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スラム育ちの俺《浄化》スキルで成り上がる  作者: 月瀬 リュカ


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24/40

第24話 ここまで

 翌日、ノアはもう一度だけ《第七呪物保管庫》へ向かった。昨日は第四地下区画で、黒指定の保管室から抜け出していた怪物を倒し、《魔力感知Ⅰ》を手に入れた。第四地下区画の奥には、まだ大量の赤指定と黒指定の保管室が残っている。さらに下には第五地下区画と第六地下区画まである。探せば、もっと強い装備が見つかるかもしれない。新しい技能を得られる可能性だってある。それでも、ノアは今日でいったん終わりにするつもりだった。

「欲張ると死ぬからな」

 スラムにいた頃、少しでも多く食べ物を拾おうとして大人に殴られたことがある。銅貨をもう一枚欲しがって危険な仕事を受け、そのまま戻ってこなかった子供もいた。手に入るからといって、全部を取ろうとしてはいけない。今のノアには宿があり、金があり、食事にも困っていない。それどころか普通のDランク冒険者よりずっと良い装備を持ち、いくつもの技能まで身につけている。第七呪物保管庫は逃げない。

「第四地下区画を少し調べて、第五地下区画の入口だけ確認する。それで終わり」

 今日の目的を口にしてから、ノアは西へ歩き続けた。


◇


 昼前に《第七呪物保管庫》へ到着すると、黒鉄の鍵で入口を開け、そのまま地下へ降りた。第一地下区画を抜け、第二、第三と進む。その間も、ノアは昨日手に入れた《魔力感知Ⅰ》を試していた。今までとは、地下の感じ方そのものが違う。第二地下区画では、閉じた保管室の向こうに小さな魔力を感じる場所がいくつかあった。第三地下区画へ降りると、それが一気に増える。赤指定の扉の向こうには濃い魔力を感じることが多かったが、中にはほとんど何も感じない部屋もある。

「何も感じないから安全ってわけじゃないけど」

 ノアは《危険察知Ⅰ》も併用していた。魔力は強いのに、危険はそれほど感じないもの。反対に魔力は小さいのに、《危険察知Ⅰ》だけが強く反応するものもある。《魔力感知Ⅰ》は、そこに魔力を持つ何かが存在することを教えてくれる。《危険察知Ⅰ》は、その何かがノアにとって危険なのかを知らせてくれる。

「二つあると便利だな」

 昨日覚えたばかりだが、かなり相性がいい。第三地下区画の奥まで進み、石板の下にある階段へ入る。第四地下区画へ近づくにつれて呪いが濃くなっていくが、《聖護の首飾り》と《呪耐性Ⅰ》、そして《魔力循環Ⅱ》で維持している《浄化循環》のおかげで、身体への負担はそれほど大きくなかった。第四地下区画へ足を踏み入れる。黒い霧が通路を薄く漂っていた。

「よし。問題ない」

 昨日よりさらに楽だった。一つ目の魔力の流れは《浄化》へ固定し、身体の中を絶えず巡らせる。もう一つを《魔力感知Ⅰ》へ流すと、左右に並ぶ保管室の中から、大小さまざまな魔力を感じ取れた。

「……本当に多いな」

 赤指定。黒指定。ほとんど動かない魔力もあれば、微かに揺れているものもある。ノアは昨日通った《保管番号四〇八》の前で足を止めた。

────────────

《保管番号四〇八》

《黒》

《音声に応答するな》

────────────

 扉の向こうには、はっきりとした魔力があった。しかも動いている。ゆっくりと扉へ近づいたり、離れたりを繰り返しているように感じられた。

「これは絶対に開けない」

 ノアは足早に通り過ぎた。数歩進んだところで、背後から微かな音が聞こえた。

「……ノ……ア……」

 一瞬だけ足が止まりかけた。名前を呼ばれたように聞こえた。だが、ノアは振り向かない。返事もしない。

「注意書きは守る」

 それだけ呟いて、そのまま歩いた。


◇


 昨日、黒い怪物が抜け出していた《保管番号四一一》も通過した。壊れた扉の向こうには、今も強い魔力が残っている。昨日倒した怪物が一体だけだった保証もないし、そもそも保管室の本体が無事なのかも分からない。黒指定には触れない。それは昨日までと変わらなかった。さらに進むと、三つの赤指定保管室が並んでいる場所へ出た。

────────────

《保管番号四一二》

《赤》

《装着禁止》

────────────

────────────

《保管番号四一三》

《赤》

《衝撃厳禁》

────────────

────────────

《保管番号四一四》

《赤》

《素手接触禁止》

────────────

「最後に一つだけなら……」

 ノアは三つの扉を順番に調べた。まず《魔力感知Ⅰ》。四一二からはかなり強い魔力を感じる。四一三はそれより弱いが、それでも十分に大きい。四一四は三つの中では最も小さかった。次に《危険察知Ⅰ》へ魔力を切り替える。四一二。強い。

「なし」

 四一三。これも嫌な感覚がある。

「これもやめとこう」

 最後に四一四。危険はある。ただし、他の二つと比べれば明らかに弱かった。

「これにする」

 扉の汚れを《浄化》で落とすと、注意書きの続きが現れた。

────────────

《保管番号四一四》

《赤》

《素手接触禁止》

《皮膚接触時、強度の筋硬直を確認》

────────────

「触ると動けなくなるのか」

 なら、直接触らなければいい。ノアは《危険察知Ⅰ》の反応を確認してから留め具を外し、ゆっくりと扉を開いた。中は小さな保管室だった。中央の石台に、黒く変色した太い腰帯が置かれている。革の上に何枚もの金属板を縫い付けたような作りで、表面から薄い黒い靄が漏れていた。昨日浄化した《枯渇の腕輪》ほど呪いは強くない。

「まず部屋からやるか」

 入口から《浄化Ⅲ》を使い、床や壁、石台へ染み込んでいた呪いを先に薄めていく。その後で腰帯へ《浄化》を向けると、黒い靄が目に見えて減った。

「普通に効くな」

 ただし、第四地下区画の赤指定だけあって、一度や二度では終わらない。数回使ったところで休み、魔力の状態を確認する。《浄化循環》も維持しているため、無理に連続使用すれば帰るための魔力まで減ってしまう。今日は急ぐ必要がない。少し休んでは《浄化》。また休んでは《浄化》。それを繰り返しているうちに、黒かった腰帯から本来の色が現れ始めた。革は焦げ茶色で、縫い付けられた金属板は鈍い銀色をしている。

「もう少しだな」

 黒い靄は最後に腰帯の中央部分へ集まっていた。ノアは《魔力循環Ⅱ》で右腕へ魔力を集め、《浄化》の範囲を狭める。

「《浄化》」

 白い光を一点へ押し込む。黒い呪いが抵抗する。さらにもう一度。

「《浄化》!」

 パキッ、と小さな音がした。腰帯を包んでいた黒い膜に亀裂が走り、残っていた靄が一気に消える。

「終わった」

 すぐには触らなかった。《危険察知Ⅰ》の反応はほとんど消えている。《魔力感知Ⅰ》では腰帯の内部に安定した魔力だけが残っていた。念のため剣先で触れてから、最後に手で持ち上げる。

────────────

《衝守の腰帯》

等級:希少級

効果:装着者が受ける物理的衝撃を軽減する。

────────────

「これはいいな」

 技能は得られなかった。それでも、今のノアにはかなり役立つ装備だった。《黒鉄の胸甲》は刃や爪を防いでくれるが、大型の魔物に殴られれば衝撃までは消せない。装甲オーガや大角オーガと戦った時も、胸甲そのものは無事でも、身体ごと吹き飛ばされた。この腰帯なら、そうした衝撃を少しでも減らせる。ノアは《衝守の腰帯》を腰へ巻いた。装着すると自動的に大きさが調整され、身体へぴったり収まる。

「役に立たない方がいいけど」

 殴られないのが一番だ。それでも、殴られた時に生き残れる装備があることは大きい。ノアは保管室から出て、扉を閉じた。

「これで最後」

 今日はもう呪物を持ち帰らない。


◇


 第四地下区画のさらに奥へ向かった。目的は第五地下区画への入口を確認することだけだった。以前、第三管理室で見つけた施設図によれば、第四地下区画の北側に下層へ続く通路がある。途中にも何度も保管室があった。黒指定の一室からは、今まで感じた中でも特に巨大な魔力を感じた。

「これは無理」

 近づかない。次の赤指定から感じる魔力は小さかった。

「これなら浄化できそうだけど……今日は終わり」

 決めたことを変えない。さらに進む。別の黒指定の前では、扉の向こうから二つの魔力を感じた。

「二つ入ってるのか?」

 少しだけ興味が湧いたが、それでも扉には触れなかった。呪物を探し始めれば、いつまでも終わらない。通路を二度曲がり、施設図に記されていた場所へ到着する。

「これだ」

 そこには、保管室とは明らかに違う巨大な鉄扉があった。通路そのものを塞ぐように設置されている。表面は黒く汚れていたため、《浄化》で文字の周囲だけを綺麗にする。

────────────

《第五地下区画》

《自律型呪物隔離区》

《第二種以上の呪染防護を必須とする》

────────────

「やっぱりここか」

 以前、管理室で見た記録と同じだった。第二種以上の呪染防護。ノアは正式な防護装備一式を持っているわけではないが、《聖護の首飾り》《呪耐性Ⅰ》《浄化循環》を組み合わせることで、それに近い状態を作れている。第四地下区画には問題なく入れた。第五地下区画も、入口くらいなら確認できるかもしれない。

「見るだけ」

 ノアは扉へ近づいた。その瞬間だった。

「っ……!」

 《危険察知Ⅰ》が強く反応した。第四地下区画へ初めて足を踏み入れた時よりも、はっきりとした警告だった。

「そんなに?」

 《魔力感知Ⅰ》へ切り替える。扉の向こう。何かがいる。一つではない。

「……多いな」

 小さなもの。中くらいのもの。かなり大きなもの。いくつもの魔力が、扉の向こうをゆっくり動いている。ノアは扉に刻まれた文字へ視線を戻した。《自律型呪物隔離区》。

「自分で動くってことか」

 第四地下区画までは、基本的に呪物は保管室の中へ封じられていた。昨日の怪物のように、封印が壊れて外へ出てしまったものは例外だ。だが第五地下区画は違うらしい。動くものがいることを前提に作られている。

「……嫌だな」

 それでも、入口だけは確認しておきたかった。ノアは《浄化循環》を強め、二つ目の魔力を《危険察知Ⅰ》へ流した。《蓄魔の腕輪》にも、宿で蓄えてきた魔力が十分に残っている。逃げる準備を整えてから、扉の横にある大きなレバーへ手を掛けた。

「少しだけ」

 レバーを下ろす。ガコン、と重い音がした。巨大な鉄扉がゆっくり開き始める。一センチ。二センチ。隙間から冷たい空気が漏れてきた。

「……っ」

 ただの冷気ではない。呪いだ。《聖護の首飾り》がすぐに反応し、胸元で淡い光を放つ。《浄化循環》にも一気に負荷がかかった。

「第四より全然強い」

 扉がさらに開く。三十センチほど。暗い通路が見えた。その奥から、カラン、と金属音が聞こえる。

「何だ?」

 《魔力感知Ⅰ》が反応した。小さい。だが速い。こちらへ一直線に近づいてくる。

「来る!」

 閉めようとした瞬間、何かが扉の隙間から飛び出した。

「うわっ!」

 ノアは後ろへ跳ぶ。床へ落ちたのは、一振りの短剣だった。

「……剣?」

 誰も持っていない。なのに短剣がひとりでに宙へ浮いた。刃先がノアへ向く。

「本当に勝手に動くのかよ」

 次の瞬間、《危険察知Ⅰ》が強く反応した。

「《俊足Ⅱ》!」

 横へ跳ぶ。短剣が一直線に飛び、さっきまでノアが立っていた場所を抜けて壁へ突き刺さった。すぐに壁から抜け、再び宙へ浮く。

「面倒だな!」

 《月銀の剣》を抜く。短剣が突っ込んできた。

ガンッ!

 剣と剣がぶつかる。

「重い!」

 小さな短剣とは思えない衝撃だった。しかも、扉の向こう。《魔力感知Ⅰ》に、新しい反応が次々と引っかかり始める。

「……増えてる」

 こちらへ近づいている。一つ、二つ、三つともっと。

「駄目だ。閉める!」

 ノアは自律剣を倒すよりも、扉を閉じることを優先した。《身体強化Ⅱ》へ魔力を流し、レバーを引き戻す。

ガコン!

 鉄扉が閉まり始めた。しかし、その向こうから何かが近づいてくる。暗闇の中。白い仮面が浮かんでいた。

「何だ、あれ……」

 誰も被っていない。仮面だけが宙を進んでいる。その後ろでは黒い鎖が床を這い、さらに奥から人型の何かまで歩いてきていた。

「早く閉まれ!」

 鉄扉が半分まで閉じる。自律剣がもう一度襲ってきた。

「邪魔!」

 《剣術Ⅱ》。月銀の剣で横から打ち払い、自律剣を床へ落とす。そのまま右手を向けた。

「《浄化》!」

 白い光が短剣を包む。黒い靄が噴き出し、動きが一瞬止まった。

「今だ!」

 ノアは短剣を蹴り飛ばした。短剣が扉の隙間から第五地下区画へ戻った直後。

ガァン!

 巨大な鉄扉が完全に閉じた。

「……」

 静かになった。ノアが息を吐こうとした、その時だった。

ドンッ!

「っ!」

 扉の向こうから何かがぶつかった。もう一度。

ドンッ!

 鉄扉は動かなかった。だが、《危険察知Ⅰ》は強く反応したままだった。

「帰ろう」

 迷わなかった。

「これは無理」

 第二種呪染防護は、第五地下区画へ入るための最低条件にすぎない。中を安全に探索できるという意味ではなかった。自分で動く剣、宙に浮く仮面、床を這う鎖。人型の何か。もし今、扉を完全に開いていたら何体出てきていたのか分からない。

「第四までとは別物だ」

 ノアは巨大な鉄扉を見上げた。

────────────

《第五地下区画》

《自律型呪物隔離区》

────────────

「そのうち来る」

 もっと強くなったら。《浄化》がさらに成長したら。今より強い技能や装備を手に入れたら。

「でも、今じゃない」

 それだけは、はっきり分かった。


◇


 帰り道、第四地下区画から第三、第二、第一と一階ずつ上がっていく。妙な気分だった。最初にこの保管庫へ来た時、ノアは第三地下区画へ入ることすらできなかった。《浄化Ⅱ》では呪いを押し返してもすぐに戻ってきた。数歩進むだけでも危険で、仕方なく引き返した。それから《浄化Ⅲ》を身につけ、《聖護の首飾り》を買った。《魔力循環》を覚え、《呪耐性》を得て、《俊足》も成長した。そして今では第四地下区画を探索し、第五地下区画の扉まで開けた。

「結構潜ったな」

 手に入れたものも多い。《疾風の旅靴》、《清流の指輪》、《静音の足環》、《蓄魔の腕輪》、そして今日の《衝守の腰帯》。技能も《俊足》、《魔力循環》、《呪耐性》、《魔力感知》と増えた。さらに戦闘経験を積み、高価な魔石も何度か手に入れている。

「十分だ」

 むしろ十分すぎるほどだった。第一地下区画を抜け、地上へ続く鉄扉を開く。夕方の光が差し込んだ。

「眩し……」

 長く地下にいたせいか、橙色の空ですら眩しく感じる。ノアは外へ出て、少しだけ目を細めた。振り返る。丘に隠れるように残された古い《第七呪物保管庫》。黒鉄の鍵を抜き、扉を閉める。ガチャン、と施錠した。

「しばらく来ない」

 鍵は捨てなかった。《遠征用収納鞄》の奥へ大切にしまう。次にここへ来る時は、《浄化Ⅳ》になっているかもしれない。もっと上の冒険者ランクになっているかもしれない。今とは比べものにならないほど強くなっている可能性もある。

「その時でいい」

 第七呪物保管庫は、そこで終わりではない。まだ第五地下区画も、第六地下区画も残っている。だからこそ、今すべてを攻略する必要はなかった。

「ベルツ帰ろ」

 宿へ戻れば温かい飯がある。

ベッドもある。

 そして明日からは、また冒険者として普通の依頼を受ければいい。魔物を倒す。金を稼ぐ。技能を鍛える。冒険者ランクを上げる。やることはいくらでも残っている。


◇


 ベルツへ戻った頃には、すでに日が沈んでいた。冒険者ギルドはまだ開いている。

「先に売っておくか」

 ノアはそのままギルドへ入った。最近手に入れた魔石や、売るつもりで収納鞄へ入れていた素材を査定台へ並べる。

「査定お願いします」

「はい。少々お待ちください」

 職員が一つずつ確認していく。途中、一つの魔石を手にしたところで動きが止まった。

「……これは、かなり質がいいですね」

「売れます?」

「もちろんです。ただ、どこでこんなものを?」

「西の方です」

 以前と同じ答えだった。職員は少しだけノアを見たが、それ以上は聞かなかった。

「では査定しますので、少々お待ちください」

 ノアはギルドの椅子に座った。周囲では冒険者たちが酒を飲み、仲間と依頼の話をしている。笑い声も聞こえる。さっきまで、地下で赤や黒の札を見ていた。勝手に飛び回る短剣や、宙に浮かぶ仮面まで見た。それに比べれば、騒がしいギルドの方がずっと落ち着く。

「ノアさん」

「はい」

「査定が終わりました」

 提示された金額を見て、ノアは少し目を見開いた。

「……結構する」

「希少な素材が含まれていますからね」

 数日分の稼ぎどころではない。しばらく依頼を休んでも生活に困らない金額だった。

「まあ、休まないけど」

 金を受け取り、収納鞄へしまう。そのまま宿へ戻ろうとした時だった。

「ノアさん、少しいいですか?」

 受付から声を掛けられた。

「何です?」

「最近の依頼達成記録を確認していたんですが、Dランクになってからかなりの数をこなしていますよね」

「そうですか?」

「そうですよ」

 言われて思い返す。装甲オーガ、大角オーガ、オーク集落、赤牙狼。他にもいくつものDランク依頼をこなしてきた。

「討伐内容も安定していますし、依頼失敗もありません。素材の回収率も高いです」

「鞄があるので」

「それも冒険者の実力の一つです」

 受付係はそう言って、一枚の紙をノアの前へ置いた。

────────────

《Cランク昇格審査》

────────────

「……これ」

「受験資格を満たしています」

 すぐにCランクになれるわけではない。審査を受け、認められる必要がある。だが――

「Cランクか」

 冒険者になったばかりの頃はFランクだった。ゴブリン一匹を倒すだけで腕を傷つけられた。素材を持ち帰ることさえ大変だった。それが今では、Cランクへの昇格審査を受けられるところまで来ている。ノアは紙を手に取った。第七呪物保管庫は、これでひと区切り。次は地下へ降りるのではない。冒険者として、一つ上へ進む。

「受けます」

 ノアは迷わず答えた。


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