豹変した夫の奇妙な行動 1
本日二回目の更新です!
シャルリーヌは今、混乱している。
セルジュと、書類上では結婚して一年。
十九歳になったシャルリーヌは、一年を暮らした殺風景な部屋の中央で立ち尽くしていた。
夫であるセルジュはまだ怖い顔をしていたけれど、ふと、シャルリーヌの部屋の中に視線を巡らせてぐっと眉を寄せる。
「……一年前から何も変わっていないな。それどころか…………」
言いかけてやめた気持ちはわからなくもない。
シャルリーヌの部屋は、「妻として遇するつもりはない」と言った割にはいい部屋だった。
日当たりもよく、そこそこ広い。
家具も一流のものが入れられていただろう。
しかし、一年の間ろくに掃除もされず放置されていた室内は、彼が知る頃とだいぶ雰囲気が異なるはずだ。
セルジュはシャルリーヌと結婚式を挙げた翌日から、王都にあるブラン伯爵邸には帰らなくなった。
セルジュは王太子アロイスの側近であるため、城にも部屋を賜っている。
この一年、彼がブラン伯爵邸に来たのは数えるほどで、それも、書類の確認や必要なものを取りに来るだけで一泊すらしなかった。
邸を訪れてもシャルリーヌの顔すら見ないので、彼女がどのような生活を送っているのか知らなかったのだろう。執事も使用人も、報告などするはずがない。何故なら彼等こそが、シャルリーヌを放置し、生活の面倒を見ないどころかまるで透明人間にでも接するように、いない者として扱っていたのだから。
邸の主人に妻と認めてもらえない女である。
使用人たちも、相手をして得はないどころか、下手に関わると自分たちが割を食うと考えたのだろう。
いつの間にか食事すらまともに出て来なくなり、当然のことながら部屋の掃除やシーツや服の洗濯もしてもらえなくなった。
シャルリーヌは慣れないながらも自分で食事を作り、掃除をし、洗濯をしたけれど、備品すらろくに使えないので部屋をきちんと整えられるはずもない。
石鹸や桶を使おうとすれば隠されるし、掃除道具も言わずもがな。
さすがに食糧を隠せば飢え死にすると思っていたのか、それは隠されることはなかったけれど、食材は料理人が使用人たちの食事を作り終わった後に残ったものしかないので、いつもあまりもので作ったスープとパンだった。
この一年、本当に惨めな生活だった。
侍女として働いていた頃に溜めたお金もいつの間にかなくなっており――執事に訊いても無視されて教えてくれなかった――妻として予算ももらっていないので買い物もできない。
ドレスも下着も何もかも、この一年買っていない。
暖炉で湯を沸かしてそれでお風呂を準備し、石鹸がないからタオルでこすって体を洗って髪は湯洗い。
一度たまりかねて気晴らしに邸の外に出たら、玄関に鍵がかけられていて庭で一夜を明かすはめになったので、それ以来外出もしなくなった。
まるで囚人。
そんな感想を抱いてしまうほどに、ここでの生活は苦痛だったが、それをセルジュに言う必要はないだろう。
この部屋を見て何か思うところがあったのかもしれないが、すべては彼が招いたことである。
そんなことよりも、シャルリーヌは、セルジュがどうして自分をこの部屋まで連れて来たのかがわからない。
シャルリーヌの足元にはトランクがある通り、この邸を出て行く直前だったのだから。
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