観察2日-寝床-
虫竜の極めて高い好奇心と適応性を見た。
あまり飛んでいる姿を見ない。体格に比べて充分な大きさと思われる翅であるが、同時に発達した手足も器用に使うのを見たので、この翅は空力制御程度の使い方なのかもしれない。
よく飛ぶ鳥、虫は地上を歩くものと比較して短命であり、飛ばない選択をとっている可能性がある。
鳴かない。食べない。
食べないということは、給餌において難題である。私は虫竜が、肉食、草食、雑食いずれであるのかさえ解明できないでいる。数日程度食べなくとも死にはしないだろうが、長期的な観察には必須である。
鯨(部位不明)、鶏肉(胸、手羽先、ハツ、砂肝)、豚肉(ロース、リブ)、牛肉(心臓、胃袋、横隔膜)、魚肉(鮭、鯛、鮎、烏賊、蛸、帆立、シジミ、ガザミ、沢蟹、アメリカザリガニ、テナガエビ、ドジョウ、ジャンボタニシ)、糞、煤や垢、紙、園芸および川の土、絹、ポリエステル、綿などおよそ用意できるものをだしたがどれも食べてはいない。
107号室のダンボール、置き場所は私の机の上だ。猫に捕食されないよう保護する。虫竜の寝蔵と仮設した。念の為、湯の入ったペットボトルと臭いの付いていないフサフサのタオルを敷いた。効果は、気に入らないらしく機嫌を悪くした。
ダンボールから掻き出そうと激しく暴れた。
ダンボールの中身は、私のパジャマを入れておくことで落ち着いた。また新しいパジャマを買おう。
異臭というわけではないが、甘さのある匂いに気がつく。虫竜の腹部からの分泌物と考えている。あるいは、アメンボのようなカメムシと同じ臭いを発する器官を持つのかもしれない。私のパジャマは強く汚染された。さらに数時間で匂いは変化して、フローラルな感じである。花系の匂いとなった。ただ、今まで私が嗅いだことのあるどの花とも違うので、例えようがない。




