表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴォルダーノ【番外編】  作者: 謎人
ユマージォ島 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/9

  2話 シャナッコ屋

「バスティ見て、あれ!」


 立て看板には、ユマージォ特産【シャナッコ】ジュースの文字。

 堅い実の一部をナタで切り落とし、ストローで飲むようだ。

 

「チャンスタイム!寄っていこう〜」


 すっかり気分を切り替えたルイーナは、ニッコニコのルンルンだ。


 マシルスの制服ではしゃぐ見習い魔法使いの姿からは、傍から見れば修学旅行生にしか見えないだろう。


 開店直後だからか、店内に客の姿は見られない。

 観光客が押し寄せる前に、ゆっくりと当地の楽しみを満喫できそうだ。


 バスティは店の前の地面に、ある違和感を抱く。


 大きな馬の蹄の跡がくっきりと残っている。

 辺りを見回しても、馬はどこにも見当たらない。


 なにやら不穏な気配を感じながらも、おそらくこの土地でしかありつけないであろう誘惑が勝った。


 この辺りに他のシャナッコ屋は無さそうだ……


 ギィ……木製の扉を押し開けると、店主が迎えてくれた。


 白髪のお団子頭に、楕円眼鏡をちょこんと鼻に乗せた、前ポケットのエプロンがよく似合う、2メートル強の老婆。


(デカッ!……婆!?いゃ爺?……えっ??)

「シ……シャナッコジュースを一杯いただけたらと……」


 バスティは圧倒されながら注文すると、着席を促された。


 店内を見回すと、天井の一角が抜けそうな老朽化はしているが、ごく一般的な木造の建物だ。 


「ねぇ、ルイーナ……」小声で会話を始める。


「この国はみんな、【あの人のようなおばあさん】……なのかな?」


「バスティ……」深刻な表情で続けるルイーナ。


「失礼でしょ!元・お姉さん、て言いなさい!」


 警戒心、ゼロ。

 好奇心旺盛なのは旅向きな性格、と言えば聞こえはいいのだが、それが危うさでもある。

 


 シャナッコの実を2つお盆に乗せ、店主が運んでくれた。

 「けえ〜〜〜い!!」とテーブルに置く声は、どうぞお召し上がりください、の意味なのだろうか。


 実の切り口を上から覗くと、薄くピンクがかった色をしている。


「これ……ホントに飲めるの……?」思わず口走ってしまったバスティは、ハッと老婆を見上げると、発汗し狼狽している。


 まさか老婆に飲んでみて、などとは言えない。

 せめて、少し観察してから……


「おいしーっ!」

 ルイーナはパッとした笑顔で味わっている。


 その様子を見たバスティと老婆は、ホッと一安心の表情。


 実の収穫時期と個体差によるもので、品質には問題無いそうだ。


 人は見かけによらない……でかい老婆とも打ち解け、和やかな時間を過ごした。


 それぞれの施設で被災孤児として育てられた2人は、初めて触れる異国の文化にすっかりご満悦だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ