観察1日-発見-
仮称・虫竜と呼ぶこれを、我が家の四兄弟猫、長女ミタラシが咥えて現れた。発見場所はメゾン・アマゾン103号室ベランダ。
時刻は1811、天候は曇り、気温29℃、湿度32%
ミタラシの牙から、この虫竜を即刻解放した。よほど恐ろしかったのか、私の服の襟、かがんでいた際の高さにして1mほどを脚力のみで跳躍する。また、虫の翅と類似する計4枚のそれを巧みに操り、見事私の胸への侵入を果たした。
この虫竜は人間を恐れてはいないようだ。相対的に巨大な人間よりも、猫を恐れている節が強い。
外観は羽毛の生えた蜥蜴のようであり、しかし4枚の翅や爪には虫のような要素が見受けられる。肌というよりは外骨格のような違和感があるが、これは豊かな毛並みを刈らなければわからないことだ。
個人の主観ではあるが、フサフサは可愛い。
また、目は複眼ではなく、だからとトカゲのような下から閉じるまぶた、あるいは瞬膜のようなものも確認できない。緑が光に反射し、鮮やかかつ深い色相だ。乾燥しているようだが、潤いがあるように輝いている。目ではあるが、ある種の機械的なセンサーのようだ。
翅に関してだが、モルフォチョウなどに見られる金属光沢が著しい外見的な特徴となっている。青と緑の中間の太陽光を反射している。少々眩しく、私の目を困惑させるほどだ。
嘴は確認できない。歯も同様である。
ピタリと閉じた口は一見、開口部がないようにも見えるが、僅かに動く頰などから絶対に開けないよう虫竜が意地を見せているだけと思われる。
また髭、あるいは触覚と思われるものが頭部にあるが、用途は不明だ。もしかしたらアンコウ族のような疑似餌なのかもしれない。ドジョウや虫の触覚としての機能の可能性を排除しているわけではないが、1本だけということから、1本で充分という何かに使われるのだろう。
虫竜は、既存の爬虫類や昆虫類と、一部似ている部位があるものの、全体として極めて異質な進化樹の中にある、未知生物であると思われる。
謎の生物である。
未知とは恐ろしさを孕むものではあるが、私はこの生物を観察することにした。




