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仲間に裏切られ最低ランクへ落とされた元勇者は謀略だけで生きていく   作者: 田丸 彬禰


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魔物軍の反撃 

多くの英雄譚に悪役として登場する魔物たちはただ武器を振り回すだけで大局観に基づいて行動規範をつくることはもちろん、最低限の策を弄することさえしない。

だが、アーベルたち冒険者が対峙する魔物は使い捨ての駒のような魔物もいるが、その組織を率いる者は十分な知性を持った者。

さらにどれだけの結束力があるかは判明していないものの、少なくても自チームの利益を優先している冒険者たちの集まりである人間側と同等以上に統一された組織といえるだろう。


当然「強者を避け、弱者と対する」という指示は、速やかに形になって戦場に姿を現す。


魔物たちの抵抗がなくなり、アーベルたちが快調に歩みを進め始めて三日目。

アーベルたちが先人たちの誰も達することができなかった深部まで達するなか、それが起こる。


アーベルたちの進む最前線から三日分ほど後方。


アーベルが「落穂拾い」と称した残敵掃討に勤しんでいた駆け出し冒険者チーム「血色の戦斧」と「光の戦士」の前に淡い光が浮かび上がる。

むろん、これは転移してきた魔物の先遣部隊。

もし、目の前にいるのは転移魔法の弱点を発見していたアーベル率いる「深淵の先導者」やカッシーニたち「黄金の盾」であれば、転移が完了する前に攻撃を開始し、転移が終わるころには魔物の死体が量産されていたことだろう。

だが、アーベルもカッシーニもそれについて口を噤んでいたため、他のチームはそのことを知らない。

当然、駆け出し冒険者たちは何が起こったのかわからぬまま、転移が完了するまでその様子を見守っていた。

そして、その結果といえば、彼らにとって最悪のものとなる。

なにしろ、転移してきたのはネクロエデッセとネクロドラコ。

いや。

それだけではなかった。

その直後、マネフィスクスとポネロスが、クヌピとマイムーの大集団を率いて現れたのだ。

魔物軍は瞬く間に周辺を制圧し、人間側の前線と後方は完全に分断された。

まさに魔物軍の目論見通り。


あとは目障りな者たちが後退を開始するのを待つだけ。


作戦を指揮していた魔物軍の幹部たちが祝杯を挙げたのは言うまでもないことだった。


一方、人間側はこの事態に慌てふためく。


当然である。

切り札であるアーベルたちだけではなく、有力な冒険者チームは皆前線にいる。

つまり、出現した魔物たちを討伐することができる冒険者チームは後方に残っていなかったのである。

しかも、前線と後方の分断は連絡もできないことを意味する。

つまり、前線にいる冒険者たちが事態に気づき後退することを期待するしかないということなる。


「と、とりあえず魔物たちがこちらに進攻することだけは阻止しなければならないだろう」


つい最近その地位に就いた冒険者組合のトップ、アプテイヤはそう呟いた。


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