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スラム育ちの俺《浄化》スキルで成り上がる  作者: 月瀬 リュカ


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第25話 Cランク昇格審査

 翌朝、ノアは《Cランク昇格審査》の紙を持って冒険者ギルドへ向かった。昨夜、宿に戻ってから何度か読み返してみたが、紙に書かれているのは集合時刻と「十分な装備を整えて参加すること」という注意だけだった。肝心の試験内容は記されていない。戦闘試験なのか、依頼を一つ任されるのか。それとも筆記のようなものまであるのか。

「字を書く試験だったら嫌だな」

 スラム育ちのノアは、ギルドへ登録してから最低限の読み書きはかなり上達した。それでも机に向かうより、森へ入って魔物を倒す方がずっと気楽だった。朝のギルドへ入って受付に審査票を渡すと、すぐに奥の部屋へ案内された。そこには四十歳ほどの大柄な男が待っていた。厚い革鎧を着込み、腰には使い込まれた長剣を下げている。装備に派手さはないが、剣の柄も革鎧も何度も修繕された跡があり、長く冒険者を続けてきたことだけは分かった。

「ノアだな」

「はい」

「今日の昇格審査を担当する。俺は立会人だ。基本的には戦闘へ手を出さない。お前が死ぬと判断した場合だけ助けるが、その時点で審査は失格になる」

「分かりました」

 男は机の上へ地図を広げた。ベルツ南西の森林。ノアも依頼で何度か入ったことがある場所だが、地図に印を付けられているのはかなり奥だった。

「昨日、この周辺で《鉄背大猿》が確認された。Cランク下位相当の魔物だ」

「大猿?」

「名前の通り猿型だ。背中の皮膚が鉄板みたいに硬い。力も強いが、それ以上に厄介なのは頭が悪くないことだな。木の枝を武器にする。石も投げる。追われれば逃げるし、逆に追わせて待ち伏せすることもある」

 ただ力任せに襲ってくる魔物ではないらしい。

「今日の課題は、その《鉄背大猿》の討伐だ」

「一体ですか?」

「確認されているのは一体だ」

「確認されているのは?」

 ノアが聞き返すと、男が少し口元を緩めた。

「森の全部を調べたわけじゃない。別の魔物が出ても、試験官に文句を言うなってことだ」

「なるほど」

 それなら普段の依頼と大して変わらない。男は地図を畳みながら続けた。

「勘違いするなよ。Cランクへ上がるために見るのは、単純な強さだけじゃない。Cランクになると依頼の種類が増える。長距離護衛、未探索地域の調査、小さな村なら防衛を任されることもある。自分一人が生きて帰れば終わり、という仕事ばかりじゃなくなる」

 ノアは黙って聞いた。

「だから、今日は判断も見る。敵を見つけたからといって何も考えず突っ込めば、それだけで評価を落とす。逆に、倒せないと判断して撤退したとしても、その判断が正しければ即失格にはしない」

「逃げてもいいんですか?」

「必要ならな」

「それなら大丈夫です」

「ずいぶん即答するな」

「勝てない相手とは戦わないので」

 男が少しだけ笑った。

「そのくらいの方が長生きする。質問は?」

「倒した魔物の素材は俺がもらえます?」

 男は一度黙った。

「……そこが気になるのか?」

「せっかく倒すので」

「通常の討伐依頼と同じ扱いだ。素材はお前のものになる」

「よかった」

「では行くぞ」


◇


 ベルツを出て、二人は南西の森林へ入った。試験官の男はノアの十歩ほど後ろを歩いている。森へ入ってすぐに、「俺に合わせる必要はない。普段通りにやれ」と言われたため、ノアは遠慮なく自分のやり方で進むことにした。まず《魔力感知Ⅰ》。第七呪物保管庫で覚えたばかりの技能だ。森の中には生き物が多いが、普通の動物や植物から感じる魔力はごく小さい。一方、魔物は分かりやすかった。身体のどこかに魔石を持っているためなのか、周囲とは明らかに違う魔力の塊として感じられる。少し進んだところで、ノアは足を止めた。

「右に一体います」

 試験官は何も言わない。ノアは《危険察知Ⅰ》にも意識を向けた。反応は弱い。

「小型かな」

 茂みを大きく迂回し、木陰から確認する。そこにいたのは角兎だった。こちらに気づいた角兎は、すぐに草むらへ逃げていった。討伐対象ではない。追う必要もない。ノアはそのまま先へ進んだ。

「今のは感知系技能か?」

 後ろから初めて声が飛んできた。

「《魔力感知Ⅰ》です」

「珍しいものを持ってるな」

「昨日覚えました」

「……昨日?」

「はい」

 振り向くと、試験官が妙な顔をしていた。

「昨日覚えた技能を今日もう使ってるのか」

「使わないと慣れないので」

「まあ、そうだが」

 それ以上は聞いてこなかった。ノアも、第七呪物保管庫について話すつもりはなかった。さらに森の奥へ進む。時折《魔力感知Ⅰ》へ反応があったが、どれも小さい。鉄背大猿ほどの魔物なら、もっと大きな魔力を持っているはずだ。それから半刻ほど歩いた頃だった。ノアが足を止める。

「……いる」

「見えたのか?」

「まだです。でも大きい」

 正面のかなり遠く。木々の向こうに、これまで感じたものよりはるかに大きな魔力があった。

「たぶん対象です」

 ノアは《影隠しの外套》を整え、《隠密Ⅰ》へ魔力を流した。足音を抑え、枝を踏まないように近づいていく。やがて、何かが木をへし折る音が聞こえた。

バキッ。

 少し間を置いて、また。

バキンッ。

 ノアは大木の陰から慎重に覗いた。

「いた」

 黒褐色の毛に覆われた巨大な猿がいた。四つ足の状態でもノアの胸ほどの高さがあり、立ち上がれば二メートルを軽く超えそうだ。名前の通り、背中から肩にかけて灰色の硬そうな皮膚が広がっている。鉄背大猿は木から太い枝を折り取ると、何度か振って重さを確かめていた。

「本当に武器にするんだ」

 力任せの魔物なら、やりようはいくらでもある。だが、武器まで使う相手となると少し違う。ノアはすぐには出ていかなかった。相手だけでなく、周囲も見る。木が密集している。頭上にも枝が多い。猿なら、当然木に登れるだろう。ここで戦えば相手に有利だ。少し前に通った場所を思い出した。倒木がいくつか転がり、周囲の木が少ない小さな開けた場所があった。

「向こうまで誘おう」

 ノアは地面から石を一つ拾った。鉄背大猿から距離を取ったまま、近くの岩へ投げる。

カンッ!

「ウホッ?」

 大猿が顔を上げた。ノアはわざと木陰から身体を半分だけ出した。目が合う。

「ウホォォォォッ!」

「来た」

 すぐに背を向けた。《俊足Ⅱ》へ魔力を流す。ただし、全力では走らない。相手が諦めない程度の距離を保つ。後ろから地面を叩く重い足音が近づいてきた。ドン、ドン、ドン。

「思ったより速いな!」

 振り返ると、鉄背大猿が四足で追ってきている。しかも、折った枝を片手に持ったままだ、それでもノアの《俊足Ⅱ》の方が速い。予定していた開けた場所まで走り込み、そこで足を止めた。《月銀の剣》を抜く。

「ここならいい」

 数秒後。鉄背大猿が木々の間から飛び出してきた。


◇


「ウホォォォッ!」

 鉄背大猿が太い枝を横薙ぎに振った。ノアは《危険察知Ⅰ》の警告に従って身体を沈める。

ブォンッ!

 頭上を枝が通過し、風圧だけで髪が大きく揺れた。

「当たったら痛いじゃ済まないな」

 大猿はそのまま枝を振り上げる。今度は上から。ノアは《俊足Ⅱ》へ切り替えて横へ逃れた。直後。

ドォン!

 地面へ枝が叩きつけられ、土が大きく飛び散る。枝が地面に食い込んだ。

「今!」

 《身体強化Ⅱ》を使って踏み込み、同時に《剣術Ⅱ》を重ねる。狙いは左脚だ。

ザシュッ!

 刃は入った。だが浅い。

「脚まで硬いのか」

「ウホッ!」

 鉄背大猿が振り向きざまに蹴った。ノアは避けようとしたが、思ったより速かった。腹に足先が当たる。

ドンッ!

「ぐっ!」

 身体が浮いた。数歩分、後ろへ吹き飛ばされる。地面に落ち、転がる。すぐに立った。

「……痛い」

 だが、以前大型魔物に殴られた時とは明らかに違った。腰に装着した《衝守の腰帯》が淡く光っている。衝撃がかなり削られていた。

「これ、いいな」

 《黒鉄の胸甲》が攻撃そのものを防ぎ、《衝守の腰帯》が身体へ伝わる衝撃を軽減する。第四地下区画から持ち帰った最後の装備が、早速役に立った。鉄背大猿が追いかけてくる。今度は無理に斬りにいかず、動きを観察する。枝の横薙ぎを避け、突きをかわし、振り下ろしには大きく距離を取った。

「強いけど……」

 動きそのものは見えてきた。問題は硬さ。背中は狙うだけ無駄だろう。腕や脚もかなり厚い。なら、首。脇、膝裏、顔。そこを狙う。ノアが横へ回ろうとすると、鉄背大猿も身体の向きを変えた。

「弱いところ分かってるのか」

 こちらに背を見せない。やはり頭がいい。鉄背大猿は突然、持っていた枝を捨てた。

「ん?」

 代わりに足元の石を拾う。

「まさか」

 投げた。

「っ!」

 ノアは《俊足Ⅱ》で横へ跳んだ。岩が後ろの木へ直撃する。

バキッ!

 幹が大きく削れた。

「それは駄目だろ!」

 大猿がもう一つ拾う。遠距離から石を投げ続けられる方が面倒だった。

「近づくしかない」

 ノアは正面から走る。石が飛んできた瞬間、《危険察知Ⅰ》が反応した。右へずれて一個目を避け、二個目は身体を低くして頭上へ通す。距離が縮まった、その時だった。《魔力感知Ⅰ》が妙な反応を拾う。

「……?」

 鉄背大猿の右肩から腕へ、魔力が集まっていく。直後、右拳が飛んできた。

「右!」

 分かっていた。攻撃が始まるより早く左へ踏み込む。拳が空を切った。

「これか」

 昨日、第四地下区画で戦った怪物と同じだった。強い攻撃を行う直前。身体の使う場所へ魔力が集まる。《危険察知Ⅰ》は攻撃が危険になった瞬間を教える。《魔力感知Ⅰ》なら、そのさらに前を見られる。

「もう一回」

 鉄背大猿の左腕へ魔力が集まるのを見て、ノアは先に動いた。左拳が振られる頃には、もうその場所にはいない。

「ウホッ!?」

 大猿が初めて戸惑った。

「分かるぞ」

 右脚の蹴りを避ける。続いて両腕で掴みに来たため後ろへ下がると、背中側で魔力が大きく動いた。

「これは……!」

 大猿が跳んだ。ノアも大きく離れる。巨体が地面へ叩きつけられた。

ドォン!

「危な」

 直撃すれば、《衝守の腰帯》があってもただでは済まない。だが、もう動き始めてから避ける必要はない。魔力の変化を先に読む。

「いける」


◇


 鉄背大猿が怒ったように胸を叩いた。

「ウホォォォォッ!」

 怪物が再び突進してくる。右腕へ魔力が集まるのを見てノアは左へ動き、拳をかわした。続いて左脚が蹴りを放つ。その軌道の内側へ踏み込む。

「そこ!」

 《身体強化Ⅱ》。《剣術Ⅱ》。膝の裏。

ザンッ!

「ウホォッ!」

 今度は深い。大猿の脚が崩れる。それでも倒れない。反射的に腕を振ってくる。ノアは《俊足Ⅱ》で離れた。血。出ている。

「硬いところを斬る必要なかったな」

 弱い場所へ。確実に。大猿は傷ついた左脚を庇いながら立ち上がった。そして、逃げた。

「……本当に逃げるんだ」

 木の多い場所へ。速い。ここで追うか。ノアは一瞬だけ迷った。審査対象。逃がせば討伐できない。だからといって、何も考えず森の奥へ追えば、待ち伏せされる可能性があると事前に教えられている。

「追わない」

 ノアはその場で止まった。試験官も後ろで止まる。

「逃がすのか?」

「いいえ」

 ノアは《魔力感知Ⅰ》へ魔力を流した。鉄背大猿の大きな魔力。木々の向こう。まだ感じる。

「場所は分かります」

「なるほど」

 姿が見えなくてもいい。距離を取る。ノアはすぐには追わず、呼吸を整えた。水を一口。傷はない。魔力も十分。《蓄魔の腕輪》もまだ使っていない。

「向こうが待ってるなら、こっちも急がなくていい」

 数分。鉄背大猿の魔力は動かない。やはり。

「待ち伏せだな」

 ノアは真正面から追わなかった。大きく右へ回り込む。《隠密Ⅰ》。《静音の足環》。《影隠しの外套》。足音と気配を抑えながら、鉄背大猿の魔力を目印に少しずつ近づいていく。やがて、いた。大きな木。その上。鉄背大猿が枝に身を潜めている。手には大きな石。

「やっぱり」

 真正面から追いかけていれば、頭上から石を落とされていた。ノアは木の反対側へ回った。大猿はこちらに気づいていない。

「俺も卑怯だからな」

 戦うなら正面から。そんな決まりはない。ノアは地面から小石を拾い、少し離れた茂みへ投げた。

ガサッ。

「ウホ?」

 大猿がそちらを見る。その瞬間、ノアは走った。《俊足Ⅱ》。木の根元。大猿が気づく。

「ウホォッ!?」

「遅い」

 《身体強化Ⅱ》。木を蹴る。少しだけ身体を上へ。大猿の負傷した左脚が、枝から下がっている。そこ。《剣術Ⅱ》。

ザンッ!

「ウホォォォッ!」

 左脚。今度は腱を完全に断った。大猿が枝から落ちる。

ドォン!

 巨体が地面へ叩きつけられ、ノアはすぐに離れた。大猿は暴れながら右腕、左腕と攻撃を繰り返すが、ノアはかわしていく。左脚が動かない以上、もう逃げられない。

「終わらせる」

 大猿の右腕へ魔力が集まり、拳が来る。ノアは内側へ入り、腕の下を抜けた。《身体強化Ⅱ》で踏み込み、《剣術Ⅱ》を使う。狙うのは、背中の硬い皮膚が届かない首の横だ。

「はっ!」

 《月銀の剣》を振り抜いた。

ザシュッ!

 深く入る。

「ウ……ホ……」

 血が噴き出した。鉄背大猿がノアを掴もうと腕を伸ばす。《危険察知Ⅰ》。まだ危険。

「もう一回!」

 踏み込み、同じ傷へ狙いを定めて剣を振る。

ザンッ!

 今度こそ。大猿の身体から力が抜けた。巨体が横へ倒れる。ドォン。地面が揺れた。


◇


 ノアはすぐには剣を収めなかった。《危険察知Ⅰ》。反応。弱くなる。《魔力感知Ⅰ》。鉄背大猿の魔力も徐々に小さくなっている。完全に動かなくなってから、ようやく息を吐いた。

「終わった」

 血を払って《月銀の剣》を鞘へ戻す。その時、後ろから試験官が歩いてきた。

「終わったな」

「はい」

「素材を取る前に一つ聞く」

「何です?」

「途中であいつが逃げた時、どうしてすぐ追わなかった?」

「待ち伏せするって最初に聞いてたからです。それに《魔力感知》で場所は分かったので、急ぐ必要もありませんでした」

「真正面から追わずに回り込んだのは?」

「上から石を落とされたら嫌なので」

「最後、木の下で正面から呼び出さなかった理由は?」

「気づかれてないのに、わざわざ教える必要ないですよね?」

 試験官が黙った。

「……そうだな」

 ノアは少し不安になった。

「駄目でした?」

「いや。むしろ逆だ」

 男は倒れた鉄背大猿を見た。

「昇格試験になると、急に格好をつける奴がいる。試験官が見てるからって真正面から戦おうとしたり、逃げた魔物を焦って追ったりな。そういう奴ほどCランクへ上げにくい」

「死ぬから?」

「死ぬし、仲間も殺す」

 男はノアへ視線を戻した。

「お前は相手を観察した。地形を選んだ。能力を確認した。逃げた相手も無理に追わなかった。負傷させた後は待ち伏せを警戒し、最後は気づかれていないことを利用して仕留めた」

「はい」

「戦い方は綺麗じゃないな」

「綺麗に戦う必要あります?」

「ない」

 男が笑った。

「だから合格だ」

 ノアは一瞬、言葉が出なかった。

「……もう?」

「鉄背大猿を倒しただろ」

「はい」

「俺が止めるような危険な判断もしていない。これ以上何を見ろっていうんだ」

「筆記とか」

「ない」

「よかった」

「そこを心配してたのか」

 ノアは倒れた鉄背大猿を見下ろした。

「じゃあ、Cランク?」

「ギルドへ戻って手続きを終えたらな」

「……Cランクか」

 Fランクだった頃。ゴブリン一匹。それだけで苦戦した。初めて剣で魔物を刺した時は、手が震えた。倒しても素材をろくに持ち帰れなかった。それが今では。Cランクの魔物を一人で倒した。しかも、まだ余裕がある。

「強くなったな」

 ノアが小さく呟く。試験官には聞こえなかったらしい。

「何か言ったか?」

「何でもないです。それより解体していいです?」

「本当に金のことを忘れないな」

「大事なので」

 ノアは《遠征用収納鞄》から解体用のナイフを取り出した。


◇


 ベルツへ戻ったのは夕方だった。鉄背大猿は大きすぎたため、その場で必要な部分だけ解体し、《遠征用収納鞄》へ入れてきた。硬い背皮、牙、爪、魔石。Cランク相当だけあって、どれも高値になりそうだった。ギルドへ入ると、試験官が先に受付へ向かった。

「鉄背大猿、討伐確認。判断、戦闘ともに問題はない。合格でいい」

「承知しました」

 受付係が書類へ何かを書き込む。ノアはその横で待った。少しして、受付係がノアの古い冒険者証を受け取った。

「ノアさん。お待たせしました」

「はい」

 差し出されたのは、新しい冒険者証だった。

────────────

《冒険者証》

名前:ノア

ランク:C

────────────

「……本当だ」

「本日からCランク冒険者となります。受注できる依頼の範囲も広がりますので、明日以降、必要でしたら説明を受けてください」

「分かりました」

 ノアは冒険者証を受け取った。小さな札。それほど特別な見た目ではない。だが、F。E。D。そして、C。確実に上がってきた。

「次はB?」

 受付係が苦笑した。

「まずはCランクで実績を積んでください」

「ですよね」

「それと、鉄背大猿の素材を持ってきていますよね?」

「あります」

「査定しますか?」

「お願いします」

 ノアはすぐ《遠征用収納鞄》を開いた。新しいランクも嬉しい。だが、倒した魔物がいくらになるのかも、やっぱり気になった。


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