目的地までの道のり
セフィードが前に出たことで、自然に先輩と私が並ぶ形になる。
マルディー先輩と歩いていることに急に緊張を覚える私に対し、先輩は笑って話しかけてきてくれた。
「今日のマフルちゃんの服、かわいいね」
「えっ!?あ、ありがとうございます!」
まさか開口一番に褒められるとは思わなかった。
心の中でライシーに何度もお礼を言う。
先輩はさらに続けた。
「俺こんなんだからさ、女の子にあまり恋愛対象に見られなくって。マフルちゃんが俺と仲良くなりたいって言ってくれたときは最初からかわれてるのかと思ったよ」
「そうなんですか?先輩優しいのに……」
「昔、優しいだけじゃだめなんだって友達にアドバイスもらったわ」
明るく笑いながら言う先輩になんだか胸がいっぱいになる。
先輩の魅力に気づかない周りの女子はもったいない、と思う反面、気づかずにいてくれたお陰で今先輩とこうして歩けていると思うと、複雑な心地だった。
「先輩は、どんな人がタイプですか?」
これからの参考にしたくて、上目遣いでうかがう。
先輩はうーんと悩んだ後、ぽつりと言った。
「女の子らしい子、かなぁ……」
あまりに抽象的な答えに、さらに詳しく聞いてみようと身をのりだす。
「えっと、それは性格的な話ですか?」
「いや、というか……あっ、セフィード待って!あの草採集しよう!」
タイミングが悪かったようだ。
先輩は目的の野草を見つけると、道から逸れて草むらに入って行ってしまった。
その後戻ってきた先輩は採集した野草に夢中で、さっきの話を完全に忘れてしまっていた。
「いやあ、今の時期にこれが生えてるとは思わなかったな!来てよかった」
「マルディー先輩、あっちにもありますよ。あ、キレーネ草もある。あれも使いますよね?」
「おっ、ほんとだ!じゃあセフィードはキレーネ草の方を頼む!」
二人はすっかり採集モードだ。私は二人の邪魔をしないように離れて見守った。
しばらくして二人が満足したころ、私たちは再び道を進みはじめた。
今度はセフィードも加わって、わいわい話しながら歩いていく。
「えっ、マフルちゃん五人きょうだいなの?」
「多いですよね。兄が三人と、姉が一人います」
「じゃあ末っ子なんだ!俺は二人兄弟だよ。弟が一人。セフィードは一人っ子だったよな?」
「はい。いとこは多いですけど」
初めて聞く話に、私は思わず口を挟んだ。
「そうなの?みんな年は近いの?」
「近いのもいれば、かなり上もいるし、生まれたばっかりもいる」
「ほんとにたくさんいるんだね!仲はどんなかんじ?」
「良い方なんじゃないか?他と比べたことがないから知らねーけど」
うちは親が一人っ子同士なため、私にはいとこと呼べる存在がいない。
兄姉とは仲がいいが、距離が近い分喧嘩も多かったため、少し羨ましいな、と思った。




