奇跡の出会い(1)
これからは土曜日午前5時ごろにあげようかなと思いまーす!
「ねぇ、兄様?僕たち何してるんですか?」
「さあな?俺が聞きてぇくらいだ。」
光棄と弘は、かれこれ10分ほど1つの扉の前に突っ立っていた。
主な原因は、そう──二人の母、花である。
「どうしようどうしようどうしよう!!遥がいなかったらどうしようぅぅぅぅぅ!!」
「花、うるさい」
叫び続ける花に対し、素っ気なく光棄が返す。
「っな、母様を呼び捨てにしないでください!!」
「うるっせんだよ!っこの、マザコン!!」
「マザコンの何が悪いですか!?うるさいのはお前だって言うんですよ、このポンコツ!!」
花のせいもあって、イライラしているせいか、二人共いつもより喧嘩になるのが早い。
しかしまあ、ここまで大声で叫んでいれば近所迷惑もいいところであろう。
高菜はこの一家にとってとても大事な役割を持っている――――。
その名を《仲介役》 称号にもなるくらいだから、高菜がいない時の家の状況といえば。花が叫び、光棄と弘が口論し続けるといういかにもー
カ オ ス !
そう!正しくその言葉がピッタリ!!こうなってしまっては、高菜くらいしか止められるものはいない!
と、その時。ガチャ、と音がして、3人がカオス状態になっている目の前の扉が開いた。
「え」
その開いた扉から出てきたのはー
「男、?」
扉の前に立っていたのは、弘と同じくらいの背丈をした、男、だった。
「霊君!」
その場の3人が立ち尽くしている中、叫び続けていた花が言った。
霊と呼ばれたその男は気まずそうに口をモゴモゴさせた後うつむいたまま、
「こ、こんにちわ!」
と、大きな声で言った。
「久しぶりねぇ霊君。」
答えたのは花。
「母様、久しぶりとは?」
花はニッと笑ったあと、
「紹介するわ、霊君。光棄と弘、霊君の新しい弟よ。」
「は?」「へ?」
花のまたも唐突な一言に、光棄と弘の声が重なった。
「弟ー?」
「ちょっと待て、どういうことだ?」
「あら兄様、珍しく気が合いますね、僕なんだか怒りで死んじゃいそうです。」
普段から、光棄と弘が話し始めれば、高菜が止めない限り、喧嘩をするだけである。
つまり、この相性最悪な二人が意気投合する瞬間というのは、余程どちらかの機嫌が良いorとても弱っているという状況か、二人が同じものに対して怒りを覚えたときのみなのであった。
「花〜?」「母様、説明を。」
「え・・・えっとぉ〜そのぉ〜」
二人に詰め寄られ、花がたじろぐ。すると。またもガチャリ、と音が鳴り、うつむいて黙っていた“霊君”が、嬉しそうに顔を上げた。
「あれ、何してるの?霊。」