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仲間に裏切られ最低ランクへ落とされた元勇者は謀略だけで生きていく   作者: 田丸 彬禰


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混乱の中の光 

混乱。

むろん、それは前線に残された者の方が大きい。

なにしろ補給ができないうえ、後退しようにも強敵に属する者たちを含む三桁にも及ぶ魔物を倒さなければならないのだから。

だが、その混乱とは無縁な者もいなかったわけではない。


最前線を進むアーベルたちである。

補給を担っている者たちから転移魔法で現れた魔物たちによって後方が遮断されたことを聞いても特段驚くことはなかった。


いや。


他の冒険者チームの慌てぶりを嘲笑していた。


「魔物どもも馬鹿ではない。俺たちの無敵ぶりを知れば、当然俺たちを避け、後方に転移してくる。進撃を止め、後退を促すために」

「つまり、こうなることは想定済み。当然その対策もしておくべきだろう。もしかして、他のチームは何も考えずに洞窟の奥まで進んでいたのか?」

「その慌てぶりから考えればそういうことなのでしょう」

「愚かだな」

「まったくだ」


そう。

アーベルたちにとってこの事態は当然起こるべきもの。

その時のためにせっせと食料や薪を運ばせていたのだ。


「だが、情報が正しければ、転移してきた魔物は質量とも相当なものだ」

「まあ、それだけ本気ということなのだろう」

「ですが、そうなると後方の連中では排除できないのではないですか?」

「残念ながらそうなるな」


「だが、だからと言ってここで後退してしまっては、味をしめた魔物たちは何度でも繰り返すことになる」

「そして、俺たちも永遠に進めない」

「そういうことだ」

「それでどうするの?」


実をいえば、アーベルにとっても魔物たちがここまでの部隊を転移させてくるのは予想外のことだった。


十分な蓄えがあるといっても、いつかはなくなる。

その前に後方の者たちが魔物たちを排除できないようであれば、自分たちが動かざるを得ない。

だが、それをやってしまえば、魔物たちの術中に嵌ったということになる。


つまり、後退せずに後方に居座る敵の排除をおこなえる策が必要となる。


「なかなかの難問だな。これは」


アーベルは心の中で自分に突き付けられたものをまとめ上げると、そう呟き、そして、苦笑いした。


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