8話 迎撃
「できる……きが……する!」
頼もしい言葉を口にする、攻撃性能ほぼゼロの男。
国防魔法砲撃隊が射撃するすぐ横で、下を向いてウロウロウロウロ……と、石拾いをしている。
結果的に足場がならされてもいるので、隊員も文句を言いにくい様子だ。
少し離れた場所へ移動し、拾った石を……足元にばら撒く。
傍から見れば支離滅裂な行動ではあるが、彼なりの準備なのだ。
空からやってくる魔物軍団との距離を測ると、先ほどよりも近づいているようだ。
バスティは腰に差した棒を地面の石の横に据え、「フゥ〜」と深呼吸。
大きく振りかぶり……
ゴッ!!!と打つ!
あの【ミムメッショヴ】の秘技を披露したのだ!
イメージ通りの感触に「よしっ!」と右手を突き上げる!
弾丸のように魔物へ一直線!当たれば相当のダメージだ!
……が、スカッ……当たらない。
途中で逸れて見当違いの方向へ……
「ぐぅ!てぃ!!でやぁ!!!」
やけくその連打にフォームはバラバラである。
これではやはり、どの石も当たらない……
様子を見ていたルイーナが叫ぶ!
「バスティ逃げて!引っ張りすぎよ!引っ張られるのは上着だけにって言ったでしょ!!(たったの1万回の特訓じゃ足りなかったかしら……)」
その時である——
「うおーーーっ!!!」
後方の避難集団の半数ほどから、野太い歓声が上がる!
「むっ!あの技はっ……」
「し、知っているのかラウデヌっ!?」
風呂屋のトゥガツィが驚くのも当然だろう。博識な本屋の店主でさえ、幻とされる書籍の技の再現を、初めて目の当たりにしたのである!
この機に魔法隊がしんがりを務め、避難集団と共に後方撤退を開始する。
魔族はバスティの目前に迫っている!
慌てて身を翻し、逃げる!走る!
進行方向の大きな木に、シャナッコの実が成っているのが視界に入った。
刹那、脳裏にこだまする声——
「(ケナゲ……カレン……ハカナ……アイラ……)……守るべき!」
バスティは目を見開き、頭上の実に自らが突き刺さらんばかりの大跳躍!!!
「なにィィィッ!!!」
群衆が叫ぶ!
腰に差したもう1本の棒を抜き、大空に羽ばたく——
その姿は、まさに【ユディリーロ】作中に見られる、2本+跳躍+回転、そのもの——
「1200万シャナッコ……だッ!!!」
勢いそのまま会心の一撃!
棒は砕け散り、大砲のような轟音とともに堅い果実が光の矢となり、魔物へ飛んでいく!
「あれはっ!」
「そういえば聞いたことがある……!」
肉屋のグルスと友達のリマーテンも驚嘆だ!
この光景に、避難集団も国防魔法砲撃隊も、官民一体の大歓声!!!
【ミムメッショヴ】と【ユディリーロ】は、国を二分する派閥が生まれるほどの人気を誇る。
まさかの合作秘技に、逃避行動を忘れるほど、満場一致の熱狂が渦巻く!
スカッ……
しかし、至近距離でのこれも当たらない……
「ダメだ〜っ……!」
倒れた体を慌てて起こし、魔物達に背を向け全力で走る!
砦まで、あとわずかだ!——
バトルシーン、いかがでしたでしょうか?
お楽しみいただけたら嬉しいです。




