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仲間に裏切られ最低ランクへ落とされた元勇者は謀略だけで生きていく   作者: 田丸 彬禰


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魔術師の課せられた枷

「……それから」


そう言ったアーベルは再びクロエに目を向ける。


「おそらく魔術師協会では、俺や多く魔法剣士のように自分の才能と経験だけ魔法を使っていた者が知らない正確な知識を教えられていたと思う」


「もちろん現在の俺には全く無用な知識なのだが、今後洞窟に籠り、魔物どもと戦ううえで知っておくべきものだと考える」


「それは……」


「魔術師の回復の度合いだ」


「魔法を使うと魔力が減る。この程度のことは無学の俺でもわかる。そして、魔法を使わず休養を取れば、それは回復することも」


「だが、知っているのはこの程度のことだ」


「どの魔法を使えば、どの程度魔力が減り、それはどれくらいの時間で回復できるのかという知識はない。このようなことも魔術師協会では教えてくれるのか?」

「はい」


「まず、魔法を扱うために必要なのは魔力と精神力。もちろん体力や知力も必要ではありますが、魔法を扱うという一点に絞れば、魔力と精神力となります。そして、その基礎となる魔力は魔術師によってその量は変わり、それからこの魔力量は努力によって増えることはありません」


「ただし、もうひとつの核である精神力。それから、知力や体力は後天的に手に入るもの。つまり、鍛錬と努力によって増やすことができるというわけです」


「そして、質問の魔力の消費ですが、冒険者の方々が使用することが多い火球で言えば、火起こしに使うものなら魔力は一回に一ウニタース。松明代わりに使用するのなら一日当たり百ウニタース。攻撃に使うのであれば、弱いものであれば一発中十ウニタース。マイムーを倒すくらいのものであれば一発三十ウニタース。水や氷の魔法も難易度は火と同じですから消費魔力はほぼ同じ。雷や風は難易度が上がりその二倍とされています。ちなみに、ウニタースとは魔術師協会が決めた魔力の単位となります」

「ちなみに、この前見せてもらった魔法はどれくらいの魔力が必要となるのだ?」

「五百ウニタースくらいでしょうか」

「あれが最大ということかな?」

「魔力のすべてを出し切るということであれば、その二十倍くらいは」

「……つまり一万ウニタース……」

「ですが、私はまだ修行中なのでそこまでの大きさの魔法を使用することは難しいのですが」


そして、駆け出しの頃の俺が突然出くわしたマイムー一体に火球を仕留めたものの、魔力が無くなったことがあった。

命中は二発。

はずれも同じくらいだったか。

そうなると、俺の魔力は五十から百ウニタースということになる。


アーベルは心の中で自身の魔力量を推測する。


「それから精神力の強さによって保持している魔力、そのどれくらいを発揮できるかが決まります。これは鍛錬と経験によって強くできます。経験不足の私はその魔力の十分の二程度しか発揮できていませんが、冒険者の多くは半分程度、経験豊富な方であればほぼ全力を発揮できていることでしょう」


「次に魔力の回復ですが、その速度には体力や健康状態が大いに関係します。ですから、魔術師協会に所属している魔術師の標準的なものということで話をすれば、一日魔法を使わなかった場合、魔力は百ウニタース回復します。さらに十分な栄養を取ったうえでの睡眠をおこなうとその効果は倍となります」

「魔力の計測はどのようにするのだ?」

「魔術師協会にはインウェスティーゴという計測機器があります。これは相手の魔力を測ることができる才を持った最上位の魔術師たちが自身の能力を込めた魔法水晶です」



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