寄りかかる
翌朝、起きるのもおっくうで直前まで迷ったが、結局重たい気持ちを引きずりながら私は学園へ向かった。
目はひどく腫れていたけれど幸か不幸か眼鏡で隠れてほとんどわからない。
教室に入るとライシーがすでに着いていた。
「おはよう、マフル!昨日はどうだった?」
今日も元気に飛び跳ねながら私のもとにきたライシーだったが、私の目を覗き込んで何か察したのか一気に不安そうな顔になる。
ライシーにそんな顔をさせたくなくて、私は無理やり笑って答えた。
「ライシーおはよう。だめでした!ふられちゃった。また、他に好きな人を捜さないとね!卒業間に合うかなぁ」
「マフル……辛い?泣く?授業、さぼる?」
私のことを案じて出てくるその言葉に、私は首を横に振る。
「もともと、憧れから始まった人だったから。知り合いになれただけでラッキーだよ。昨日いっぱい泣いたから今日はもうすっきり!だから、もう大丈夫」
これは、昨日から今日にかけて自分に何度も言い聞かせた言葉だ。
ライシーは納得したようなしていないような顔をしていたが、私のこの話題に触れてほしくない空気を感じたのだろう、違う話題を話し始めてくれた。
ライシーは昨日どうだったか聞きたいのに、聞けなくて、ごめん。
私は心の中でライシーに謝って、ライシーの話に乗った。
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その日の昼休み。
私は食欲もないし誰とも一緒にいたくなくて、なんとなくセフィードと会った広場へ足を向けた。
あそこなら誰にも邪魔されることなく一人で過ごせると思ったから。
周りを通常使われない教室の建物で囲まれているため、この広場はいつ来ても非常に静かだ。
私はぼんやりしながらゆっくりベンチに腰を下ろした。
それからどれくらい時間が流れただろうか。
そろそろ昼休みも終わりかな、と立ち上がろうとした矢先、靴音がして私はそちらへ目を向ける。
そこにいたのはセフィードだった。
私は無意識に、セフィードがここに来るのを待っていたのかもしれない。
一言も話さないまま私に近寄ってきたセフィードを見て、もう出し尽くしたと思っていた涙が勝手にあふれた。
セフィードはそんな私の頭をそっと自分の胸に寄せる。
一瞬びっくりしたものの、ポンポンと優しく頭をたたかれると再び目に涙が浮かんできて、私は彼に縋りつくようにして泣き続けた。




