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第43枚 偶にはネタデッキでも

 ここは通常ならとある県のとある県庁所在地、その閑静な住宅街にあるはずの妖怪屋敷である。今は、どこぞしれない場所にいて、ふわふわと浮いた状態である。

 そんな怪しい状態のそこはゲーマー妖怪、サティスファクション都――妖しの黒髪が今日も冴えわたっている――の居城である。今日は流石にゲームというわけにはいかないだろう、と、一緒にいる従者、ニシワタリ――銀髪が胡乱に輝いている――などは思うが、そんな憶測は瞬時に覆される。

「さて、用意が出来るまではゲームってとこね!」

「……誰が用意するんデスカ、サティスファクション」

「あそこでスプラで対戦している面々よ?」

「……今、スプラで対戦してマスケド?」

 何言ってんだお前、と言わんばかりの困惑顔で、座ったゲーミングチェアを揺らしつつサティスファクション都は言う。

「そう言ったでしょ?」

「いや、え、あ、うん?」

「スプラで対戦しているやつらがするのよ。そういう要員だからね?」

「ですが、スプラで対戦してて、えーと?」

 混乱するニシワタリに、茂美――ポニーテールが特徴的な――が助け船を出す。

「ニシワタリは、対戦していて何かの対処をしようとしてない、と言いたいんだよな?」

「そうデスヨ、そうデス。城の言う通り。ツカ、あいつらなんもする気配ないジャネーカ!」

 確かに対戦が盛り上がっている。ネット環境は繋がったままのようで、それがいっそう、この状態のあいまいさを盛り上げている。

 さておき。サティスファクション都は言う。

「だから、用意が出来るまでゲームって言ったじゃない?」

「用意カ? あれは用意ナノカ?」

 完全に喧嘩腰のニシワタリに対して、サティスファクション都は悠然と構えている。

「まあ、それは妖怪それぞれよ?」

「それぞれデショウガ、あれは間違いなく違う部類デスヨネ?」

「……流石に、今はちょっと時間待ちとかじゃない?」

 そういうのは、二体の剣幕を抑えようと動く美咲である。今回もわんこな癖っ毛は健在である。

 その言葉に、サティスファクション都はもろに乗っかる。

「美咲の言う通り。あいつらも有能なんだから、少し待ちって判断してのことよ。たぶん」

「たぶん!? たぶんって言ってくれマシタカ!? やっぱりわかんねーんじゃネエデスカ!」

「カリカリしなさんな、ニシワタリ。とりあえず、今が外界から閉ざされた空間にいるだけなんだから」

「それが、大、問、題! なんデスヨ!」

 ぎゃあぎゃあと騒ぎたててくるニシワタリに、サティスファクション都はうんざりと。

「ニシワタリ、あんたの能力が使えないからって、不安なのはわかるわよ? でも、美咲と城を見なさい」

 確かに、美咲も茂美も、特に臆病な姿は晒していない。泰然としている。

「どっしりしたものでしょう?」

 そう言うサティスファクション都に、茂美は訂正を入れる。

「いや、僕らは一体何が起こっているか分からないだけだぞ」

「何もわかってなくても、泰然としている。器が大きいわね?」

「単に事の重大さが分かってないおバカなだけデショウ」

「あん!? 美咲が馬鹿だと!?」

「ああ!? そうデショウ!?」

「まあまあ」

 一瞬、一触即発な雰囲気になるのを、美咲が割って入って抑える。立ち上がりかけていた茂美は、再び姿勢正しく座り直す。同じく立ち上がりかけていたニシワタリは雑に座る。

「さて」

 と、この話をこじらせている原因たるサティスファクション都は言う。

「ただ、まんじりともせず待つのもなんだし、お話ししましょうか」

「ゲームの話デスカ?」

「それ以外に何があるのよ?」

「その点はこっちがクエスチョンなんデスケドネエ!」

「あん?」

「ああ?」

「まあまあ」

 今度は美咲が間に入って二人の悶着を落ち着かせる。どちらも立ち上がりかけていたところだったので、すぐに座りなおした。どちらもドカッである。

「とにかく、向こうが動かないとどうにもできないんでしょ? なら暇つぶしするべきじゃないかな?」

「そうそう、美咲の言う通りだ。バカみたいな状況だが、それに押しつぶされても仕方ない。いつも通りにいこう」

 こくこく首を縦にふり、サティスファクション都は結論する。

「お膳立ては整ったわ! ならば語りましょう! コンセプトデッキ、<ディオナOTK a.k.a 鉄拳ロイヤル>を!」

 そういうことになった。


「まず確認するが」

 と茂美が問う。

「『シャドウバース』の話でいいんだよな?」

「他に何が?」

「いや、わりと他もある可能性があるからな?」

 ふふん、とサティスファクション都はない胸を張る。タイミング的に何故? であったが、これ以上話をこじらせても仕方ないと、茂美は判断し口を噤む。

 それを理解と受け取ったのか、サティスファクション都は語りだす。

「私は、以前から温めていたのよ……」

 何を? と聞く場面であろうが、今一そのノリについていけないので、茂美とニシワタリは沈黙する。

 が、美咲はその辺はいい加減である。なので聞く。

「何を?」

「分かっているでしょう? <ディオナOTK a.k.a 鉄拳ロイヤル>よ」

「うん。いやそれは分かっているけど。さっき言ったしね、でも、そもそもディオナってなんだっけ?」

「ロイヤルのフォロワーで、二回攻撃出来るやつだった、か?」

 茂美の注釈に、サティスファクション都は頷く。

「城はその辺は流石ね? もうちょっと詳しく言えば、<舞い踊る刃・ディオナ>は10コスト3の3のフォロワーで、疾走と二回攻撃持ちね。アクセラレートもあるけど、今回はそこは重要ではないから省くわ」

 いつの間にか出てきていたホワイトボードに、情報を記載していくサティスファクション都。そして問う。

「で、どう思う、美咲?」

「ん? どういうことが、かな? 今の情報だと6点を10ターン目じゃ安いってことくらいしか分からないんだけども」

「そうなのよ!」

 ホワイトボードには髪の毛を操って、<6点じゃ足りない!>と書きながら、タイヤ付きだったゲーミングチェアで美咲の前にすさーっ移動し、その手を取る。

「その通りなのよ! 6点じゃあいかにも貧弱! そしてOTKには遠い! でもだからこそだろうが!! なのよ!」

「近い」

 ぃん、と音がした時には、既にサティスファクション都は元の位置にいた。茂美が剣を抜いて、斬ったのだ。そして逃げるのが遅ければ、断ち切られていただろう、というのは美咲以外は理解していた。

「ちっ」

「結構マジでやらなかった、城?」

「君にやる時は真剣だよ、何事もね」

 なにやら不穏な空気になりかけていたので、美咲はまた「まあまあ」と間に入る。

「あれくらいの近さなら、茂美ちゃんとだってあったでしょ?」

「僕はいい。あいつは駄目だ」

 そんな無茶な、と美咲は思うが、どうやら真剣にそう思っているようなので、ここは話題を変えるべきだ、と美咲は判断する。

「茂美ちゃん、そもそも、OTKってなんだっけ?」

「ワンターンキル、One Turn Kill の頭文字を取ったやつだ。一つのターンで致死ダメージ、って感じだな」

「6点まで削って一撃必殺を狙うの?」

 疑問に、答えるのはニシワタリである。

「いえ、逆デショウ」

「……逆?」

「そう、逆よ美咲。相手を下げるのではなく、こちらを上げるの」

 サティスファクション都は名言を言ったかのようにない胸を張った。

 美咲ははてな? と疑問を持つ。

「こちらを上げる、となるとバフするってことだと思うけど……シャドバのPPは最大15くらいだったっけ?」

「大丈夫。10PPが上限よ?」

「でも、ディオナもコスト10だよね? どうやってバフするの? 11ターン目?」

「そんな迂遠なことはしてられないわね」

「えーと、つまり?」

「何かしらの方法で、コストを踏み倒す、というやつだよ、美咲」

 うんうん、とサティスファクション都は頷いて言う。

「そういうこと。コストを下げてバフをする形にもっていくのが狙いね」

 ホワイトボードの前まで戻ったサティスファクション都は、<コストを下げる!>と髪を使って書く。自身の腕は腕組みをしているので忙しいようだ。

 そして問う。

「美咲。ロイヤルでフォロワーのコストを下げると言ったら?」

「えーと、そんなのあったっけ?」

「いマスヨ。<鉄拳の獣戦士>デスネ。ロイヤルフォロワーを引いてきて、それのコストを-2、あるいは-9シマス-9にするにはエンハンス9、つまりコスト9にならないと、デスガ、これならバフはやりやすいデショウ」

「ご名答ね、ニシワタリ。コスト減は<鉄拳の獣戦士>でなんとかするのが基本よ。雑だけどそう言うことで話を進めるわ」

 じゃあ、とサティスファクション都は話を進める。

「次はバフはどうするか、よね?」

 <バフは?>とホワイトボードに髪で書くサティスファクション都。

「ロイヤルはバフは結構あるけど、どれを使っていくのかな?」

「美咲、そもそもまず何点のバフがいると思う?」

「えーと? 3点二回で6点当てられるから、とりあえず14点?」

「反射で言ったでしょ、美咲。ちょっと考えなさい」

 むう、と美咲は困る。確かに反射で言ったが、6点から20点を引けば14点だ。間違いではない気がする。でも、言われてみると考えが足りていないかもしれない。何かある気が。

 と。

「自分で言ったことにヒントがあるよ、美咲」

 茂美がそう、耳打ちしてくる。

 言われ、美咲は自分の言葉を反芻する。なんと言ったか?

「うーん、6点?」

「そこじゃない」

「14点?」

「近いが違う」

「ええい! 3点!」

「何が、ええい、なんデスカネ……」

「打点じゃないんだよ、美咲。」

「じゃあ何? 二回攻撃に何かあるの!? ……ってそうか! 二回攻撃なんだ! つまり、二倍!」

「やっとこ気づいたようね、美咲。そう、二回攻撃だから、14点ではなく、7点あればいいのよ」

 うんうん、とサティスファクション都は美咲の気づきに嬉しそうに頷いているが、ニシワタリは苦い顔をしている。

 懸念を、ニシワタリは言う。

「デスガ、サティスファクション。7点バフ、それでもちょっと難しいんじゃないデスカ? 10ターンに1コストのディアナを出す、となれば残り9PP。<武装強化>三枚でも6点しか上がりマセンシ、流石に<武装強化>三枚ちゃんとある、というのは無理筋過ぎマス」

「そもそも、ディオナを9コスト鉄拳で引けるか、ってことにならないか?」

 それに同道する、茂美。うんうん、とサティスファクション都は気づきに嬉し祖に頷く。

「何、嬉しそうにしてるんだよ」

「予想通りの発言だからよ? そして、それにきっちり返歌していけるからよ?」

「本当かよ?」

「本当カヨ?」

「本当なの?」

「本当は違うんじゃないですかー」

「無理なんでしょう?」

「無理だろうな」

「うるさい外野!」

 いつの間にか、スプラをやっているモニターの前からこちらに来ていた面々に、サティスファクション都は怒りを飛ばす。髪の毛もあらぶっているのは相当怒っている時なので、知っているスプラ組はすごすごと帰っていった。

 はあー、とため息を吐いてから、サティスファクション都は切り替えるように言う。

「まず、ディオナを引くこと。これは結構簡単ね」

「というと?」

「簡単な話よ? ディオナ以外にロイヤルフォロワーを入れなければいいのよ!」

 間がある。美咲はさておき、茂美とニシワタリは熟考の構えである。意味を検討しているのだ。そこんとこが分かっていない美咲は、軽々に問う。

「ロイヤルフォロワーいないでやっていけるの?」

「んぐぅ」

 サティスファクション都はゲーミングチェアからはみ出さんばかりに横になる。

「んぐぅ?」

 態勢を戻しながら、サティスファクション都は言う。

「いやいや、出来なくはないじゃない出来るわよ? 一つはニュートラルフォロワーを組み込むこと。これならロイヤルフォロワーではないから鉄拳も引っ張ってこない」

 ふんふん、と美咲が頷いている。茂美とニシワタリも、それについては文句は言わない

。理解を示している。

 それを見て内心ほっとしながら、サティスファクション都は続ける。

「もう一つ、スペルでフォロワーを出すタイプのを組み込む! これならやはり鉄拳が引っ張ってこない! どうよ!」

 ふむふむ、と美咲は頷いている。茂美とニシワタリも、それなら、という雰囲気だ。

 そこで、美咲は軽く尋ねた。

「じゃあ<鉄拳の獣戦士>はどう引っ張ってくるの?」

「んぐぅ」

 またしてもゲーミングチェアからはみ出さんばかりに横に倒れるサティスファクション都。そこは結構クリティカルな部分だったのだ。

 横になったまま、サティスファクション都は呻く。

「そこは運否天賦……。でも、案はあるの……」

「ほう、聞こうか。鉄拳を確定サーチする方法」

 何故か居丈高な茂美に、サティスファクション都はその案を口にする。

「<アンリミテッドコロシアム>のアディショナルで追加された、<プリンセスナイト>。これを組み込めば、確定サーチよ……」

「ナルホド。あれは確か、ファンファーレ持ちをサーチするカード。ファンファーレ持ちを<鉄拳の獣戦士>に限定スレバ、確かに確定サーチデスネ」

 理解の言葉を聞いて横倒しから回復しているサティスファクション都に、美咲が続けて聞く。

「とりあえず、鉄拳確定サーチをするのは分かったよ。次はバフの方。7点バフって大変だけど、どうするの?」

 態勢を戻したサティスファクション都は言う。

「ロイヤルには、優秀なバフが多いわ。それに、更に<アルティメットコロシアム>で優秀なバフ要員が追加! ということで発案した訳よ」

「アルコロでバフ要員いたっけ?」

 再びはてな? となる美咲に、サティスファクション都は強く言う。

「あるじゃない、<頂きの闘技場>が!」

 沈黙が雄弁に何言ってんだお前という雰囲気を醸し出す。

「あれ? ここはその手が! って称賛が出るタイミングじゃない?」

「タイミングじゃない」

 にべもなく言われるが、サティスファクション都は自信があるのか、更に言う。

「でも、これは結構いい案なのよ? 直接召喚できるから、手札に来なくても設置可能だからね? それに、このプランに必要なものの抽出にも影響するわ」

「必要なもの?」

「そう、それは<レオニダスの遺志>! <レオニダス>を突進で潰して、生み出す為には、<頂きの闘技場>は必須とすら言えるわ!」

 決まった、という感じを出すサティスファクション都に対し、茂美が「ちょっと待て」と疑義を申し立てる。

「都君、さっきディオナ確定サーチって言ってたよな? レオ兄入れたら、確定じゃなくないか?」

「……気づいた?」

「気づかないと思う方が無理がある」

「それはそうよね。でも安心して? ロイヤルフォロワーはディオナとレオ兄だけよ?」

「……つまり、レオ兄を引いてきてもいいプラン、ということか」

「むしろ6コスト鉄拳ではレオ兄を引いてきたいまであるわね」

「確定サーチプランがあっても難しくないか? 一応、実質6枚積みだが」

「大丈夫よ! それでも引けない時の為に<思わぬ躓き>と<居合の真髄>は3積みよ!」

「ドロソ頼り過ぎな気がするが、まあネタ……ネタデッキはそんなものか」

「コンセプトデッキよ? というかそれ思いついたけどネタって言いきったでしょ、城」

「どう考えてもネタデッキデショウ。今更デスヨ、サティスファクション」

「非難されるいわれ全然無さ過ぎて笑える」

 呆れ果てるニシワタリに、くつくつと笑う茂美にと、サティスファクション都はお冠だが、それでもまとめに入る。

「とにかく! この<ディオナOTK a.k.a鉄拳ロイヤル>の要諦は、10ターン目に1コストディオナを出して、そこまでに用意したバフをかけて相手を一撃! その為には無茶な構築も許容範囲!」

「無茶してそうだが、実際はどういう構築なんだ?」

「とりあえず、キーカードである<鉄拳の獣戦士>、<レオニダス>、<舞い踊る刃・ディオナ>は三積みね。

 そこにドロソとしての<思わぬ躓き>、<居合の神髄>、それと一番引っ張りたい鉄拳用のドロソ<プリンセスナイト>も3積みだわ。

 後はバフ要員である<頂きの闘技場>3枚と<白刃の剣舞>か<武装強化>を3枚かしら」

「それ以外は? 適当?」

 美咲の問いに、んなわけないでしょ、と言いつつも、サティスファクション都は逡巡する。

「……ここがわりと難しいのよね。どういう戦い方をしてもいいけど、10ターン目に勝負をつけるつもりではいないといけない。でも、サブプランも欲しい。ここのせめぎ合いね」

「プランとしては?」

 茂美の問いに、そうねえ、と言いつつ、サティスファクション都は指を三つ立てる。

「一つは守護多め。守って耐えるね。とはいっても、ファンファーレの無いニュートラルの守護は限られてくるから、ちょっと線が細いのと量が取れないが難点ね」

「守護でロイヤルじゃなくてファンファーレがない、だと<シールドエンジェル>とか<天剣の乙女>くらいだな」

「流石にちょっと貧弱よね。次の一つはロイヤルのフォロワー出しスペル多め案。これは<ドラゴンナイツ>や<アルビダの号令>みたいな優秀なカードを多めに使っていく案ね。だけど、場に出すタイプは<頂きの闘技場>の効果が影響しないのが難点ね」

「確かにプレイしないと、だったな。<レオニダスの遺志>なら効果するが、か」

「メインで使う闘技場に使えないと単に貼っても不利なのよね。で、最後の一つが、<抜刀術>起用案。抜刀ディオナでのバーンっぽいダメージ、あるいは抜刀レオニダスでレオニダスを潰して早めに<レオニダスの遺志>を起動する案よ。これだとコンボパーツが上手く回らないのでは? って危惧があるのが難点ね」

 三つを言いきって、サティスファクション都は一息して湯飲みを手に取り、その中身を一気に飲み下す。そこに、ニシワタリが問う。

「で、どの案を取るんデスカ?」

「逆に聞きたいのよね。どの案がいいのか」

 うーんと三者は律義に考える。完全に丸投げされたのだが、それに三者はうすうすしか気づいてはいなかった。

 その中でもっとも気づいていない美咲が、最初に言う。

「あたしは抜刀ディオナ案かな? 中盤でディオナが来た時の選択肢として、削りが出来る<抜刀術>はいれていいと思うんだけど」

「確かに、違うプランに素早く移れるのは良いな」

「中盤の薄さをカバーできマスシネ」

 茂美とニシワタリも、その言に乗る。

 しかし、とうのサティスファクション都は渋い顔。

「一番カード繰りが難しいパターンなんだけど……」

「聞いたのはあなたデショウ、サティスファクション」

「そうだぞ。それともなにか? 美咲の提案を受けないっていうのか?」

「ぐ……」

 言葉に詰まるサティスファクション都に、美咲がトドメのように言ってしまう。

「もしかして、都ちゃんじゃあ扱いきれないのかな?」

「ぬっ……」

 ネタデッキ数寄の血に火が付いた。

「出来るわよ! 私はゲームの天才よ! 見てなさい! 今このデッキ作って対戦してやるから!」

 完全に功名心の炉に火が入ったサティスファクション都は、どりゃー! とか無意味に言いながらデッキを製作し始めた。


 それが一段落したところで、変化があった。

 音と衝撃だ。どこかに、屋敷がぶつかったのだろう、と推測出来るものだった。

「都ちゃん? どこかに着いたみたいだよ?」

 画面から顔をあげたサティスファクション都は、そのようね、と言うと、スマホを置いて立ち上がる。

「どこか分かってるのか、都君」

 茂美が問うてくる。サティスファクション都は、さも当然のように言った。

「分かってるわ。どこかだ、ってのがね」

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