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第44枚 新型自然ウィッチの模索

 そこは、とある県のとある街。その閑静な住宅街の一角に、完全にうらぶれた感じで建っている屋敷。そこがゲーマー妖怪、サティスファクション都の居城である。

 今日も今日とて、黒い長髪が目印のサティスファクション都は屋敷のゲーム部屋で、そしてゲーミングチェアの上でくだを巻いていた。

「どうも、サティスファクション都です。面倒事に巻き込まれるのは日常炒飯時ですが、流石に家ごとだと困りますね。住む場所を奪われるってかなりきつい」

「どこに向かってなんの話をしているンデスカ、サティスファクション」

 いやいや、とサティスファクション都は手をひらひらとさせて、振り返りつつ言う。

「虚空に愚痴をぶっかましたくなる時だってあるってことよ。ニシワタリにもあるでしょ?」

「ねーデスヨ」

 そういう銀髪の麗人、ニシワタリにサティスファクション都ははあ、と溜息。

「そりゃあ、あの時はあなたは楽な役回りだったからね。最前線で頑張った私としては、羨ましい限りでございますだわよ」

 揶揄するサティスファクション都に、ニシワタリは熱いお茶をちゃぶ台の上に起きながら、冷たく言う。

「一人突出したあなたが悪いンデスヨ。ト言うよりは、あえて火中の栗を拾いに行ったんだから、今更愚痴られても困るンデスヨ。頑張ったねー、と褒めたらいいンデスカ?」

「ぐぬぬ……」

 やりこまれて、サティスファクション都は熱いお茶を一口。

「熱い!」

「気を付けて飲んでクダサイネ」

 ふーふーと息を吹きかけてお茶を冷ましながら、サティスファクション都は言う。

「美咲、遅いわね」

「時間指定でお呼びしてマシタカネ?」

「いや、いつもならこの辺りで美咲の優しさが発露されるじゃあない?」

「居れば、デスネ。今はいないデショウガ」

「なのよねえ。何か面倒事に巻き込まれてないといいけど」

「フラグデスカ?」

 ケーッ! とサティスファクション都は鳴く。

「そういう言い草は気に入らんわねえ! フラグなんてのは世の中にはねえ!」

「キレ散らかされても困りマスネエ」

 はーっ、とサティスファクション都は溜息。

「暇だわ」

「知ってマスヨ」

 時間はまだ昼に入った辺りだ。学校のある美咲と茂美がここにいないのは当然のこと。だが、それでも。

「美咲と遊びたいわ」

「知らンガナ。というか待ってれば大体来るデショウ、あの人」

「慰めてくれないの?」

「尚のこと知らンガナ」

 ちぇー、とか言いつつ、サティスファクション都はパソコンラックまでゲーミングチェアをスサーッと移動させ、それからパソコンを起動する。

「何をするンデス?」

「シャドバでデッキ作りよー。アディショナルも来たことだからね」

「それはそれで逆に今更? と思ってしまいマスガ。もう新弾の季節デショウニ」

「最近ごたついてたからしょうがないでしょ? というか、なんで私がパッションのやつの尖兵なんてしてたのかって話よ」

「あなたが勝手にしてやったことデショウニ」

「そうよ、私の勝手! でも、ここまで面倒になるとか思わないじゃないのさ!」

「こちらにキレ散らかさないでクダサイ。言うならパッションに、デショウニ」

「あーもうはいはい、この話ここまで! 気合も入ったし、やっとこ落ち着いてのデッキ作りよ!」

 言うと、サティスファクション都はブラウザを開く。

「ああ、シャドウバースポータルデスカ」

「夢想の段階ならあっちのが楽だからね」

 言うと、サティスファクション都はシャドウバースポータルにログインしてから、デッキ作成の位置をクリックする。

「で、そもそも今回はどのクラスのデッキを作るンデスカ?」

「ウィッチよ! アディショナルで入ったカードの中で最も使ってみたいから!」

「下馬評ではヴァンプとネクロってなってマスヨ?」

「馬がなんだってんだよああん!?」

「謎のキレ散らかしかましてくるンジャナイ。トイウカ、世の中の流れに逆らいたいって気持ちが強過ぎるンデスヨ、サティスファクションは」

「世の中が間違ってるのよ!」

「で、ウィッチって言っても色々ありマスガ?」

 台詞をガン無視されたが、特に腐らず、サティスファクション都は続ける。

「勿論、アーレインの為に自然軸で組むわよ!」

「引けたンデスガ?」

「世の中が間違ってるのよ!」

「引き運は世の中とミリも関係がナイ。あんた単体のことデス」

「ぬぅー!」

 歯ぎしりまで始めたサティスファクション都に、ニシワタリは言う。

「歯をギシギシしてないで、さっさとデッキ作りナサイ。皆が待ってマス」

「世の中が!? 一枚も寄越さなかった世の中が!?」

「私怨を爆裂させてないで、早く作レ」

 そういうことになった。


「自然ウィッチの要諦!」

 と、サティスファクション都がのたまうと、ニシワタリは面倒になりつつあり、寝そべってたるそうに返す。

「ライリー出しときゃいいンダロ」

「その通り! <エレメントシャーマン・ライリー>が主体のデッキね! その直接召喚条件の、<ナテラの大樹>をプレイした回数を如何に稼ぐか! それに全てをかけるデッキよ!」

「そういう一点突破が超好きデスヨネ、サティスファクションは」

「一点突破こそ至上よ! それが通れば勝てるなんて超楽しいわ!」

「へいへい」

「ということで、カードを選定していくわよ! そこのニシワタリ!」

 たるそうにしているニシワタリが、更にもう一段たるそうに言う。

「ナンスカ」

「まず何を入れたらいいかしら?」

 たるたるしながら、ニシワタリは律義に答える。

「さっき話に出した<エレメントシャーマン・ライリー>は超必須デスネ。それと、<ナテラの大樹>が出せるカードも超必須デス。<アースエレメンタラー>、<エレメンタル・マナ>、<荒野の休息>、<荒野の案内人>。とりあえず、それらを3積みすることからすべてが始まりマス」

 それから、とたるたるしながらニシワタリは続ける。

「<ナテラの大樹>を回収する班も要ります。<パイロエレメントソーサラー>、<インパクトアルケミスト>、<ゲイルエレメンタラー>、<ストームエレメンタラー>、<極点のエレメンタル>辺りが基本で、他も適宜、という感じですね」

 それを一息に言うと、再びたるたるとするニシワタリ。サティスファクション都は拍手などをする。

「たるそうにしているわりにはきっちり答えてくれてありがとう、ニシワタリ」

「長引かせる方が面倒だと判断したマデデス。トハイエ、巻き込んでデッキ作るってアナタ」

「暇なの! それに一人でやってもいいけど、わいのわいのとした賑やかしが欲しいの!」

「ホントひとりでヤレー」

 とは言いつつも、ニシワタリは二の句を継ぐ。

「で、どうするンデスカ?」

「どうする、とはなにかしら?」

「単なる、平凡な、そんな自然ウィッチにするつもりはないンデショウ?」

 サティスファクション都は笑む。恐ろしい、凶つの笑みである。こんなことで出すものでもないだろう、とニシワタリは思うが、口には出さずに促す。

「で、どうするンデスカ?」

「今回のコンセプトは二つよ」

「一つは?」

「<元素の大魔術師・アーレイン>を導入すること」

「成程。引けなかった奴デスネ」

「世の中が」

「その件もいいンデ」

 ちぇー、と言いつつ、サティスファクション都は説明を続ける。

「<元素の大魔術師・アーレイン>は、場にある時にアミュレットのプレイ回数で3回能力を発動するカードね。一つ目がスタッツ上昇、二つ目がワンドロー、三つめが相手フォロワー全体とリーダーに3点。これを有効活用したい訳なのよ」

「その面はどう予定してイマスカ?」

「これはデッキ自体より、基本的な立ち回りの方で解決することになる話ね。結局は、<ナテラの大樹>を如何に確保しておくか、って形になるわね。だから、アーレインを強く使うなら、大樹を上手く貯めておく、という立ち回りになるわね」

「それは、いままでの自然ウィッチのムーブと違いマスネ?」

 満足げに、サティスファクション都は頷いて、「そうね」と問いに答える。

「今までの自然ウィッチの基本は<ナテラの大樹>を置ける時に置く、回収してもまたすぐ置く。これだった訳だけど、ここで様子が違ってくるわね」

「つまり、貯めて一気に、ということデスネ」

「その通り。今まで見たいにちまちま回転するのではなく、貯めて一気に大回転! これよ! 時代よ!」

「時代じゃねえと思いマスガネ」

 と遮ってから、ニシワタリは問う。

「一つめは分かりマシタ。デハもう一つは?」

 問われたサティスファクション都は、顔から表情を消して、平板に言う。

「<鋼鉄と大地の神>を入れるわ」

「そうですか」

 サティスファクション都は表情を戻してヨヨヨ、とよれる。

「そこは、なん……、だと……、でしょお!?」

「知らンガナ」

 ヨヨヨなサティスファクション都を邪険にしつつも、ニシワタリは問いかける。

「<鋼鉄と大地の神>を入れる、ということは、コストを踏み倒したいンデスネ?」

 頷いて、サティスファクション都は話す。

「<鋼鉄と大地の神>は機械カードと自然カードを融合していれば、能力に寄るドローの時にコストを下げる訳だけど、これならアーレインのコストが0になる訳よ。素敵じゃない? 2枚並べることも余裕だし!」

「しかし、サティスファクション」

「懸念?」

「ええ。そうすると、ドローし過ぎてライリー引いちゃうんじゃないデスカ?」

 サティスファクション都はうんうん、と頷く。

「そこなのよね、問題は。そして解決策がない」

「ねえのカヨ」

「そこは割り切るしかないわね。出たら6コストライリーヤッター! という風に」

「全然嬉しくないデスヨネ?」

「ライリークラスを6コストならまあまあ、だけど、そりゃあ<鋼鉄と大地の神>使ってすることじゃあないのよね。でも、そこは基本運だから、どうしようもないわ」

「そこについては突っついてもこれ以上何も出なさそうなので、スルーとしマスガ、鋼鉄大地セットをどう入れるんです?」

「基本的に、<鋼鉄と大地の神>と<デュアルエンジェル>だけでいいかな、と思うわね。ぶっちゃけ機械カード入れる余地がないのよ」

「わりと安定し無さそうデスネエ」

「その辺はやってみんことには、ね」

 サティスファクション都は、軽い感じで笑うのであった。


 ひとまずデッキの形が決まり、実際に組んだところで、サティスファクション都は言う。

「とりあえず、このデッキは中盤にアーレインを決める、あるいは後半にアーレイン二枚決めるとかが狙いね」

 まだたるそうに転がっているニシワタリが疑念を言う。

「既に方向性が通常の自然ウィッチと違ってきてマセンカ? それ勝ち筋違うデショウ」

「うーん、確かにその通り……。でもアーレインを強く使うデッキだからこれでいい!」

「いいならいいデスガ」

 ニシワタリは立ち上がると、モニターにある出来上がったデッキを見る。見る感じでは体裁はなしているが、上手く回るか怪しいものだ。

「いっそアーレインを考えない方が強いんじゃないデショウカネ……」

「なんて?」

「いえ、なんでも」

「そう? じゃあ、ニシワタリ。一戦やるわよ」

「へーい」

 その試合は、ニシワタリが分からせて終わった。

長々書いて来たシリーズでしたが、完全にシャドウバースから引退しちゃって、話の書きようがなくなったので、閉じました。長い間開いてしまいましたが、特に終わり方も考えられなかった、まこと申し訳なく。いつまでもやれると思ってたのに、というので、終わり方考えてなかったツケが出た感じです。

ということで、楽しんでいただいてありがとうございました。

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