数の正拳突きが連続で繰り出され、砂煙が舞い上がる。
格闘家のスキル『"漣拿撃"』
それを防御できる板野も正直凄い。
目で追うだけでも困難な攻撃を、何とか受け流している。
だが押されている。
誰が見ても分かるほどだった。
そして板野は後ろへ飛び退き、剣を構える。
「スラッシュ!」
赤く光った刃が横薙ぎに走る。
一樹は身体を捻り、紙一重で回避した。
だが――。
「逃げんなや!!」
板野は止まらない。
そのまま踏み込み、二撃目。
さらに三撃目、連続でスキルを叩き込む。
普通なら有り得ない無茶苦茶な連撃だった。
大振りに見せて小さく振る。
小振りに見せて大きく薙ぐ。
その不規則な剣筋は、一樹でさえ受け流すので精一杯だった。
その隙を板野は見逃さなかった。
「……なっ!?」
「捕まえたぜ」
そのまま板野は片手で一樹の胸倉を掴み上げた。
乱暴に引き寄せる。
一樹が眉をひそめる暇もない。
板野の口元が獰猛に歪んだ。
次の瞬間――。
鈍く光る剣が振り上げられる。
まるで獲物を仕留める肉食獣のように。
躊躇いは一切なかった。
風を裂く音と共に、剣が一樹の頭上へ叩き落とされる。
「寝ていやがれ!!!」
その瞬間。
一樹の目が鋭く光る。
次の瞬間。
ゴッ!!
一樹は頭を思い切り前へ突き出した。
不意を突かれた板野の顔面にヘッドバットが炸裂する。
「ぐっ!?」
板野は怯み、胸倉を掴んでいた手を思わず離した。
怯みながらでも、突っ込む。
しかし、その攻撃を同時に力を利用するように身体を回転させる。
「そのセリフはこっちだボケェ!!」
互いの反動を利用し、弧を描くように拳が放たれる。
重い、深い。
防御の上から骨まで砕くような一撃だった。
スキル『カウンター』
一樹のスキルだ。
「ぐぁっ!?」
板野は顔面にまともに食らい、大きく吹き飛んだ。
「その攻撃は楊一との訓練で見てんだよ!! 俺に通用すると思うな!」
板野は地面を転がる。
だが――。
まだ意識がある。口が切れて、口角から血を流していた。
あのカウンターをまともに受けて立ち上がろうとする辺り、しぶとさだけは本当に凄い。
その執念は才能かもしれない。
一樹はそんな板野へ近付き、拳を振り上げようとした。
その時だった。
「そこまでだ!!」
アルバートの声が訓練場に響く。
俺は思わず肩を震わせた。
物凄い声量だった。
アルバートは最初から勝負を見ていたらしい。
その声を聞き、一樹と板野は不満そうな顔をしながらも武器を下ろした。
「実に良い訓練だった! お主ら、よくあそこまでスキルを扱えたものだな!」
アルバートは豪快に笑う。
どうやらかなり満足しているらしい。
その後、アルバートはスキルについて説明を始めた。
スキルには練度という概念が存在する。
ただ覚えれば終わりではない。
使い続けることで威力や精度が向上していくのだという。
同じスキルでも、使う人間によって強さが違うのはそのためらしい。
確かに一樹の攻撃は凄まじかった。
日本にいた頃から様々な格闘技をやっていたらしいし、その経験も大きいのだろう。
一方、板野は不機嫌そうに舌打ちをすると、そのままどこかへ行ってしまった。
今日の訓練はここまでらしい。
俺たちはそれぞれ部屋へ戻り、夕食の時間を迎えるのだった。
―――――夕食
俺たちはいつも通り一緒に食事を取っていた。
メンバーは俺、一樹、美空、佐野の四人。
食堂で他愛もない話をしながら食事を進める。
すると佐野がふと疑問を口にした。
「そういえば、フィルネル王国ってどういう国なんだろう?」
「あー、確かに」
俺も頷く。
勇者として召喚された説明は受けた。
魔王の話も聞いた。
だけど、肝心の国についてはほとんど知らない。
「良いでしょう!!」
突然、後ろから声がした。
「うおっ!?」
思わず振り返る。
そこには見慣れたクラスメイトが立っていた。
前島情地。
通称ジョージだ。
肌は白く、痩せ気味。
ぐるぐる眼鏡が特徴的な男である。
「このわたくしが教えて差し上げましょう!!」
「びっくりした……」
いつの間に後ろにいたんだ。
忍者だからか。
いや、それにしても気配がなさすぎる。
「というわけで・・・皆さんが欲しそうな情報を集めてきましたゾ!」
「おお! 流石ジョージ!」
一樹が感心したように言う。
ジョージの職業は隠密を得意とした忍者。。
昨日も図書室のような場所で色々調べていたらしい。
何故隠れていたのかは教えてくれなかった。
本人曰く。
『謎が多い男の方がミステリアスで格好良いですゾ』
らしい。
ミステリアス要素は必要なのかと思ったけど、深追いはしなかった。
正直よく分からない奴だ。
「さてさて! まずはフィルネル王国について説明しますゾ!」
そう言ってジョージは一冊のノートを取り出した。
中にはびっしりと文字と図解が描かれている。
相変わらず凄い情報収集能力だ。
「さてさて! まずはフィルネル王国について説明しますゾ!」
ジョージはノートを開きながら話し始める。
「フィルネル王国――正式名称は【中央大都市・フィルネル栄国】。この世界で最も栄えている国ですゾ!」
「へぇ……」
俺は思わず感心した。
確かに城も街並みも立派だった。
日本の都市とは違うが、それでも発展していることは素人目にも分かる。
「現在の国王はヨハン=ザムジード。世界でも有名な英雄王ですゾ」
「英雄王か……」
なんだかゲームや漫画で聞きそうな肩書きだ。
だが、"英雄"とい単語には納得する。
あの雰囲気は普通の人じゃないという事がわかる。
「フィルネル王国は世界の中央に位置していて、各国との交易や技術交換の中心になっているんですゾ」
「つまり物流の中心地ってことか?」
一樹が尋ねる。
「その通りですゾ!」
ジョージは嬉しそうに頷いた。
「ですが当然、そんな豊かな土地を欲しがる国はたくさんありました」
「だよね」
美空が納得したように呟く。
俺も同じことを考えていた。
これだけ発展しているなら奪い合いにならない方がおかしい。
「実際、四十年前に大戦争が起きたのですゾ」
「やっぱり戦争があったんだな……」
ジョージはノートをめくる。
そこには簡単な世界地図が描かれていた。
「フィルネル王国を含む五大国が中央の土地を巡って争ったのですゾ」
俺たちは自然と身を乗り出した。
異世界の歴史なんて初めて聞く。
少しワクワクする。
「まず北に位置するのが【スノーガーデン王国】」
「名前からして寒そう」
佐野が苦笑する。
「その通りですゾ!」
ジョージは指を立てる。
「一年中雪に覆われた極寒の国ですゾ。酷い時にはマイナス五十度にもなるそうです」
「マイナス五十!?」
思わず声が出た。
生きていけるのかそれ。
「他国の兵士達は寒さ対策が不十分で大量に凍死したそうですゾ」
「それもう自然災害だろ……」
俺は思わず呟く。
「現在は魔導技術の発展と観光として有名で、美しい教会や城が人気らしいですゾ」
「女子が好きそう」
「うん、ちょっと行ってみたいかも」
佐野と美空が盛り上がる。
なるほど。
戦争の歴史はあっても今は平和な観光地らしい。
「続いて東に位置するのが【グリーンパール帝国】」
ジョージは地図の東側を指差した。
「大森林と獣人の国ですゾ!」
「獣人!?」
一樹が食い付く。
絶対好きだろうなと思った。
「人間と獣人が共に暮らしている珍しい国ですゾ」
「へぇ」
「戦争時は森林を利用した罠や迷彩戦術で有名だったそうです。」
「森のゲリラ戦か」
「そうですゾ!主に調和を大切にする国ではあるので、人族は知識を、獣人は力という感じにお互いに信頼し戦うのですゾ。」
一樹が納得したように頷く。
「そして建築技術も非常に優秀ですゾ」
「建築?」
「実はフィルネル王国の城やスノーガーデンの王宮も、グリーンパールの職人達が建てたと言われていますゾ」
「それ凄くない?」
戦うだけじゃなく物作りも得意なのか。
大森林を利用したトラップと迷路、緑を利用した迷彩服を着ての戦い、奇襲が得意との事だ。
てか、この世界に迷彩服とかあるんだ。
「次は西側ですゾ!」
ジョージはさらにページをめくった。
「【カラスカ聖都市】!」
「聖都市?」
「砂漠と技術の国ですゾ」
「技術?」
今度は俺が反応した。
技術という言葉には興味がある。
「ドワーフと人間が共同で鉱石開発や兵器研究をしている国ですゾ」
「おお……」
なんかロマンがある。
兵士長のアルバードさんもカラスカ聖都市出身って言ってた気がする。
「【カラスカ聖都市】!」
「聖都市?」
「砂漠と技術の国ですゾ」
「技術?」
今度は俺が反応した。
技術という言葉には興味がある。
「ドワーフと人間が共同で鉱石開発や兵器研究をしている国ですゾ」
「おお……」
なんかロマンがある。
兵士長のアルバードさんもカラスカ聖都市出身って言ってた気がする。
「人工魔剣や通信道具である【軌光石】を開発したのもこの国ですゾ」
「通信機まであるのか」
異世界なのに思ったより文明レベルが高い。
人工魔剣ってことは、アルバードさんの戦斧もその部類だろうか?
「それだけじゃありませんゾ」
ジョージは意味ありげに人差し指を立てた。
「カラスカ聖都市が聖都市と呼ばれている理由はもう一つありますゾ」
「理由?」
「【神の寵愛】ですゾ」
神の寵愛、その言葉を聞いて宗教が見たいなのが残っているのだろうか?
「この大陸で唯一、神から祝福を受けた国だと言われておりますゾ」
「へぇ……」
「もっとも、本当に神がいたのかは分かりませんがな! 記録もほとんど残っていないらしいですゾ」
ジョージは肩を竦める。
「ただ、カラスカの人間は今でもその伝承を信じているそうですゾ」
「なんかロマンがあるな」
「戦争では兵器を大量投入し、最も激しい被害を出した国とも言われていますゾ」
さっきまでのワクワクが少しだけ消えた。
やっぱり戦争なんだな。
皮肉にも、戦争というのは技術を発展を促進させるのだな。
「そして最後が南!」
ジョージは大きく指を差した。
「【カナバスカル王国】ですゾ!」
俺は少し身を乗り出した。
さっきから気になっていた国だ。
「海と食料の国ですゾ!」
「おお」
「人間と魚人族が共存し、農業と漁業が非常に発展しているそうです」
「魚人族までいるのか」
本当にファンタジーだな。
魚人族となると、やっぱり泳ぎとかゲームでいうサハギンみたいな槍とか使うのが得意のだろうか?
「しかも食べ物がめちゃくちゃ美味しいらしいですゾ」
「そこだな」
俺は即答した。
やはり、食べ物がうまいのは良い事だ。もし旅行するならカナバスカルが良い。
「だと思いましたゾ」
ジョージが苦笑する。
「カナバスカル産の食材は世界最高峰と言われています」
「絶対行きたい」
「楊一くんらしいね」
佐野が笑う。
だが美味い飯は大事だ。
むしろ最重要だ。というか生き甲斐だ。
「さらに栄養価も高く、平均寿命が百歳を超えるとも言われていますゾ」
「それは凄いな」
「なので、海洋祭や武闘大会が盛んで、何かイベントがある度に大きな祭りが起こるので、町は明るい人多いんですゾ」
一樹も感心していた。
食事だけでそんなに変わるものなのだろうか。
「そして、その四大国をまとめ上げているのがフィルネル王国なのですゾ」
俺たちは思わず地図を見る。
確かに中央に位置している。
戦争になれば四方向から攻められてもおかしくない。
「そんな状況でも勝利したのがヨハン王ですゾ」
ジョージは英雄王の名前を指差した。
「彼は戦争を終わらせた大英雄」
「そんなに強かったのか?」
一樹が聞く。
「全盛期は剣を振れば大地が裂け、魔法を放てば巨大なクレーターが出来たと言われていますゾ」
「いやいや」
思わず笑ってしまった。
「盛りすぎじゃない?」
「伝説なので多少はあるかもしれませんが、本当にそれくらい強かったと言われていますゾ」
ジョージは真面目な顔で答える。
少なくとも嘘ではないらしい。
「今は老いていますが、それでも生ける英雄として尊敬されているのですゾ」
俺たちはしばらく黙っていた。
そんな人物が実在しているのか。
正直まだ実感は湧かない。
「そして十年前」
ジョージの表情が少しだけ真剣になる。
「そして、北の最果ての大地にて、魔王が復活しましたゾ」
空気が変わった。
「現在はフィルネル王国を中心に各国が協力しながら対抗しているそうです」
なるほど。
だから俺たちは召喚されたのか。
ようやく全部が繋がった気がした。
「とまあ、こんな感じですゾ!」
ジョージは満足そうにノートを閉じた。
「すげぇ……」
一樹は完全に目を輝かせている。
「絶対いろんな国回るわ」
「俺はカナバスカルかな」
「やっぱり食べ物なんだ」
美空が呆れたように笑った。
だが仕方ない。
美味い飯は正義だからだ。
ジョージが一晩でここまで調べてきたことにも驚いた。ジョ〇ンニかな??
流石は新聞部ということもあり、忍者の職業になったのも案外納得かもしれない。
そしてふと考える。
どうして俺達は今の職業になったのだろう。
一樹は格闘技経験がある。
真面目な美空も騎士というのも納得できる。
ジョージは情報収集が得意。
それなら今の職業も分かる。
なら――俺は?
平凡に生きてきた結果。
村人。
そう考えると妙に納得してしまった。
「はは……」
思わず乾いた笑いが漏れる。
「どうしたの?」
隣の佐野が心配そうに聞いてきた。
「いや、なんでもない」
俺は誤魔化すように笑った。
考えても仕方ない。
今は前を向くしかない。
――強くなろう。
せめて、誰かに守られるだけじゃなくなるくらいには。
そう決意しながら部屋へ戻る。
この時の俺はまだ知らなかった。
自分の職業に隠された本当の意味を。
また、来週の火曜日に会いましょう・・・。
現在、改稿版を投稿しています。
そちらの方もストーリーは同じですが、話の内容や追加台詞など変わったり増えたりしていますので、主に、黒杉くんの殺され方など・・・是非読んでいただければと思っています。
※いずれ統合しますけど・・・。
改稿版URL
https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/1443099/
あと、気に入っていただけたら・・・ブクマしてくれると・・・うれしいなぁ(チラチラ
皆様の一回のブクマで励みになりますので、今後とも応援していただけると嬉しいです。
あわよくば、評k(ごめんなさい、調子乗りました。




