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デート?(1)

読み返したら前頁の後半が気に入らなかったので、加筆修正しました。

話の流れは変わっていないので確認しなくても大丈夫です。

投稿後の変更、申し訳ありません。よろしくお願いいたします。


 私の秘密を打ち明けたところで、改めて出かけようと二人で席を立った瞬間、応接間の扉が突然ノックもなく無遠慮に開かれる。


 現れたのは私の一番上の兄だった。


 身内の礼儀のかけらもない行動に、私は若干呆れながら兄に声をかけた。


「お兄様、仕事は?それと、ノックしてよ。セフィードに失礼でしょ」

「ええい、うるさい!おい、セフィード・オスカー!お前……お前、くそっ、かっこいいなあ!」


 勢いよく話し始めた長兄は、急に腕で顔を覆って嘆き始めた。

 情緒不安定だ。怖い。

 思わず引いた私の横で、セフィードが頭を下げる。


「ダリル・ハーシェ様、初めまして。セフィード・オスカーと申します。先日より妹さんとお付き合いさせていただいています。よろしくお願いします」

「くそっ俺の名前もちゃんと把握してるあたりが嫌味すぎる!!」


 いよいよ嗚咽をあげ始めた長兄は放っておいて、私はセフィードに話しかけた。


「兄全員の名前を知ってるの?」

「もちろん。ハーシェ家の次期当主の名前くらいは知ってて当然だろ」


 涼しい顔をしてうなずくセフィードを見て、私は素直に感心した。

 きっとこれもオスカー財閥の後継者教育のひとつなのだろう。このあいだの家の場所の件もそうだけど、彼はきっと見えないところで血のにじむような努力をしている。


 私たちが会話しているうちに持ち直した長兄が、顔を上げて言った。


「う、うちの妹が美人だから選んだんだろっ……?!」

「お兄様、私が学園に行くときどんな格好してるか知ってるでしょ」

「うぐっ……じゃ、じゃあ、うちの財産に目がくらんで……」

「うちとオスカー財閥じゃ財産なんて比べものにならないけど」

「く……くそっ、じゃあ、マフルのどこに惚れたんだ!」

「私に失礼すぎない?」


 まるで私本体には惚れる要素などないような言い方をする兄に、思いっきり白い目を向ける。

 長兄が「あ、いや、そういう意味じゃ……」と顔を青くして口ごもったところで、開きっぱなしだった応接間のドアがコンコン、と叩かれた。


 壁にもたれながらドアをノックしたのは、三番目の兄だった。


「ダリル兄、やっぱりここにいたね。やあ、セフィード・オスカーくん。初めまして。マフルの兄の一人、ニール・ハーシェです。よろしくね」

「よろしくお願いします」


 丁寧に頭を下げたセフィードに、三番目の兄はにこにこと笑う。

 あ、これは何か企んでいる顔だ。

 顔をひきつらせた私には目もくれず、三番目の兄は懐から何やら紙きれを取り出してセフィードに差し出した。


「これ、僕の連絡先。マフルに何か気に入らないことがあったら僕に相談して。なんとかするから。きみとマフルには、ぜひとも末永く一緒にいてもらいたいんだ」


 やっぱり禄でもなかった。

 わざわざ私のいるところで私に聞こえるように言うところに、三番目の兄の悪意を感じる。


「ちょっと、お兄様」

「ありがとうございます」


 咎めようとする私の横からすっとセフィードが進み出て、差し出された紙切れを受け取った。


「えー、受け取るの?」


 私が口をとがらせて言うと、セフィードは飄々とした顔で言う。


「相談したいことがあるから」

「うそでしょ……」


 すでに私に気に入らないことがあるということか。

 ショックを受ける私をセフィードは横目で見て、私の心を読んだかのように言った。


「マフルに不満なんてないよ」

「じゃあなんで受け取るの」

「秘密」


 どういうこと?

 眉をひそめる私の前で、三番目の兄は相変わらずにこにこと笑っている。

 このやり取りの間に気を取り直した長兄が、再びセフィードにケンカを売り始めた。


「マフルはなあ、最後に生まれた末っ子で、生まれたときから愛らしくて、幼少期も愛らしくて、もちろん今だって愛らしくて、兄弟全員でかわいがって……それをこんな突然現れたお前が」

「兄弟全員っていうか、ほぼほぼダリル兄がべったりだったけどね」

「ダリルお兄様はシスコンすぎ」


 私と三番目の兄が横やりを入れると、長兄はショックを受けた顔でこちらを見た。


「マ、マフル、そんな風に思ってたのか……?」


 長兄の打ちひしがれたような表情を見ているとさすがにかわいそうな気もしてくるが、今だってまさにその重すぎる愛のせいでセフィードとのお出かけを邪魔されている。

 私が心を鬼にしてうなずくと、ついに長兄は床に手をついて倒れ伏した。


 セフィードがそんな長兄に近付き、長兄の傍に膝をついて話しかけた。


「わかります」

「……何がだ」

「マフルはかわいいです。幼少期の姿絵はないんですか?」

「……ある。見るか?」

「ぜひ」


セフィードとのやり取りで元気を出した兄は、姿絵を取りに行くために張り切って応接間を出て行く。

 私はといえば、再びセフィードの口から聞けた“かわいい”という言葉に動揺し、真っ赤になって見悶えており、長兄を諫める余裕もない。


 そんな私たちを見て三番目の兄がやれやれとため息をついて言った。


「いいように転がされちゃって、ダリル兄もマフルも単純だね」



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