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出会い

世永の屋敷にまじないで飛ぶと女は咲さんが起こした突風で目が眩み、気持ち悪くなったのか俺の肩に胃液を吐いた。


「…うぅ、ごめんなさい。」


凌太「…。」


咲「なんか、臭いわね。」


咲さんは俺たちの様子を見ることなく屋敷に入り、救護室に向かう。


俺は胃液の匂いと生温かい唾液が付いた肩の気色悪さに耐えながら一緒に救護室に向かい、女の手当てをしていく。


凌太「名前は?」


高治たかじ 天音あまねです。」


咲「男は肌着を着てたのに、なんであなたは裸だったの?」


凌太「…今、聞くんですか。」


咲「いつ聞くの?」


凌太「すみません。」


咲さんの人への配慮は皆無。

だからこそ、まずは傷跡と年齢を聞いたんだろう。


俺は呆れた表情を咲さんに見せないために天音という女に顔を向けると、目を見開いて下を見つめて過呼吸を始めた。


凌太「お、おい。大丈夫か?」


天音「うぅ…、 あぁ…ぐっ…」


苦しそうに息を整えようとしながら自分の太ともをつねり出す。

その習慣がついてしまっているのか、右脚には無数の小さい内出血の跡がある。


咲「…質問に答えない子、嫌い。」


凌太「そんな状況じゃ…」


と、俺は咲さんの怒りを抑えようとすると咲さんは天音の口と自分の口を合わせて息を吹き込む。


するとその一呼吸で天音の過呼吸が止まり、落ち着きを取り戻した。


天音「…あ、ありがとうございます。」


咲「で?」


俺は1人でその出来事に驚いていると、天音は自分の父親のこと話出した。


元は良い父親と近所に言われていたが、酒に酔うと言葉遣いが汚くなることがあったこと。

ある日、自分の人生をかけて建てた家の津波で流され、古い空き家で仕事を探すが酒に溺れ出したこと。

そして、意識が混濁した父親は天音のことを自分の妻だと思い襲い始めたこと。

抵抗すれば殴られ、頼まれて炊いた風呂に顔を沈められること。

そして朝にはそのことを全て忘れ、必死に涙ながらに謝ること。


天音が高校に行きながらも仕事をしていたからこそ、あの家は成り立っていたらしい。


けれどあの父親は天音が稼いだ金を盗み、粗悪品の安い酒を買い自分の快楽に溺れていた。


咲「よかったわね。そんな父親から離れられて。」


天音「…でも、私がいないと食べていけない。」


凌太「そんな親に食わせるものはない。」


天音「でも、私の親だから…」


凌太「自分の親だからなんだ?お前を殺し続けた親に慈悲を渡す必要はない。」


咲「本物の親なら自分の子どもに手をあげるなんてことしないわ。信頼してるからこそ、子どもを信じ手放すの。

あなたの親は縛り付けて自分の欲のためにあなたを使っているだけよ。」


咲さんの言葉がとどめを刺したのか、天音は泣き崩れる。


すると、みんなが寝静まってるはずの奥の廊下から足音が聞こえる。


咲「…世永ね。」


そう言うと扉が開き、世永が現れ天音を見て驚いた顔をしている。


世永「…その子は?」


咲「私の子。」


世永「またですか…。」


咲「ちゃんと傷跡がある子よ。」


世永「…そのアザは凶妖ですか?」


世永は天音の皮膚を見て心配そうな顔をする。


凌太「父親からの暴力です。」


世永「そう…、ですか。お名前は?」


天音「…あ、あま、天音で…す。」


天音は顔をあげて世永と目を合わせる。

すると世永は天音の両手を持って優しく握る。


世永「もう、大丈夫。今日からあまちゃんの家はここだよ。落ち着いたらみんなで朝ご飯を食べよう。」


と言って、優しく笑いかけ、そのあとすぐに朝ご飯を作りに台所に走っていった。


咲「これからよろしくね。」


天音「…はい。」


天音は泣きながら咲さんの顔を見上げて、笑顔向けた。


これが慰撫団最強の班員との出会い。

このボロボロの女が俺と咲さんために命を燃やすことになるとは誰も思わなかった。

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