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話し合い


 この話し合いは、教師ではなく生徒が主導で行う。

 講堂に全クラスが集まったあと、クラス代表がそれぞれ前に出て司会を始めた。


「えー、それでは、さっそくですが今年の演劇祭に関する話し合いを始めます。はじめに演目ですが、私たちクラス代表で話し合って5つに絞ったので、この5つから多数決で決めたいと思います。良いと思うものに挙手をしてください」


 クラス代表が演目名と大まかな内容を読み上げる。


 多数決の結果、この国に伝わる英雄譚をもとにした劇を行なうことが決定した。

 去年は現代劇だったから道具の準備が楽そうだったけど、架空だとしても歴史上の人物が主役の話だといちから作るものが多そうだなー、なんて私はぼんやり考える。


 私がぼーっとしている間に、話し合いは係決めに移行していた。


「では、キャストから決めたいと思います。自薦他薦問いませんので、どなたかいらっしゃいますか?」

「はい!!主役は、セフィード様がいいと思います!!!」


 クラス代表の言葉にかぶせるように、気の強そうな女子が手を挙げてそう言った。

 すると、他の女子たちが追従するように「賛成!」と声をあげる。


 今回の劇の内容は、剣をふるう勇者が脅威から国を救う物語だ。

 たしかにセフィードがその勇者を演じたら、さぞかし舞台が映えるだろう。


 私はおそるおそるセフィードの反応をうかがう。

 セフィードは私より後方のはじっこの席に座っていて、その顔にはあからさまに「やりたくない」と書いてあった。

 あーあ、と思いながら視線を壇上に戻すと、クラス代表がおそるおそるセフィードに尋ねる。


「ええと、セフィードくん、どうですか……」

「いやだ」


 ばっさりはっきり即答だ。

 すると、別の方向から声が上がる。


「セフィード、そうやって去年も断っただろー。今年はやれよ!」

「そうだそうだ!」


 はやし立てているのは、セフィードとよく話しているのを見る男子たちだった。

 仲が良いからこその追い打ちのようだ。


 セフィードは彼らの方をにらんで言う。


「じゃあお前らがやればいいだろ」

「俺らに長いセリフが覚えられると思うのか!?」

「そうだそうだ!」


 友人の言葉に毒気を抜かれたのか、セフィードはしばらく黙ったあと、ため息をひとつついて言った。


「……わかったよ。やってもいい」


 セフィードの言葉に、講堂がわっと一斉に沸く。

 話し合いは、間違いなく今が一番の盛り上がりをみせただろう。


 クラス代表はほっとした顔をして、話を次に進めた。


「セフィードくん、ありがとうございます。えーと、じゃあ、次はお姫様の役ですね。こちら、やりたい方や適任の方はいますか?」


「あの、シャーリーさんはどうでしょうか?」


 小さく手をあげて、おどおどした声で言ったのは、シャーリーさんと一緒にいるのを良く見る女の子だ。

 彼女の提案に、周りからはざわざわと賛成の声があがる。


「たしかに、シャーリーさんならセフィード様とお似合い。クラスでもよく一緒にいるし」

「シャーリーさん、声もよく通るしね」


 周りの空気を受けて、クラス代表はシャーリーに尋ねた。


「シャーリーさん、いかがですか」

「私でよければ、喜んで」


 にっこり笑って答えるシャーリーさんは、まさにお姫様然としていて今日もとても美しい。

 みんなが拍手で肯定し、こちらもすんなり決まった。


 その後、キャストも裏方も多少もめたものの時間内に決めることができた。

 

 私はライシーに話した通り大道具がやりたかったのだが、なぜか裁縫が得意そう、との理由で衣装係に推薦されてしまった。

 まあ、元王様から送られてきた荷物の中に綺麗な布があって使わずにとってあったはずだから、それを提供してもよいだろう。ちなみに裁縫は得意でも苦手でもない。


 演目と係が決定したところで、この日の話し合いは解散となった。

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