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ピクニック

 わいわい話をしているうちに、やがて開けた野原にたどり着いた。


「わあ、広い!」


 私たちが歩いてきたハイキングコースの目的地であるここは、背丈の低い草が一面に生える原っぱだ。

 秋も深まるこの季節、周りの木々が美しく紅葉している。

 この野原のあるところだけ高い木が生えていないので、上を見上げれば広い青空が見渡せた。


 周囲では他にもハイキングを楽しむ人々が思い思いに昼食を広げて団らんしている。


 私たちもさっそく近場の木陰にシートを広げ、セフィードが持ってくれていたかごから昼食を出して並べた。


「うわあ、おいしそうだなー!」


 並べられた料理を見てはずんだ声をあげるマルディー先輩に、私は嬉しくなって言った。


「ぜひ、全部試してみてください!この肉料理が絶品で、あ、でもこっちのほうれん草を使った料理もなかなか美味しいんです。サンドウィッチは特製ソースで作ったってシェフが言ってました」


 私の説明を聞いて、マルディー先輩が肉料理に手を伸ばす。


「じゃあ、この料理からもらおうかな。いただきます」


 一口かじった先輩は、とたんに目を輝かせた。


「えっ、うまー!なんだこれ!俺んちのシェフにも作ってほしいわ」

「ですよね!たくさんあるんで、どんどん食べてください」


 にこにこ笑ってマルディー先輩に次を勧め、私はくるっとセフィードの方を向いた。


「セフィードも、ほら!好きなの取って」

「あ…ああ。どーも。いただきます」


 セフィードはなぜか一瞬びっくりした顔をしたあと、サンドウィッチを手に取る。

 その表情が少し気になったが、触れないことにして自分も料理を選んだ。


「じゃあ、私も!いただきます!」


******


 料理は、あっという間になくなった。


 マルディー先輩は見た目からたくさん食べそうな気がしていたが、セフィードも思っていたより食べてくれて、ちょっと持ってくる量が足りなかったかな、なんて思ったくらいだ。


 食べ終わってみんなでのんびりしていると、おもむろにセフィードが近づいてきて、私だけに聞こえる声で言った。


「俺これからちょっと席外すから。誘えよ、降光祭」

「ええっ!そんな急に……」

「なんだよ、そのために今日ここに来たんだろ」

「そうだけど……」


 いざ誘うとなると、心臓がバクバクだ。

 でも、今日を逃したらきっと間に合わないだろう。

 私は少し考えたあと、やがてこくりとうなずいた。


 すると、セフィードはそんな私の頭をぐしゃぐしゃとなでて先輩の方へ向き直る。


「ちょっとレポートに必要な植物探しに行ってきますね」

「おー、了解」


 手をうしろについてくつろぎながら返事をするマルディー先輩。


 セフィードはもう一度私の方を見た後、唇の動きだけで「がんばれよ」と言い、歩いて行った。


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