観察4日-花粉-
虫竜がくしゃみをした。
録音できなかったのは残念だ。
メゾン・アマゾンの砂利は、誰かがそこを歩いたとき、じゃりじゃりと鳴って知らせる防犯機能を持っているのだが、管理人の怠慢でジャングルになっている。そういえば最近は姿を見ていない。マメに廊下の掃除をしている姿を見たものだが。
夏草の花粉が大量に舞いあがり、重大な汚染を引き起こした。具体的な症例としては、水状の鼻水が流れる、大量の目ヤニ、ゴロゴロと違和感の強い目、真っ赤に充血した目と涙でまつ毛が湿っている。結膜浮腫の確認した。それと止まないくしゃみである。
これらは人間への作用ではあるが、花粉症というものは、虫竜にもあるらしい。
少しでも花粉から逃げようとしたのか、寝床のパジャマをダンボール箱から抜きとり、台所、頭上の食器入れに移住していた。
ネズミやゴキブリに虫竜が食べられてしまわないか不安だが、地上には猫を放っておいた。虫竜は猫を酷く警戒して降りてはこない。ネズミやゴキブリが頭を出せば駆除してもらう。
今のところ、虫竜が水を飲む、食事をする、という行為の観察には成功していない。
虫竜が何も食べない、飲まないせいか、私が空腹と喉の渇きを覚える。どんなに満腹で、どんなに潤していても、見ているとこの虫竜に感覚が押し付けられてくるようだ。
いや、これは必要がないな。




