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ヴォルダーノ【番外編】  作者: 謎人
ユマージォ島 編

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4/9

  4話 宿屋

「……野宿はイヤ〜」


 すっかり夕方まで書店で過ごしてしまった為、宿泊施設はどこも観光客でいっぱいだった。

 

「大丈夫だって〜。今、空いてそうな所聞いてきたよ!」


 今しがた断られた宿の店主が、穴場の宿屋を教えてくれたのだ。


 描いてくれた手描きの地図を頼りに、街を歩く。


「ここだ!」


「おぉ!思ったよりちゃんとしてるじゃん♡」


 大通りを脇に入った立地の不安を払拭する、ごくありふれた小ぶりの建物だ。


 しかし、宿泊客の気配は無い……



「安っ!!」


 2泊3日で、近隣相場の半額。

 目立たない場所だ。客の入りが思わしくなく、どうにか呼び込みたいのだろう。


 手続きを済ませ、各部屋へ向かう廊下の窓から、裏庭が見える。

 それは自身の目を疑うとともに、極端な価格設定の理由を物語るものだった。


「ん?なにあれ……」


 バスティの視界に、畑を耕し【種モミ】を撒いている、大柄な男達の姿が飛び込む。

 米は自家栽培なのだろうか。

 まるで、今日より明日といった表情だ。


 そのすぐ脇では【何かを燃やしながら火を噴く筒を抱える人物】が、なにやら叫んでいる。

 目を凝らすと、汚物を消毒しているようだ。



 まるで【彼らの血はなに色なのだ?】と思わされる場面だ……

 


(なんなのここっ!?)

「ル、ルイーナの部屋はあっちだね、どーぞどーぞ……」


「?……うん、また後でね」


(よし、気づいてない!あんなものを見られたら、また宿探しに逆戻りだ……)

 バスティは胸を撫で下ろし、ドアノブに手を掛けた。


 ギィ……

 部屋は少し狭いが、数日間凌ぐには充分か。

 

 「よい、しょ!ふぅ〜〜……(あれは見せちゃいけない……!)」

 背中の荷物を隅に置き、決意を新たに夕食へ出かけた。



 「この島、気に入ったわ!船に乗れなくてどうなることかと思ったけど、たまには良いこと言うのね〜♪」


 マシルス卒業試験中であることを忘れ、17歳の少女に戻っている。

 本人は無意識のようだが、前髪を上げてピンで止め、おでこを出しているのは、リラックスしている時だ。 


 宿の夕食も一般的だが、ここでもシャナッコジュースが味わえたことに感激する2人。



「おやすみなさい、また明日〜」

「うん、おやすみ!」


 バスティは自室に戻り恐る恐るシャワーの栓を捻る。

(……お湯が出る!)

 これまで、水しか出ない宿がいくつもあったが、このあたりもしっかりしていた。


(さっきの人が沸かしてくれてたりして!)

 勝手に想像して、感謝の心が芽生えていた。



「ふぃ〜さっぱりした!」

 そのままベッドに倒れ込み、お楽しみの読書の時間だ。


(よし!これにしよ〜)

 先ほどの書店で見つけた本の中から、今の気分に合いそうな、さらっと読めそうなものを選び、ページをめくる。


(おぉ……おぉぉ……っ!おぉぉぉぉ〜!)

 どこで止めればいいのかわからないほどの没入感。

 この本も大当たりだ。

 一気に読破し、いつの間にか眠りについた——



◆〈本編〉始めました→作者マイページ◆



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