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演劇祭


 降光祭が終わったら、次はすぐに演劇祭の準備だ。

 イベント目白押しなこの学園は、休む間もなくイベントの日程を設けている。


 ちなみに、演劇祭が終わったら次はミスコン。

 私に一番縁のないイベントである。


 演劇祭は、その名のとおり生徒たちでひとつの舞台を作り上げ、発表し、順位を競うイベントだ。

 発表を行うグループは学年ごとで、私たち2年生の場合30人のクラスが3クラスあるから、総勢90人で演劇を行なうこととなる。

 この学園はなぜかクラス替えがないため、このイベントはクラスを超えて知り合いを増やせる良い機会だ。

 といっても、私は去年照明係を選んだらたまたまその係が女子ばかりで、ほとんど他の係と関わることもなくただ同じ照明係の女の子たちと仲良くなるだけで終わってしまった。



「えー、今から講堂で3クラス合同の演劇祭の話し合いを行うから、移動するように」


 朝、教師が教室に入ってくるなり言ったその一言で、私たちはざわめきながら動き始めた。


 私はライシーと連れ立って教室を出る。

 話題はもちろん演劇祭に関する内容だ。


「マフル今年は何の係を選ぶか考えてる?」


 ライシーに尋ねられて、私はうーん、と眉をひそませた。


「とりあえず、照明は内輪すぎたからもういいかな。たくさんの人と関われる係がいい。大道具とか」

「おっ、マフルさん、出会いに貪欲ですね!いいですね」

「もちろんよ。私だって恋人作って卒業したいからね!」


 茶化してくるライシーに乗っかると、彼女はなんだか嬉しそうに笑った。

 

「よかった、マフルが恋愛に後ろ向きにならなくて」


 もしかしなくとも、ついこの間味わったばかりの失恋を心配して言ってくれたんだろう。

 ライシーにはあの後きちんと説明をしたけど、まだ気にしてくれていたらしい。


「うん、ほんとにもう大丈夫。心配かけてごめんね」

「心配くらいするさー!でも、ほんとによかった。マフルがそんなすぐ立ち直れたのってやっぱりセフィード様のおかげなのかな?」


 にやにやしながら私を小突いてくるライシー。

 そんな彼女に、私は肩をすくめてみせた。


「どうなんだろう。自分でもよくわかんない」


 立ち直れたのはマルディー先輩の本心を聞けたからだと思っているけれど、そこにセフィードがいてくれたことも大きいような気はする。


 私の様子に、ライシーはあからさまに不満げな顔をした。


「えーそんな薄い反応?もうさ、セフィード様を好きになっちゃえばよくない?二人ともかなり仲いいんだし」


 セフィードの気持ちを知らないライシーがそんなことを言ってきたので、私はぶんぶんと首を横に振る。

 ちなみに、ライシーもシャーリーさんの“次”が誰かは知らないらしい。私もセフィードにそのへん詳しく聞いていない。


「いや、それこそ不毛でしょ!私は好きな人が欲しいんじゃなくて、恋人が欲しいんだってば」

「そう?私はいけると思うんだけどなあ」


 ライシーの見立ては、残念ながらはずれだ。

 私は話題をもとに戻すことにした。


「まあ、私のことは置いといて、ライシーは何の係にするの?」

「私は去年キャストやったから、裏方ならなんでもいい!彼氏とおんなじ係を選ぼうと思ってる」


 彼氏が違うクラスにいるライシーは、演劇祭の間は一緒にいられる時間が増える!ととても嬉しそうだ。


 そんなことを話しているうちに、気が付けば私たちは講堂に到着していた。


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