↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/27

Ep.13 手抜き姫

 那岐は疑いの目で沙羅を見つめる。那岐、零、沙羅は学園長室に座っていた。

 「さて、どこから話せばいいでしょう……


 私(わたくし)はこの学園を設立する前、裂け目からの侵攻事件により死亡し、廻甦者(ノストル)となりました。

 その時に私(わたくし)は、人(・)格(・)が(・)二(・)つ(・)に(・)分(・)か(・)れ(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)のです。一つ今の私(わたくし)、そしてもう一方が、あなた達二人が先ほどご覧になったもう一人の私(わたくし)です。

 そしてもう一人の凶暴な私(わたくし)の力が日に日に強まっていまして……いつしか制御できなくなる可能性があるほどです」


 「つまり、さっき襲い掛かって来たのはそのもう一つの人格ってことですか?」

 零は頭の中を整理するように確認した。沙羅は頷いた。

 「はい。先ほどは本当にご迷惑をお掛けしました……」


 「いえいえ!あたしたちは大丈夫なので!

 ……つまり”凶暴な学園長”は、烏丸先生のもう一つの人格が暴れていたってこと、か……」

 零はそう呟くと、沙羅は何かを疑問に思ったのか、不思議そうな表情をした。

 「”凶暴な学園長”……とは?」


 「あっその……!

 えとー……この学園の生徒たちで、噂が広まってるんです。学園三不思議として」


 「七、じゃないんですね」

 沙羅はさらっと確認すると、那岐は首を縦にふった。

 「やっぱり相場は七ですよね……」


 「それでは、”凶暴な学園長”と、あと二つは?」


 「二つ目は”消える不審者”です。これは先生の間でも伝わっているんじゃないですか?」


 沙羅は思い出すように少し上を向いた。この噂は教師間でも広まっているものだった。

 「最後が”失踪する生徒”です。生徒がたまに行方不明になるって噂で……あたし達の同級生、東雲 優菜も行方不明になったんですよね?

 あたしたちはそれと関係してるんじゃないかと思って……」


 「なるほど、たしかに先日中等部の三年生に行方不明者がいましたね。私(わたくし)自身はこれについて知っている事はないですが……もう一人の私(わたくし)が関係している可能性はゼロではありませんね」



 学園長室を出た後、二人はそれぞれ家路に着いた。帰り道、オスドが那岐に話しかけた。

 「気付いたか?あのババァ、確実に何か隠してるぞ」

 「何か知ってるんですか?」

 オスドの口ぶりに那岐は気になったが、

 「さあな、ただの勘じゃ」




 数日後、那岐と零は実技の授業で手合わせをしていた。

 (零の動きは大雑把だけど力も技術も高い。けど……やっぱり鞘から刀は抜いてくれないか)

 零と戦う中で、那岐は零の戦闘能力について考えていた。すると外野から話し声が聞こえてくる。


 「やっぱり刀は抜かないな?那岐も相当つえぇってのに」

 「流石、”手(・)抜(・)き(・)姫(・)”サマだよな~」


 手合わせを終えた後、那岐は零に恐る恐る尋ねた。

 「あいつらが言ってた”手抜き姫”について教えてくれない?」

 零はタオルを首に掛け、スポーツドリンクを手にしながら、少し気まずそうに答えた。

 「えーとね……あたし、いつも刀を鞘に入れたまま戦ってるでしょ?だから皆、姫路 零は仲間に命の危険が及んでも手を抜くって言うんだ」


 「……実際にその状況になったら?」


 「……」

 零は何かを考えているようにうつむいた。しばらくした後、零は頭を上げ、那岐に言った。

 「絶対に助けるよ」




 放課後、那岐は零にアドバイスを受け、不正ハンター調査のため、ある人物のところへ来ていた。

 「なんで急に俺に話を聞こうなんて考えになった?」

 そこにいたのは、保健室で治療を受けたばかりの松田 健心だった。

 「貴方に話を聞いてみたらって、零が提案してくれたの」


 「そうか、零と仲良いもんな。このクラスで零とまともに渡り合えるのはお前ぐらいだし、零も楽しそうだった」

 健心は一瞬驚いた後、どこか懐かしむように微笑んだ。

 「零から聞いたかもしれないが、俺は零……もとい優菜をいじめていた。今となっては後悔してるがな。

 ……単純に言えば、怖かったんだ。突然同級生が廻甦者(ノストル)なんて超人的存在になったんだ、牽制したかったんだ」

 那岐は健心を睨んだ。

 「その結果が、今」


 健心はため息をつき、

 「そうさ。だから後悔してる。あーもちろん、優菜からやり返しを受けてなくてもな。

 ……理由の一つにはなってるが」


 「……話が逸れた。それで、不正ハンターについて何か心当たりは?」

 那岐は脱線した話を戻し、本題を投げかけた。

 「不正ハンターか……いれば分かるはずだ。史刻と契約していない廻甦者(ノストル)なんて一般人と変わらない。こんな、日本二位のハンターもいるようなハンター科の実技授業になんざ着いてこれる訳がない」


 「それはそうなんだけどね」


 「なんで不正ハンターを探してるのか知らないが、ここにそいつがいるって根拠はあるのか?」


 「……言えない。詳しい事は言えないから、あまり詮索しないで」

 那岐は健心を睨み忠告した。健心はそれに恐縮した。

 「お、おう……」


 「……?」

 那岐は何か違和感を感じた。自分の周囲を確認したその時、那岐は気付いた。


 「師匠?」

 オスドがいなかった。今までオスドが黙って那岐の元を離れた事はない。那岐は警戒を高めた。同時にある事に気付く。

 「……魔力?」

 空間に魔力が満ちていた。それは、誰かがここを自身の領域としている証拠であった。


 「流石ですね、もう察知するだなんて」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。